ブッシュ大統領来日 11月16日

小泉総理とブッシュ大統領とが、真の信頼関係で結ばれているのなら、多くの人々が危惧する米国産牛肉の輸入再開問題や在日米軍再編問題について、小泉総理はすなおに日本国民の気持ちを伝え、ブッシュ大統領に理解を求めることが出来ただろう。しかし現実には、二人の関係は浅薄なものなのだ。仲良くふるまうパフォーマンスでは気があっても、外交の核心に触れる論議は、二人の間では忌避されている。

厳戒態勢で道路は大渋滞、地下鉄まで閉鎖され、京都市民は窮屈な一日を余儀なくされた。今更、ブッシュ大統領夫妻のお茶目なパフォーマンスを見せられても、日本国民はまったく感動しない。それどころか、BSEのリスクを完全に除去しないまま日本への牛肉の輸出再開を強行しようとする米国の態度は、日本国民への最大級の侮辱だ。米国の高所得層の人々は口にしない牛肉を、米国は日本人に押し付けようとしているのだ。日本の消費者の疑問の声を排除して、年内の輸入再開を目指す日本政府の政治家や官僚でさえ、実際には当該米国産牛肉を口にすることはないかもしれない。何故なら、100%安全な牛肉ではないからだ。

「安全だと解釈して買うか、安全を疑問視し買わないかは、消費者の選択だ」と言い放った、食品安全委員会プリオン専門調査会の吉川座長の言葉が印象的だ。これは「食べる」ことを選択する人の言葉ではない。

ブッシュ大統領は昨日、「日本が米国産牛肉を安全だと認めてくれた」と表現したが、それは間違っている。しかし小泉総理には、日本国民にとって、そんな大切なポイントを指摘し正す意志は毛頭ない。在日米軍再編問題についても小泉総理は、「関係自治体は、米国の要請を黙って受け入れるべきだ」とブッシュ大統領を前に発言した。日米協力の重要性を、否定する日本人はいないだろう。しかし、日米同盟にプライオリティを置くあまり、例えば沖縄の人々の耐え難い精神的苦しみを更に土足で踏みにじるような対応が、許されて良いはずがない。

小泉総理のブッシュ大統領に対する態度には、日本人としての尊厳はない。靖国神社参拝を強行しアジア諸国と敵対することは、日本人の尊厳を示すことには決してならない。単なる「わがまま」だ。外交的には、米国からも評価されない巻き返しに時間のかかる愚かな行為なのだ。米国は、米国だけが良ければそれで良いのだ。小泉総理は、多くの日本人の意志に反してアジアと敵対し、米国のために日本人を犠牲にする、最悪の暴君総理大臣だ。毎日、高級料理に舌鼓を打ちオアシスに暮らす小泉総理に、庶民の心と生活に、思いを馳せる能力など備わっていない。ポスト小泉によって、この先何年も小泉路線が継続されることは、日本の国益に反することになるのだ。
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