高橋尚子選手と徹底したBSE対策 11月20日

人々の心を揺るがすほどのほとばしるパワーで駆け抜けた高橋尚子選手に、私たちが感謝したい。高橋選手の走る勇姿は、私たちに大きな勇気を与えてくれた。体中からメッセージを発信しながら駆け抜けた高橋選手の味わい深い人間力が、よどんだ精神を綺麗にろ過してくれたようで、なんだか気分が高揚する。どんなに偉い人の一言よりも、高橋選手の走る姿は、私たちに多くのことを教えてくれた。高橋選手の一歩一歩が、それぞれの人々の心を、それぞれの形で揺さぶったに違いない。近年稀に見る、感動のレースだった。

さて、今月29日まで、食品安全委員会は広く一般からのパブリックコメントを募集しているが、アメポチ小泉内閣は、年内の米国産牛肉の輸入再開を事実上決めている。最近は、新聞をはじめメディアの情報が、少なからず政府によって操作されている。今日も識者とされる有名なコメンテイターが、「危険をはらんでいるのは、米国産牛肉だけではない。野菜だって危ないものはある。米国産牛肉についてさわぎすぎだ。輸入再開は妥当だ。」とコメントしていた。なんと無責任な発言だろう。日本国民の食の安全を、いったい何と心得ているのだろうか。見識を疑いたくなる。暗に、中国からの輸入野菜は、農薬にまみれていると認めているのか!?しかし、そんな中国野菜を食べたからといって、直ちに死ぬわけではないが、異常プリオンに感染した牛肉を食べ、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症してしまったら、人間は死ぬのだ。このコメンテイターは、薬害エイズの教訓を忘れてしまっている。

世界的な鳥インフルエンザの大発生は、鶏舎がいかに不衛生であるかを物語っている。「米国において、牛由来の肉骨粉、動物性油脂及び血漿たん白質を豚及び鶏に与えることは禁止されていないこと、養鶏残渣及び鶏ふんを牛に与えることは禁止されておらず、肉骨粉入りの飼料が混入している可能性があること、豚及び鶏に与えられた異常プリオンたん白質はふんとして排出され、それが牛に与えられる可能性があること、牛のSRM(特定危険部位)由来の肉骨粉及び動物性油脂が生産されていること、牛のSRM由来動物性油脂及び血漿たん白質を原材料とした飼料が牛に与えられる可能性があること、伝達性ミンク脳症及びシカの慢性消耗病の発生状況、それらの疾病に罹患したミンク及びシカがレンダリングされ、牛に飼料として与えられる可能性並びにシカの摂取歴のあるクロイツフェルト・ヤコブ病患者が存在することについては、食品安全委員会プリオン専門調査会において調査審議が行われている。」と、先の川内議員の質問主意書に対する答弁書には回答されている。これは、米国における飼料規制が非常に不十分であることを認める記述であり、この事実のみをもってしても、とても米国産牛肉が安全だと認めるわけにはいかない。

輸入が再開されたからといって、直ちに米国産牛肉を使用することはしないとする牛丼チェーンもある。政府のお墨付きさえ出れば、消費者の食の安全は二の次に、米国産牛肉を使用して儲けようとする牛丼チェーンとは、明らかにその姿勢に違いがあり評価できる。安くて美味しいにこしたことはないが、牛肉に限らず食材のクオリティは最重要だ。生産者のはっきりしない1個10円にも満たない鶏卵を、食べる気にはとてもならないご時勢なのだ。

私たち大人は、自ら選択するチャンスがあるが、強制的に学校給食を与えられる子どもたちの安全を守る責任は、いったい誰にあるのだろうか。先の総選挙では、食育をかかげ当選した料理研究家もいる。議員になったからには、その公約を全うすべく、100%安全なものだけが子どもたちの口に入るよう、給食現場のチェックを怠らないで欲しいものだ。少なくとも私は、現状では米国産牛肉を子どもたちに食べさせることには反対だ。これを機に、学校給食は地産地消を原則として、すべての食材のトレイサビリティを子どもたちに示し、郷土の農業の重要性を日々の食事からも学べるチャンスをつくって欲しい。

高橋尚子選手は、夢を持ち努力する権利は、すべての人々に平等に与えられていると訴え、人々に感動を与えた。米国産牛肉の問題も、適当になし崩すのではなく、輸入を再開するのなら、徹底的に米国と話し合い、米国でのBSE根絶のための十分な対策を要請し(勿論日本も、なお一層の対策の徹底を行う)、100%安全な牛肉が日本の食卓を彩るその日を、目指すべきだと私は思う。

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