sakuです。久しぶりに書きます。
gramには、「新しい世界」という曲があります。既に映像(ショートムービー)としても公開しています。
今日は、この曲の歌詞の世界について分析してみます。
ブログでも触れていますが、この曲は、gram結成後、初めてgramとしてつくった曲です。
作曲方法としては、ヒロタさんの奏でるギターにsakuのピアノを足し、セッションしてつくっていきました。
作詞は、ヒロタさんがしています。大枠のイメージは、歌詞を含めて最初に収録したものに近いです。
本題に入ります。こちらは、サビの言葉。
新しい世界に身を閉ざしていたけど
ここから出たいと あなたはウソつく
差し込む光に とまどっていたまま
すぎさったミライを うれいて憧れる
特に巧みなのは、「すぎさったミライを うれいて憧れる」。
2つの反対語を並べている。さらに、被せるようにそれをダブルで組み合わせている。
【反対語なのに並べる。間逆だから、解釈の幅が広がる】
過ぎ去った(過去) ⇔ 未来
+
うれいて(憂う) ⇔ 憧れる
確かに一瞬「すぎさったミライ」って何だと思う。反対語が並ぶのだから。
しかし、こういうことを可能にさせているのは、「うれいて憧れる」なのだろう。
これを組み合わせたことにより、意味を増幅させ、いろいろな意味を生ませているのだ。
解釈の幅を広くさせているのだ。
真逆な意味の言葉を組み合わせたため、どの言葉に重きを置くかにより、人によって違った解釈
頂くことを可能にしている。
また、「差し込む光」という言葉。こちらは、「モノクロ」という曲にもある言葉である。
前回のライブでは、「モノクロ」で始まり、ラストは「新しい世界」で締めた。
この言葉を使うことで曲間を「シンクロ」させ、ライブの流れをつくり、つなげている。
この流れも意識しての「新しい世界」である。
そして、「あなた」という2人称の言葉。これまでのヒロタさんの歌詞の中では、珍しいと思われる。
これまで2人称は、「君」が多かったように思う。「あなた」という言葉が出てきたのは、
gramならではなのかもしれない。一方から他方に一歩引いた視線を送る表現で「あなた」とし、
建て前を取り繕う「ウソ」という言葉で「落とす」。これも巧み。
次は、冒頭の言葉。
忘れかけた旋律に身を任せ 浮き沈む部屋の中、まわりめぐる
暖かく丸み帯びた風景 痛み伴いながら今を感じてきた
この短い言葉の中にも、キーワードがある。「丸」だ。
このワードをリレーのようにつなぐ。
「まわる」→「めぐる」→「まるみ」→「おびる」
面白い。
これは、言葉の流れのなめらかさにつながっている。
実は、「新しい世界」は、いろいろなことが含まれています。
また違った見方でgramの曲を聞いて頂ければ幸いです。
ちなみに、映像は、飛び入り演奏で弾いたもの。グランドピアノを使わせて頂きました。
冒頭の映像がゆらゆらしているのは、上記「丸」を意識しています。
良かったら見てみてください。