光が治療に用いられる仕組み
光を当てた細胞は、光子(光の粒子)を吸収
↓
そのエネルギーをミトコンドリアが
アデノシン三リン酸に変換
光が治療に用いられる仕組み
光を当てた細胞は、光子(光の粒子)を吸収
↓
そのエネルギーをミトコンドリアが
アデノシン三リン酸に変換
タンパク質を増やしてリッチにするいちばんのメリットは、
筋肉がラクにキープできること。筋肉は、水分を除くと、ほぼタンパク質。
筋肉のタンパク質は、分解と合成を繰り返しており、
タンパク質が減ると分解が合成を上回り、筋肉が削れる。
筋肉(正確には除脂肪体重)が1kg減ると、代謝が1日約28.5キロカロリー下がる。
机上の計算だが、それだけで1年に1.4kgも太るのだ。 では、どの程度摂ればいいのか。
筋肉量は体重に比例するので、筋肉を落とさないための
タンパク質の1日の摂取目安量は、体重1kg当たりで考えることが多い。
「安静時なら、筋肉の維持には、タンパク質は体重1kg当たり最低0.6gでOK。
でも、活発に活動して筋肉を使う働き盛り世代は、
上乗せして体重1kg当たり1.2~1.6gを目指しましょう」(管理栄養士の岩崎真宏さん)
具体的には、標準体型の男性なら1日75~100g、同じく女性なら67~90gが基準となる。
大事なのは、タンパク質は一度にまとめて摂らず、3食+間食で分割して摂ること。
一度に40g以上のタンパク質を摂っても、筋肉などに代謝されにくい。
1食25~30gを目標に摂るのがお薦めだ。
「DIT」という言葉を知っていたら、なかなかのダイエット通。
DIT(Diet Induced Thermogenesis)は、日本語で「食事誘発性熱産生」。
食事をするだけで、エネルギー代謝量が増える現象だ。
日本人が1日に消費しているエネルギーのうち、DITは約10%を占める。
通勤や家事といった生活活動によるエネルギー代謝は全体の約30%だから、
その3分の1に匹敵するのである。 ただ、DITという言葉は知っていても、
それが糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素で異なると分かっている人は少数派かも。
3大栄養素では消化吸収のプロセスが異なるため、DITにも違いがある。
いちばん低いのは脂質で約4%。次に高いのは糖質で約6%。
そしてDITがもっとも高いのはタンパク質であり、その割合は30%にも達する。
つまり、摂ったタンパク質は、70%しかカロリーに変わらないのである。
DITが約10%とされるのは、日本人が糖質でカロリーの60%前後、
脂質で25%ほどを摂っており、タンパク質からの摂取は15%程度に留まっているからである。
タンパク質の摂取を増やすほど、食事全体のDITはアップ。
エネルギー代謝が上がり、痩せやすい。
肉類や魚介類のように、タンパク質がリッチな食事をすると腹持ちがよく、過食が未然に防げる。
その背景にあるのは、摂った栄養素に応じて小腸などから分泌される消化管ホルモン。
タンパク質が分解されたアミノ酸に反応するのは、小腸下部にあるL細胞。
L細胞が分泌するPYYは、食欲を抑える作用がある。
そしてPYYは自律神経の一種である迷走神経を介し、
脳に「タンパク質(アミノ酸)が摂れた!」というシグナルを伝えている。
肉類や魚介類のようなタンパク源には、脂質も含まれる。
脂質を構成する脂肪酸に反応するのは、小腸上部にあるI細胞。
脂肪酸のなかでも、とくに肉や魚に多い長鎖脂肪酸で強く刺激される。
I細胞が分泌するCCKも、食欲を抑制すると同時に、
「脂質が摂れた!」という情報を脳に伝達する。
アミノ酸にも、長鎖脂肪酸にも、合成できない必須アミノ酸、必須脂肪酸がある。
PYYやCCKは、合成できない栄養素が無事に摂れたことを脳に伝え、
摂食量と栄養バランスを整えているのだ。 タンパク質も脂質も足りない食事だと、
PYYもCCKも十分に分泌されないため、「まだまだ栄養が足りない!」
と脳が満足できず、食べすぎる恐れがある。
かつて、肉類などの動物性タンパク質と比べて、
\大豆のような植物性タンパク質の栄養価は低いと誤解されていた。
でも現在では、植物性タンパク質の代表格である大豆は、
体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含み、
その栄養的な価値は動物性タンパク質と同じだとわかっている。
そのうえ大豆タンパクには、動物性タンパク質にないメリットがある。
それは大きく2点。 第一に、大豆タンパクの約20%を占める
β-コングリシニンは、お腹の内臓脂肪や血中の中性脂肪を減らしたりする。
β-コングリシニンを摂ると、ホルモンのように働くFGF21という物質が増加。
体脂肪の分解や代謝促進などの効果を発揮するのだ。
2つ目は、動物性食品には含まれていない食物繊維が摂れること。
とくに皮ごと食べる蒸し大豆には、水に溶ける水溶性食物繊維も、
水に溶けない不溶性食物繊維も豊富。また、豆類全般は、
腸内で善玉のビフィズス菌が発酵しやすいレジスタントスターチを多く含む。
豆類から食物繊維を多く摂ると、
ビフィズス菌などの善玉菌が短鎖脂肪酸という代謝物を作る。
この短鎖脂肪酸は、交感神経に働きかけて代謝を上げるなどして、
痩せやすい環境を演出してくれるのだ。
タンパク質は、小腸でアミノ酸に分解されて体内に吸収される。
だが、摂ったタンパク質のすべてが、完全にアミノ酸まで分解されるわけではない。
一部は、アミノ酸がいくつか集まったペプチドという形で、体内に入ることがわかっている。
アミノ酸で1個ずつ吸収するより、ペプチドでまとめて吸収した方がスピーディなのだ。
「このペプチドに多彩な機能性があり、
カラダにポジティブな影響を与えることがわかっています」
機能性ペプチドには、気になる血中のコレステロールの代謝を改善するものが多い。
牛乳・乳製品から摂れるラクトスタチン、大豆食品から摂れるソイスタチン、
卵白由来のオボコレスチンといったペプチドである。 減量に関わるペプチドもある。
大豆のβ-コングリシニンの減量作用も、β-コングリシニン由来のペプチドが一枚嚙み、
脂質代謝を促していると考えられる。 また、魚に由来するイソロイシルアルギニン、
アルギニルイソロイシンという魚肉ペプチドは、一時的な疲労感をセーブする。
足りないタンパク質をプロテインで補うのは手軽だが、
機能性ペプチドの恩恵を受けるためには、
タンパク質はできるだけ食品から摂るべきなのである。
カロリーになる3大栄養素のうち、糖質や脂質とタンパク質には大きな違いがある。
タンパク質の重要な役割は、筋肉や骨などを作ること。
ゆえに、摂ったタンパク質はまずカラダを作るために優先的に活用される。
それでも余ったアミノ酸は、エネルギーになりやすい。
深掘りすると、アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基という2つのパーツからなる。
このうちアミノ基は、糖質や脂質にない「窒素(N)」を含む。
アミノ基からは真っ先に窒素が切り離されてアンモニアになり、
アンモニアは尿素に転換されてから排泄される。
「窒素を切り離された残りは、
細胞内のミトコンドリアで代謝されてエネルギーに変わります。
その際、糖質や脂質よりも、率先してエネルギーに変換されるため、
タンパク質の摂りすぎが直接肥満につながる可能性は低いのです」
摂りすぎを気にせず、肉でも魚でも美味しく食べよう。
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.841・2022年9月8日発売)