「ウォーキングは私が主に続けている有酸素運動で、
妊娠していた時以外はずっと同じ体重を維持しています」と語るのは、
フィットネス専門家のデニス・オースティン氏。
また、『ドクター・オン・ディマンド・ダイエット(The Doctor on Demand Diet)』の
著者であるメリナB・ジャンポリス医師によると、1日最低30分歩くのが理想的だという。
【写真】夕食後に「毎日15分」歩いてみた結果…
スニーカーを履いて徒歩で仕事に行ったり、友人と一緒に歩いたりするなど、
どんな形式であっても、ウォーキングは血圧を下げ、
慢性疾患のリスクを減らすことにつながる。
さらに脳を活性化し、幸せな気持ちになるなど、ありとあらゆるメリットがもたらされる。
毎日たった30分間(1枚のアルバムを聴くよりも短い時間)の
ウォーキングを始めるだけで、他にどんな効果が期待できるのかを見ていこう。
慢性疾患のリスクを減らす
米国糖尿病協会によると、ウォーキングは血糖値を下げ、糖尿病のリスクを下げるという。
また、コロラド大学ボルダー校とテネシー大学の研究者らは、
定期的にウォーキングをすることで血圧が11ポイント低下し、
脳卒中のリスクを20~40%低下させる可能性があることを発見した。
『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of
Medicine)』に掲載されたウォーキングと健康に関する研究の中で最も引用されているのは、
身体活動のガイドラインに沿って十分な距離を歩いた人は、
定期的に歩いていない人と比較して心血管疾患のリスクが30%も低いことがわった。
マイアミにあるプリティキン長寿センター+スパ(Pritikin Longevity Center + Spa)の
フィットネス部門ディレクター、スコット・ダンバーグ氏は、
「ウォーキングが身体に及ぼす利点は十分に実証されています」と話す。
スタンテン氏は、病気を予防するには長い散歩が重要だと言い、
少なくとも週に1、2回は1時間のウォーキングを行うことをすすめている。
消化が良くなる
消化器系の働きを促進させるためにコーヒーを飲んでいる人は、
その代わりに朝のウォーキングを始めてみよう。
アメリカの癌治療センター(Cancer Treatment Centers of America)の理学療法士で、
理学療法博士のタラ・アライカミー氏によると、
定期的なウォーキングを習慣にすれば便秘が大幅に改善されるという。
「腹部の手術を行った患者が最初にしなければならないことのひとつは歩くことです。
これは、体幹と腹筋を利用して消化器系の働きを促進するためです」
他の目標を達成しやすくなる
ウォーキングを日課にすれば、定期的な習慣を身に付けることができる。
そして定期的な習慣があると、その活動を続けるのと
同時に新たな健康習慣も身につく可能性が高くなる。
ウォーキングを日課にしているパーソナルトレーナーのキムエヴァンス氏は、
「定期的なウォーキングを習慣づけると、
心に決めた他の目標を達成するのに役立つことを確信しています」と語っている。
創造性を高める
仕事で行き詰まっているときや、複雑な問題を解決しようとしているときには、
体を動かすと効果的だということが研究で証明されている。
『ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・サイコロジー、ラーニング、メモリー、
コングニション(Journal of Experimental Psychology, Learning, Memory, and
Cognition)』に掲載された2014年の研究によると、
ウォーキングは創造性を掻き立てることがわかっている。
「研究者たちは座っているときと歩いているときに被験者に創造的思考テストを実施したところ、
歩いている人は座っている人よりも創造的思考力が高まっていることがわかった」
とジャンポリス氏は言う。
免疫力が高まる
ウォーキングをすることで、病気のリスクを減らし、寿命を延ばすことができる。
「アースライティス・リサーチ&セラピー(Arthritis Research & Therapy)」の
研究によると、高強度のインターバル・ウォーク・トレーニングは、
関節を侵す炎症性疾患である関節リウマチを患う
高齢者の免疫機能を改善することが示唆されている。
また、「クロニク・レスパラトリ・ディジーズ(Chronic Respiratory Disease)」の
最近の研究では、ウォーキングが慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者の
死亡率および死亡リスクを低下させることも明らかになった。
慢性閉塞性肺疾患の患者は長時間運動ができず、
激しい運動をすると呼吸が困難になることがあるため、過体重や肥満の傾向が強い。
しかし、ウォーキングは症状を改善し、特に心血管疾患や
メタボリックシンドロームのリスクを低下させることがわかっている。
長生きにつながる
ブルーゾーン(長寿地域)の人々はなぜ100歳まで生きることができるのだろうか。
実は健康で長生きする秘訣は、歩いたり外に出たりすることにある。
『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ジェリアトゥリクス・ソサエティ
(Journal of the American Geriatrics Society)』で発表された研究によると、
70歳から90歳までの成人のうち、外で体を動かしている人は
そうでない人よりも長生きすることが示されている。
活動的でいることは愛する人や友人とのつながりを築くことにつながり、
それは歳をとるにつれて人生でより重要な部分となってくる。
安眠効果がある
周知の通り、定期的に運動すれば夜に安眠できるようになる。
それは、睡眠によって自然にメラトニンという睡眠ホルモンの効果を高めるから。
『スリープ(Sleep)』が2019年に行なった研究では、
軽度から中等度の強度で運動を行なっている閉経後の女性は、
座っていることが多い女性よりも夜によく眠れるという結果が出た。
また、ウォーキングは睡眠障害の原因となる痛みやストレスを軽減する効果もある。