『動き出した改憲~その狙いを考える~』と題した講演会
寝屋川 平和と市民自治の会 大同 俊博
7月9日、寝屋川市民会館で『動き出した改憲―その狙いを考える』集いを持ちました。これは<平和と市民自治の会>が主催して、「希望のクラブ」の協賛を得て開いた講演会であり、地元の電通大の教員・中里見さん(憲法学/ジェンダー法学者)の講演を聴くと言う企画でした。
2020年に改悪憲法を施行させると公言するアベ政権は、4年前に「第96条を先行して改正する」策を弄したものの、党内からも異論が出て立ち消えになった。次いで翌年に解釈改憲による集団的自衛権=安保法制を以て、改憲の試みを進めた。この第3弾が今回の改憲施行と言う訳で、その狙いは何処にあるのか、中里見さんの講演は、要点をまとめて詳しく解説して下さいました。
第9条の1項、2項 を残したままで新たに自衛隊の存在を明記する、と言う単純そうに見えるアベ政権の策謀の中に、実はとんでもない事が隠されている。既に自衛隊は集団的自衛権を行使する事が可能な状態になっていて、それを憲法に加憲するだけで全面展開へ進む事が出来る。しかし、第9条2項【陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない】が活きている限り、集団的自衛権は部分に留まる。実際に、憲法に自衛隊が記述されていない事で、政府は自衛隊が何が出来るかを一つ一つ説明しなければならない。自衛隊そのものが憲法に記されていないので、その都度の説明が必要なのだ。9条2項との関係で、「自衛隊は軍隊でも戦力でもなく、自国を防衛する為の必要最小限の実力」だと説明・解釈されてきた。そう言う意味で9条2項は、未だに強い規制力を持っているのです。ところが、現状の自衛隊を明記する事で、「確立された国際法に基づき/自衛の為」との理由を以て今の集団的自衛権の部分行使から全面展開への道を開く事になり、専守防衛から逸脱する事を許す結果になる。「自衛の為」とは個別的自衛に限定する訳ではないから、かつての「国益の生命線として満州へ侵略して行った事実」のとおり、海外侵略を可能にさせる。その意味で、加憲とは9条2項を死文化するものであり、9条に3項を付け加える事で現行憲法の平和主義を踏みにじる意図が秘められていると判断される。
たった一行の文言が日本を「戦争できる国」に変える事となり、加憲は共謀罪より以上に凶暴である事が中里見さんの講演で明らかにされました。この講演を受けて、参加者はアベ政権の退陣と野党共闘を推し進める決意を固める事が出来たと思います。また、主権者として市民自治を進展させよう、との呼び掛けにも賛同が得られて、『動き出した改憲』を阻止する闘いを寝屋川で始める契機を作れたように考えます。
とは言え、中里見さんが述べておられたように、改憲を阻止する事は相当に手強い難題です。アベ政権が自民党の改憲案ではなく、9条に3項を加える案を出してきたのは昨年の“総がかり運動”の広がりに危機感を持った故の「迂回作戦」であり、そうでなければ既定方針で進んだ筈です。災害出動などで国民の幅広い支持を得つつある自衛隊の存在を否定する事は難しく、秘密保護法や自衛隊の装備が何を意図しているのかを暴露しなければ、加憲の反平和主義の意味は浸透しないだろう。
寝屋川 平和と市民自治の会 大同 俊博
7月9日、寝屋川市民会館で『動き出した改憲―その狙いを考える』集いを持ちました。これは<平和と市民自治の会>が主催して、「希望のクラブ」の協賛を得て開いた講演会であり、地元の電通大の教員・中里見さん(憲法学/ジェンダー法学者)の講演を聴くと言う企画でした。
2020年に改悪憲法を施行させると公言するアベ政権は、4年前に「第96条を先行して改正する」策を弄したものの、党内からも異論が出て立ち消えになった。次いで翌年に解釈改憲による集団的自衛権=安保法制を以て、改憲の試みを進めた。この第3弾が今回の改憲施行と言う訳で、その狙いは何処にあるのか、中里見さんの講演は、要点をまとめて詳しく解説して下さいました。
第9条の1項、2項 を残したままで新たに自衛隊の存在を明記する、と言う単純そうに見えるアベ政権の策謀の中に、実はとんでもない事が隠されている。既に自衛隊は集団的自衛権を行使する事が可能な状態になっていて、それを憲法に加憲するだけで全面展開へ進む事が出来る。しかし、第9条2項【陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない】が活きている限り、集団的自衛権は部分に留まる。実際に、憲法に自衛隊が記述されていない事で、政府は自衛隊が何が出来るかを一つ一つ説明しなければならない。自衛隊そのものが憲法に記されていないので、その都度の説明が必要なのだ。9条2項との関係で、「自衛隊は軍隊でも戦力でもなく、自国を防衛する為の必要最小限の実力」だと説明・解釈されてきた。そう言う意味で9条2項は、未だに強い規制力を持っているのです。ところが、現状の自衛隊を明記する事で、「確立された国際法に基づき/自衛の為」との理由を以て今の集団的自衛権の部分行使から全面展開への道を開く事になり、専守防衛から逸脱する事を許す結果になる。「自衛の為」とは個別的自衛に限定する訳ではないから、かつての「国益の生命線として満州へ侵略して行った事実」のとおり、海外侵略を可能にさせる。その意味で、加憲とは9条2項を死文化するものであり、9条に3項を付け加える事で現行憲法の平和主義を踏みにじる意図が秘められていると判断される。
たった一行の文言が日本を「戦争できる国」に変える事となり、加憲は共謀罪より以上に凶暴である事が中里見さんの講演で明らかにされました。この講演を受けて、参加者はアベ政権の退陣と野党共闘を推し進める決意を固める事が出来たと思います。また、主権者として市民自治を進展させよう、との呼び掛けにも賛同が得られて、『動き出した改憲』を阻止する闘いを寝屋川で始める契機を作れたように考えます。
とは言え、中里見さんが述べておられたように、改憲を阻止する事は相当に手強い難題です。アベ政権が自民党の改憲案ではなく、9条に3項を加える案を出してきたのは昨年の“総がかり運動”の広がりに危機感を持った故の「迂回作戦」であり、そうでなければ既定方針で進んだ筈です。災害出動などで国民の幅広い支持を得つつある自衛隊の存在を否定する事は難しく、秘密保護法や自衛隊の装備が何を意図しているのかを暴露しなければ、加憲の反平和主義の意味は浸透しないだろう。