9月24日「キム・ヒョンテさん講演会」の報告
~「民主主義はうるさいものだ」(キム・ヒョンテ)~
9月24日に寝屋川市立産業振興センターで「キム・ヒョンテさん講演会」を開催しました。キムさんは2013年に来阪して立命館大学コリア研究センターで客員研究員をされ、「日韓両国の過去清算と在日朝鮮人」を研究テーマとされています。過去清算の専門誌「歴史と責任」編集幹事、2015年北海道強制労働犠牲者遺骨奉還『70年ぶりの里帰り』事務局長などを歴任されています。
今日の講演テーマは「韓国のロウソク集会と朴槿恵(パク・クネ)大統領拘束の意味」です。
キムさんは自分の歴史、家族の歴史の中に朝鮮の歴史が含まれるので、朝鮮の歴史を振り返るために自分とか家族の歴史を話されました。キムさんの父方の祖父母は「以北」の出身で、キムさんは「以北」に行ったこともなければ、祖父母にあったこともなく、家族にも朝鮮の分断が反映していることを話されました。日常的に「北朝鮮」「韓国」という言い方をせずに、「以北」「以南」という言い方をしているし、この講演でもその言い方をすると前もって話をされました。
昨年9月にハンギョレ新聞(キムさんの父が設立にかかわった市民によってつくられた新聞)が崔順実(チェ・スンシル)の介入を初めて報道し、3回にわたり朴元大統領が対国民談話を発表する都度、ロウソク集会に参加する市民が増えました。多くの市民団体、労組が集まって結成された「朴槿恵政権退陣緊急国民行動」が主催するロウソク集会は昨年10月19日に開始され、それ以降毎週土曜日に開催されました。ソウルの冬は大阪のそれに比べて当然寒いと想像することができます。そのような中でロウソク集会が開催されています。12月3日、第6次ロウソク集会には全国232万人(ソウル170万人)が集まり、その市民の怒りが12月9日、国会での弾劾決議案可決を実現しました。そして、憲法裁判所は崔被告の利権追及への加担、職権乱用と疑惑解明への捜査拒否などを理由として朴槿恵大統領の罷免を決定し、彼女は拘束収監されました。
キムさんは「韓国の歴史のなかで、脈々と市民の運動が続いていることが集会の背景としてあります。市民の怒りと行動が国会と憲法裁判所を動かした。」韓国憲法の条文の「大韓民国のすべての権力は国民に由来する」という民主主義を市民の行動で示したところにこの弾劾・罷免の意義があると話されました。日本のメディアが指摘していないが、市民の怒りの背景に韓国社会で進む規制緩和、格差拡大、若者の失業率の高さ、新自由主義政策があることも指摘されました。
休憩時間中に質問用紙に書いてもらった質問にキムさんが答える形で質疑応答が進みました。「ロウソクを使用したのはどうして」「スライドの特検実施について」「失業率以外の社会問題は」「軍隊に行かれたの」「韓国の憲法はいつつくられて、どのような原理がうたわれているのか」「日本の市民運動の弱さについて気づかれたこと」「財閥、学閥をどう考えておられるか」などの質問が寄せられ、キムさんは丁寧にこたえられていました。
最後に、アンケートに書かれている感想の一部を以下に掲載します。
「今回、韓国の金さんの生の声でのお話を聞くことができ、とても有意義な時間でした。とても上手な日本語でお話されて驚きました。今後も両国の関係改善をめざして問題点を一つずつお聞かせ下さい。」
「強力な財閥、学閥の問題がある限り、韓国は良くならないのではないか」
「すごく勉強された人かと思います。韓国はかなりの時間をかけて民主化されたと思います。」
講演の報告を書いているものとしては、「日本の市民運動の弱さについて気づかれたこと」という質問に答える中で、「民主主義はうるさいものだ。周りの人にうるさく自分の権利を主張し、意見を言うことでうるさいものと思われてもいいのでは」と言われていたのが一番印象に残っています。
重いテーマに対して、いろいろと工夫して講演していただき、質問に対しても丁寧にこたえていただきありがとうございました。この紙面をおかりして、講師の金さんにお礼の言葉を述べさせていただきます。
~「民主主義はうるさいものだ」(キム・ヒョンテ)~
9月24日に寝屋川市立産業振興センターで「キム・ヒョンテさん講演会」を開催しました。キムさんは2013年に来阪して立命館大学コリア研究センターで客員研究員をされ、「日韓両国の過去清算と在日朝鮮人」を研究テーマとされています。過去清算の専門誌「歴史と責任」編集幹事、2015年北海道強制労働犠牲者遺骨奉還『70年ぶりの里帰り』事務局長などを歴任されています。
今日の講演テーマは「韓国のロウソク集会と朴槿恵(パク・クネ)大統領拘束の意味」です。
キムさんは自分の歴史、家族の歴史の中に朝鮮の歴史が含まれるので、朝鮮の歴史を振り返るために自分とか家族の歴史を話されました。キムさんの父方の祖父母は「以北」の出身で、キムさんは「以北」に行ったこともなければ、祖父母にあったこともなく、家族にも朝鮮の分断が反映していることを話されました。日常的に「北朝鮮」「韓国」という言い方をせずに、「以北」「以南」という言い方をしているし、この講演でもその言い方をすると前もって話をされました。
昨年9月にハンギョレ新聞(キムさんの父が設立にかかわった市民によってつくられた新聞)が崔順実(チェ・スンシル)の介入を初めて報道し、3回にわたり朴元大統領が対国民談話を発表する都度、ロウソク集会に参加する市民が増えました。多くの市民団体、労組が集まって結成された「朴槿恵政権退陣緊急国民行動」が主催するロウソク集会は昨年10月19日に開始され、それ以降毎週土曜日に開催されました。ソウルの冬は大阪のそれに比べて当然寒いと想像することができます。そのような中でロウソク集会が開催されています。12月3日、第6次ロウソク集会には全国232万人(ソウル170万人)が集まり、その市民の怒りが12月9日、国会での弾劾決議案可決を実現しました。そして、憲法裁判所は崔被告の利権追及への加担、職権乱用と疑惑解明への捜査拒否などを理由として朴槿恵大統領の罷免を決定し、彼女は拘束収監されました。
キムさんは「韓国の歴史のなかで、脈々と市民の運動が続いていることが集会の背景としてあります。市民の怒りと行動が国会と憲法裁判所を動かした。」韓国憲法の条文の「大韓民国のすべての権力は国民に由来する」という民主主義を市民の行動で示したところにこの弾劾・罷免の意義があると話されました。日本のメディアが指摘していないが、市民の怒りの背景に韓国社会で進む規制緩和、格差拡大、若者の失業率の高さ、新自由主義政策があることも指摘されました。
休憩時間中に質問用紙に書いてもらった質問にキムさんが答える形で質疑応答が進みました。「ロウソクを使用したのはどうして」「スライドの特検実施について」「失業率以外の社会問題は」「軍隊に行かれたの」「韓国の憲法はいつつくられて、どのような原理がうたわれているのか」「日本の市民運動の弱さについて気づかれたこと」「財閥、学閥をどう考えておられるか」などの質問が寄せられ、キムさんは丁寧にこたえられていました。
最後に、アンケートに書かれている感想の一部を以下に掲載します。
「今回、韓国の金さんの生の声でのお話を聞くことができ、とても有意義な時間でした。とても上手な日本語でお話されて驚きました。今後も両国の関係改善をめざして問題点を一つずつお聞かせ下さい。」
「強力な財閥、学閥の問題がある限り、韓国は良くならないのではないか」
「すごく勉強された人かと思います。韓国はかなりの時間をかけて民主化されたと思います。」
講演の報告を書いているものとしては、「日本の市民運動の弱さについて気づかれたこと」という質問に答える中で、「民主主義はうるさいものだ。周りの人にうるさく自分の権利を主張し、意見を言うことでうるさいものと思われてもいいのでは」と言われていたのが一番印象に残っています。
重いテーマに対して、いろいろと工夫して講演していただき、質問に対しても丁寧にこたえていただきありがとうございました。この紙面をおかりして、講師の金さんにお礼の言葉を述べさせていただきます。