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放射線の感受性について

2011-03-22 01:44:23 | 学問
よく、記者会見などで、『人体に影響が出るレベルではない』と聞くことが多いです。
何故問題ないのか?→それは、問題のある基準値を知っておくことが大切だと思います。
放射線について正しい知識を持っていただき、メディアの情報に左右されずに各個人で適当な対策がとれるようになってもらいたいものです。
私は医療従事者という立場上、他の職業に比べ、当然被曝量は多いです。
ですが、身体に影響は出ません。影響が出ない理由、影響が出る基準も理解しているつもりです。

医療従事者の立場からまた放射線について述べたいと思います。
今回は身体の各部位によって影響が異なることについて述べたいと思います。

1、放射線の感受性について(ベルゴニー‐トリボンドーの法則 【Bergonie-Tribondeau's law】)

身体の各部位によって放射性感受性は異なります。ここだけで良いので押さえていただけたらと思います。
◎放射性感受性
・最高 : リンパ球、骨髄、腸、精巣、卵巣
・高い : 水晶体(眼の部分)、皮膚、口腔、食道、胃、尿管
・中  : 成長期の骨や軟骨、結合組織
・低い : 骨、肺、腎臓、肝臓、脾臓、甲状腺、副腎
・最低 : 神経、筋肉

これらは以下の法則に従います。

→  ベルゴニー‐トリボンドーの法則 【Bergonie-Tribondeau's law】

放射線に対する細胞の感受性は増殖の活動力に比例し、分化の程度に反比例する。ことを言います。

増殖・・・1個の細胞が2個に、2個の細胞が4個に増えることを言う。「細胞分裂」と同意
分化・・・それぞれの細胞が役割を持つこと、つまり機能することを言う。

細胞は「分裂(増殖)」を繰り返すことで数を増やし、「分化」することで、機能を身につけていきます。

→まとめると

 �細胞分裂の頻度の高い細胞ほど感受性が高い

 �将来行う細胞分裂の数が多いほど感受性が高い
 
 �形態・機能が未分化な細胞ほど感受性が高い

細胞分裂している間は被曝しやすく、構造が単純なものほど被曝しやすいということになります。



分裂の周期は

間期  →  有糸分裂期(M期)  →  間期    となりますが、
 
間期はさらにG1期、S期、G2期に分けられます。
 M期 : 放射性感受性が最も強い時期。有糸分裂の時期をいい、ほとんどの細胞で1時間くらい。
G1期 : 活発なため、放射性感受性が最も低い。G1期の間にDNA合成に必要な酵素が活性化される時期です。
 S期 : M期の次に放射性感受性が高い。核のDNAの複製がおこる時期である。
G2期 : G1期に次いで感受性が低い。分裂の準備の最終段階が始まり、タンパク質の合成が増加する時期です。

以上より、細胞分裂頻度の高い組織ほど感受性が高いことがわかります。
例外として、リンパ球は、細胞分裂しませんが、アポトーシス(細胞の自然死)しやすいので感受性が高いのです。


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