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放射線の単位について

2011-03-23 21:43:12 | 学問
東京都の水道水から1リットルあたり約200Bq(ベクレル)の放射性ヨウ素を検出したと発表され、またも混乱をしている状況です。今度は水を買いだめしている人が増え、スーパー、コンビにから水が消えてきています。
いくら何でも、報道に過剰反応しすぎではないのか??と思います。
原子力安全委員会は飲料水に指標を定めており、それは
1リットルあたり300Bq(ベクレル)

小児の場合は
1リットルあたり100Bq(ベクレル)
とのことです。

さて、ここで登場したBq(ベクレル)って単位に戸惑った方は大勢いらっしゃると思います。
Gy(グレイ)とSv(シーベルト)はここ最近馴染みのある単位になりました。
しかしまた新しい単位の登場です。
ここで一度、放射線の単位を項目別におさらいしてみたいと思います。そもそも放射線の単位はどのようになっているのか??
実はややこしいのには理由があります。そのややこしい理由まで述べてみたいと思います。

・照射線量(C)・・・・単位 : C/kg(クーロン毎キログラム)
・吸収線量(D)・・・・単位 : Gy(グレイ)
・線量等量・・・・・・・単位 : Sv(シーベルト)
→実効線量(H)と等価線量(E)に分かれる。

・放射能・・・・・・・・単位 : Bq(ベクレル)
・放射線のエネルギー・・単位 : eV(電子ボルト) 

それぞれどこを基準に見るか??で、単位を分けていると言えます。

1、照射線量(C/kg)
空気1kg中に1Cのイオンを作るガンマ線、エックス線の量をいう。
→つまり、一定の場所における空気を電離する能力の量を示したもので、「照射線源」を基準としている。

2、吸収線量(Gy)
1kgあたり1Jのエネルギーの吸収がある時の線量をいう。
→つまり、放射線を照射された物質に吸収されたエネルギー量を示したもので、「物体」が基準になる。

3、線量当量(Sv)
吸収線量(Gy)×WR(放射線荷重係数)×修正係数で表される。

3-1、実効線量(Sv)
「人(全身)」 が基準になる。各組織の障害の感受性(荷重係数)を考慮して加算した線量をいう。

実効線量(H) = 吸収線量(D)× WR(放射線荷重係数) 

3-2、等価線量(Sv)
「人(局所)」 が基準になる。被曝を受けた臓器によって障害の程度が異なる。

等価線量(E) = 実効線量(H)× WT(組織荷重係数)

WT(組織荷重係数)・・・・・・各臓器の確率的影響のリスクを考慮して決められた値
生殖腺:0.20 骨髄、結腸、肺、胃:0.12 膀胱、乳腺、肝臓、食道、甲状腺:0.05 皮膚、骨:0.01 その他:0.05 

4、放射能(Bq)
放射性同位元素が放射線を出す能力をいう。放射線と放射能を混同することが多いので注意。
1Bqは1秒間に原子核が1個崩壊する量の放射能を表す。

5、放射線のエネルギー(eV)
電子が1Vの電圧で加速されて得る運動のエネルギーを言う。放射線のエネルギーを表す単位としてよく用いられる。 


なぜややこしいのかというと、理由は2つ
一つ目の理由として、
Sv(シーベルト)とBq(ベクレル)は比べようがないのです。
理由は放射能の大小では、放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を受ける身体の部位などは考慮できないからです。
しかし、放射性物質を特定し、摂取した放射性物質の量と被ばく線量の関係を表す実効線量の係数をあらかじめ求めておくことで、おおまかに計算が可能です。これは、国際基準ではなく、学会の設けたおおまかな基準であることを前もって理解してください。

実効線量係数 = 線量(Sv) / 放射能(Bq)

吸入と経口の場合で異なり、質量数131のヨウ素の放射性同位体の場合の経口投与で計算してみます。
係数は 2.2×10-8(mSvの場合は2.2×10-5) です。
この実効係数も学会により目安にすべきある程度の基準値が出ているようです。

では、BqをSvに換算するには
線量(Sv) = 実効線量係数 × 放射能(Bq)となります。

つまり、今回の水道水を例にとると、1リットルあたり200Bqの放射能を有する水を1kg(約1リットル)飲んだ時の放射性ヨウ素の吸収線量を計算してみます。

線量(Sv) = 2.2×10-8 × 200(Bq) となり、

線量(Sv) = 4.4×10-6 → 0.0000044(Sv) 

線量(mSv)= 0.0044(mSv)

線量(μSv)= 4.4(μSv)となります。


自然放射線の一時間あたりのおおまかな基準値を0.05μSv/hとすると、
一日あたりの自然放射線の被曝量は1.2μSv程度となります。
1リットル飲料しても、おおよそ4日分の安全な自然放射線による被曝量以下の計算になります。

だから、報道は、成人が摂取しても問題ないですよ。但し、小児は感受性が高いので注意を怠らないようにしてください
という意味と私は解釈しています。
そもそも、温泉の被曝量はこの比ではありません。
とはいえ、この基準値は、おそらく厳しく改定されるでしょう。

二つめの理由として、
昔と現代では単位が異なるということです。
照射線量(C/kg)は以前は(R:レントゲン)でした。
同様に、
吸収線量(Gy)は(rad:ラド)
線量等量(Sv)は(rem:レム)
放射能 (Bq)は(Ci:キュリー)
でした。
レントゲンもグレイもシーベルトもラドもレムもキュリーも全て人の名前だったと思います。
何が言いたいのかというと、古い教科書や文献を調べると単位が現在と違うのです。
これがまたややこしい。
例えば、チェルノブイリ原発事故の資料に目を通すと、単位がrad:ラド やCi:キュリー
で出てくるため、今回の福島第一原発と比べる際にちょっとした計算を行わないといけないのです。

これは、国際単位(SI単位)として、共通化したためです。
国際単位系(SI)は、メートル条約に基づき
MKS単位系(長さにメートル(m)、質量にキログラム(kg)、時間に秒(s)を用いる)
この3つの単位の組み合わせでいろいろな量の単位を表現していくことです。


すると、Bq、Sv、Gyなどは全てSI基本単位に属し、上記のCiなどは非SI単位になります。



・追記 ~放射性ヨウ素について~

小児は腺組織が発達しており、中でも甲状腺はヨウ素を貯め込む組織です。
ヨウ素は本来安定した元素で、原子番号が53、中性子数が74、つまり質量数が127で安定しています。
しかし、質量数238のウランの核分裂によって生じた放射性ヨウ素は質量数が131です。
これは、中性子数が多いため、不安定であることを示し、一定期間(約10日前後)で崩壊します。
その際に出す放射線は、内部被曝となります。
内部被曝では、ガンマ線だけでなく、組織荷重係数の高い、アルファ線も加わるため、危険視されています。
あらかじめ、体内に安定した質量数127のヨウ素を貯めておけば同位体である質量数131の放射性ヨウ素が吸収されないので、一時期薬局でヨウ素が不足になったり、とろろこんぶを買い占める騒動が起きたのだと思います。
原発の事故問題が解決し、約2~3週間経過した後には放射線ヨウ素の脅威は激減するでしょう。
現地、被災地、色々と考えると心苦しいものがあります。一刻も早い復旧に向け、できる限り協力していきたいものです。

今後、半減期の短いヨウ素から、半減期の長いセシウムが話題になるでしょう。
放射性セシウムは137と134がほとんどで、
134の半減期は約2年
137の半減期は約30年

調べると色々わかります。




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