姫と太郎の賑やかなお家

姫14歳、太郎9歳。高機能広汎性発達障碍の子供たちとの賑やかな暮らしぶりを綴っていこうと思います。

太郎の体験入学

2010-02-13 01:15:18 | 太郎のこと
火曜日に就学説明会と体験入学がありました。
親たちが体育館で説明を聞いている間、子供たちは1年生の子達と教室で遊びます。

教室での様子が見られないのは残念でしたが
「楽しかった」と太郎は笑っていました。

それより驚いたのが説明を聞きに集まったお母さん達のマナー
新1年生より更に小さい子供を連れてきているんですが、
その子達が体育館の中を走り回るし、騒ぐし
マイクを使っても校長先生の声が聞き取り難いほどの騒ぎです

「子供たちは周りの大人しだいです。
いけないことはきちんと叱る。
そして、良いことをした時はしっかり褒めてあげてください」

校長先生のそんなお話の最中も走り回る子供たちとお喋りに夢中のお母さん達
たまりかねたPTA執行部の方が「し~ 静かにしようね」子供たちに声をかけても
親も子供も知らん顔なんです。
ただただ、ビックリでした

その後、太郎たちが体育館に戻ってきて親子で人形劇鑑賞
後ろから太郎の様子を見ていると、隣の男の子とケラケラと楽しそうに笑っていました。
途中で夢中になるあまり立ち上がったりもしましたが、先生に肩を叩かれるとすぐに座ってました。
初めての集団の中では良く頑張ったと思います

そして解散の時、先生が
「それじゃあ、一度にみんなが動くと混雑するのでクラスごとに退場してください。
新1年生の皆さんは自分のクラスが呼ばれたらお母さんの所へ行ってください」

太郎は一番最後のクラスでした。
みんなが我先にと順番を待てずに走りだす中でポツンと一人立っていました。
じっとその場を動かずに辺りを見回し、私を探していました。
側にいらした先生が何か声をかけてくださっていましたが、
一人その場から動かずにキョロキョロ

「タロ!」私が声をかけ手を振るとやっと笑顔に
側にいらした先生を見上げて、先生が笑いながら何か仰ると
嬉しそうに私の元へ駆け寄ってきました。

4月からはきっとこんな風に固まってしまうことがあるんだろうなぁ
それでも「嫌だった」「もう行かない」とは言わなかった太郎です。
太郎が頑張るって決めてるなら私は何も聞かずにいようと思いました。

その後は学童の説明会でした。
これもまた見事なものでした

退屈した子供たちは遊び始めたんですが、太郎と他に2人の男の子が
紙を丸めたものでチャンバラごっこを始めました。
私は何度も「し~っ!静かにね」と言ったんですが、
私が声をかける度に太郎がハッとしたように止まるんですが
その隙をついてあとの二人が集中攻撃をかけるんです

たまりかねて太郎もやり返すんですが、両方から一度に叩かれるのでたまらず力が入ります。
私も太郎が他の子を怪我させてはいけないという思いから「叩かない!」と声をかけます。
するとやっぱり太郎は集中攻撃を受けるんです。
ポカポカと二人から叩かれても首をすくめて我慢します。
たまらず私の所に来てもその子達は追いかけてきて止めようとしません。
「危ないから止めようね」そう言っても、私の腕の中にいる太郎を叩き続けます。

とうとう太郎が「逃げるわ」と走って逃げるとその後を追いかけてまだ叩きます。
抵抗しない太郎をどうしてそこまで叩けるのか?
この子たちの親はどこ?
そう思った矢先「静かに!」と先生に一喝されてやっと解放されました。
太郎は先生に怒られてしゅんとして私の元へ・・・
あとの二人が向かった先は、なんと!私の前と隣の席のお母さん
目の前で我が子が無抵抗の子を叩いているのに知らん顔?
この子たちがいる学童に太郎を預けて大丈夫だろうか?

そして太郎はいつもこんな風に叱られてるのかなぁと胸が痛みました。

先生から見れば「一緒になって騒いでいた」ことになるでしょう。
でも、太郎は自分から仕掛けたわけでもなければ、過度にやり返したわけでもない。
出来るところまで我慢して、やり過ごそうとしたけど相手が止めてくれなかった。
それでも一緒に叱られる。

「タロは悪くない。何もしてない。でも、先生もみんなもタロが悪いって言う。
だから、タロはもう保育園では何も言わん」
そう言って泣いていた太郎。
先生方に聞いても「タロくんかなりのことしてくれるんですよ~」と言われるばかり。
真相は判らないままだったけど、こういうことだったんじゃないかと思った。

もう一つ、言葉が遅かった太郎が私にどれ程正確に保育園での出来事を話すか、
太郎の特性として「状況を的確に伝える」ことは得意分野なのだということを
先生方は知らなかった。
だから、平気で私にも「太郎が悪い」と言えたのでしょう。
他の園児には通用しても太郎には通用しない。
まして、自分が受けた理不尽な扱いを太郎が忘れるはずもなのです。

一度、たまりかねて園長先生に太郎から聞いた一部始終を問いただしたら
絶句した揚句、しどろもどろの言い訳を始めた。

大人のズルさを太郎はちゃんと知っているんです。
そのズルさに自分では勝てないことも・・・

入学前の説明会だけでドッと疲れてしまいました
これでは先が思いやられる・・・

気分直しに太郎を連れて保健室へ
S先生に「こんにちは~」と言うなり
「タロくん、学校はどうでしたか?お姉ちゃんは心配でたまらんみたいやったよ
「え?姫、来てたんですか?」
「ええ。タロくんのクラスを確認したり、案内役の6年生をチェックしたり
走り回ってましたけど、会いませんでしたか?」

姫ったら・・・
目に浮かぶだけにおかしくて

「お姉ちゃんがいるからタロくんも安心やね」とS先生。

「タロ、ここが保健室よ。そしてS先生。
怪我したりどこか痛くなったらここに来るの。
それから、何か困った時にもここに来るんだよ。わかった?」

「うん、わかった!マークも覚えたし

「マーク?」何のことかわからない私に

「お母さん、やっぱり目の付けどころが違うのよ!ほら、あそこ!」

先生が指さしたのは「保健室」と書かれたプレート。
その下には淡いピンクで十字マークや薬の瓶の絵が

「なるほど!タロ、よく見てるね~ じゃあ大丈夫ね?」

「うん、大丈夫

「じゃあ、先生にも『お願いします』しよう」

「お願いします!」と元気にペコリ

「はい、よろしくね~ ホント、顔は姫ちゃんそっくりなのに性格は正反対かな?
元気に通ってきてね。楽しみにしてるからね

もうS先生無しには姫も太郎も学校生活は成り立たないんじゃないかと思うほど
心強い味方です。

体験入学で不安が倍増した私です
でも、凹んでる暇はありません。
あと2カ月足らずでやるべきことは数知れず・・・
頑張らねば

太郎はというと水曜の夜から嘔吐を繰り返し、祝日に救急センターに駆け込みました。
「喉も赤くない、熱も微熱程度・・・でも脱水するほどの嘔吐かぁ」と
先生も???で診断がつかないまま点滴
ぐったりな太郎は看護師さんに抱っこされて処置室へ・・・
「今は体に水分を入れることぐらいしか出来ませんけど」って先生から言われて
「それで充分です。ありがとうございました」と帰ってきました。
帰ってからもスヤスヤと眠り続ける太郎
結局、金曜日の昼過ぎになってやっとプリンを食べました

食べられるようになれば一安心です