姫と太郎の賑やかなお家

姫14歳、太郎9歳。高機能広汎性発達障碍の子供たちとの賑やかな暮らしぶりを綴っていこうと思います。

姫の怒り

2010-02-14 23:53:38 | 姉と弟
昨日、姫と太郎と3人でバレンタインの友チョコを買いに大型ショッピングモールへ

本当は太郎の体調の心配もあって姫と2人で行くつもりでした。
ところが、太郎は出かける気配を素早く察知
一番先に準備
丸1日嘔吐もないし熱もないので一緒に連れて行きました。

チョコを買って、太郎の机の下見をして、ご飯を食べて
「さあ!帰ろう」とエスカレーターを降りた途端
吐いてしまいました
急いで太郎を近くのベンチに座らせ、すぐそばのお店の方に
「子供が吐いてしまったので片付けたいのですが・・・」
と、声をかけて掃除道具を貸していただこうと待っていました。

姫と汚してしまった床の所で立っていると実にいろんな反応が・・・
「大丈夫ですか?」と声をかけてくださった初老の女性。
「きゃ~」と叫ぶ若い女の子。
無言で不快な顔をされる方。
私と姫と汚れた床を交互に見て「きったな~い」という人。

姫には「向こうに行ってていいよ。
お母さんお掃除道具貸してもらうから姫はタロの傍におってやって」と言いました。
でも、姫は「みんなひどいよ。自分たちだって吐くことあるやん!
タロだって吐きたくてここで吐いたんじゃないのに!
大丈夫、姫もここにいる!一緒に片付けるよ」

太郎は通り過ぎる人の目が気になるのかいつの間にかベンチを離れて
すぐそばの柱に体を隠して、こちらを覗いています。

「ねぇ、タロが気にするから一緒におってあげて」

「だって、みんなお母さんのこと睨むよ。
何も悪いことしてないのに、ひどい!おかしいよ!

「仕方ないよ。通り道だし、靴が汚れたら誰だっていい気はせんよ

「でも!人間だったら吐くじゃん!自分たちだって吐くくせに!
あんなに嫌な顔して睨むのおかしいよ!

そんな私たちの話を太郎は柱のかげから聞いています。
顔には不安の色が・・・

そうこうしているうちに、ショッピングモールの方が
「お子様は大丈夫ですか?医務室にご案内するか、救急車を呼びましょうか?」

「いえ、少し休めば大丈夫です。
すみません、道具を貸していただけたらすぐ片付けますので

「いえ、ここは私共で片付けますのでお子様を。お大事になさってください」

そう言いながら、他のお客さんが踏んでしまわないように誘導してくださいました。

お言葉に甘えて、お店の方にお礼を言って私たちはそのまま帰らせていただきました。

帰りはタクシーでしたが、太郎はしょんぼりしたまま
一言も話しませんでした。

姫はずっと怒っていました。
「みんな何で?自分だって・・・ひどいよ」
ずっと言い続けていました。

家に着いてタクシーを降りる時、太郎は運転手さんに向かって
「ありがとうございました」ペコリと頭を下げました。
それから私に向かって「タクシーでゲボしなくてよかった」やっと安心したようににっこり

家に帰っても姫の怒りは収まらず、主人に機関銃のように事の次第を話していました

一緒にお風呂に入った時にも姫は言い続けました。
「学校でもそうやねん。
誰かが吐いたら大騒ぎして『汚い』とか『うわ~』とかうるさい
『大丈夫?』とか言うのはホントに少しの人だけやもん」

「そんな時でも姫は手伝ってるん?」

「うん。ちゃんと手伝って片付けてる。
だって、みんな逃げるし

「えらいね、姫は。
人が嫌がることを進んで出来るのは凄いことやわ」

「みんな、何で嫌がるん?自分だって吐くことあるのに。
同じやん?何で嫌か姫にはわからんもん。
姫は全然平気やし

そう言えば、太郎が吐くといつも自分から手伝ってくれる姫。

「お母さんがするからいいよ」そう言っても

「ううん、手伝う」そう言って黙々と片づけを手伝ってくれます。

そんな姫の姿に驚き、感謝し、感動しました。

今回のことがなければ姫が学校でも同じようにしているなんて知らずにいたと思います。

おっとりのんびりしていると思っていた姫の怒りは思わぬ所で爆発していたんです。

母親としてそんな姫を誇らしく思いました。
凛とした姫の心を垣間見た気がします。

心配なのは太郎です。
あいかわらず嘔吐以外の症状はナシ。
もしかしたらストレスからくる胃炎?
やっぱり無理してるのかなぁ

今日「おばあちゃんと机を買いに行ってくるけど、
タロはしんどかったらお留守番する?
お母さんとおばあちゃんで決めてきていい?」って聞いたら
「うん、いいよ。タロ留守番しとくわ」って言われちゃいました。

おばあちゃん(私の母)に体験入学の話をしたら
「あんたも何で止めたん?タロかってやり返したらええんよ
と、怒られてしまいました

母の言いたいことはわかるんですが、姫の時のことが頭から離れなくて・・・
こちらに悪気はなくても決して許されない、それどころか加害者扱いされることの辛さ。
いくら「違う」「姫はやってない、悪くない」って言っても信じてはもらえない辛さ。
先に「やられた!」と言い出した方が被害者でまかり通る現実。
思い出しただけでも胸が苦しくなります。

「あんたがそんなんでどうすんの?しっかりしなさい!」
母に叱られて、改めて自分の不甲斐なさ、弱さを思い知りました。

私より姫の方がよっぽど強いかもしれません