◎千一夜物語 その5 ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語(2)
★ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語(第807-814夜)(「完訳 千一夜物語10」、岩波文庫)
●「ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語」(第808夜)より(非公認方言版?)
○一部、関西弁でしゃべってよろしおすか?
ここだけの話やけん
よそで、言わんといてえ
「そや、おまはんの言わはるとおりや
この絨毯には見えへん霊験が授けられてて、この上に坐ったら、すぐに行きたいところに運ばれていって、しかも片目を開ける暇もないほどの速さで行けるのでございます。それでどんな障害物もその進行を阻むことはでけへんのです。この絨毯のゆくところ、暴風雨は遠ざかり、雷雨は逃げ、山々と城壁は開いてしまい、堅牢この上ない錠も、役に立てへんのですたい
これが、我が殿よ、この祈祷用絨毯の見えない霊験でございますっちゃ」
「もし、この絨毯にお前が聞かせた霊験がほんまにあるんやったら、私はお前の要求する金貨4万ディナールはもちろん、さらに手数料として、1千ディナール払ってやるけえ」
「その4万ディナールはどこにあると」
「私が泊まっている、大きな旅館に置いてあると」
「そしたら、歩いて行くよりも、この絨毯に乗って行くほうがずっと早いさ」
競売人は、絨毯を拡げて、アリ王子にその上に坐るように言い、自分も王子のそばに坐りました
「我が殿よ、心の中で、あなたのお宿の、おいでの場所に運んで行ってもらいたいという祈願をお唱え下さい」
アリ王子がその祈願を心中で唱えると、もう自分の部屋に運ばれておりました
揺れもせず、坐ったままの状態で、空中を渡ったのか、地下を通ったのか、何もわからなかったのです
こうして絨毯の霊験を確認したアリ王子は、4万1千ディナールを支払い、魔法の絨毯の持主となりました
2番目のハサン王子はと申しますと、次のようでございます
ハサン王子は、ペルシアに向かう隊商に出会い、この隊商に加わって、長い旅を続けた後、ペルシアの王国の都、シーラーズの町に着きました
王子は、バジスターンと呼んでいる市場に案内してもらいましたが、ここでは宝石、宝玉、綿、美しい絹織物、上等な布地など、あらゆる貴重な商品を売っておりました
ハサン王子は、長さ30センチ、太さ3センチばかりの象牙の筒を持っている、1人の男を見かけました
その男は、その象牙の筒を、うやうやしく、威風堂々と持ちながら、ゆっくりと重々しく歩いておりました
…ここまで話した時、シャハラザードは朝の光が射してくるのを見て、慎ましく、口をつぐんだ
★ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語(第807-814夜)(「完訳 千一夜物語10」、岩波文庫)
●「ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語」(第808夜)より(非公認方言版?)
○一部、関西弁でしゃべってよろしおすか?
ここだけの話やけん
よそで、言わんといてえ
「そや、おまはんの言わはるとおりや
この絨毯には見えへん霊験が授けられてて、この上に坐ったら、すぐに行きたいところに運ばれていって、しかも片目を開ける暇もないほどの速さで行けるのでございます。それでどんな障害物もその進行を阻むことはでけへんのです。この絨毯のゆくところ、暴風雨は遠ざかり、雷雨は逃げ、山々と城壁は開いてしまい、堅牢この上ない錠も、役に立てへんのですたい
これが、我が殿よ、この祈祷用絨毯の見えない霊験でございますっちゃ」
「もし、この絨毯にお前が聞かせた霊験がほんまにあるんやったら、私はお前の要求する金貨4万ディナールはもちろん、さらに手数料として、1千ディナール払ってやるけえ」
「その4万ディナールはどこにあると」
「私が泊まっている、大きな旅館に置いてあると」
「そしたら、歩いて行くよりも、この絨毯に乗って行くほうがずっと早いさ」
競売人は、絨毯を拡げて、アリ王子にその上に坐るように言い、自分も王子のそばに坐りました
「我が殿よ、心の中で、あなたのお宿の、おいでの場所に運んで行ってもらいたいという祈願をお唱え下さい」
アリ王子がその祈願を心中で唱えると、もう自分の部屋に運ばれておりました
揺れもせず、坐ったままの状態で、空中を渡ったのか、地下を通ったのか、何もわからなかったのです
こうして絨毯の霊験を確認したアリ王子は、4万1千ディナールを支払い、魔法の絨毯の持主となりました
2番目のハサン王子はと申しますと、次のようでございます
ハサン王子は、ペルシアに向かう隊商に出会い、この隊商に加わって、長い旅を続けた後、ペルシアの王国の都、シーラーズの町に着きました
王子は、バジスターンと呼んでいる市場に案内してもらいましたが、ここでは宝石、宝玉、綿、美しい絹織物、上等な布地など、あらゆる貴重な商品を売っておりました
ハサン王子は、長さ30センチ、太さ3センチばかりの象牙の筒を持っている、1人の男を見かけました
その男は、その象牙の筒を、うやうやしく、威風堂々と持ちながら、ゆっくりと重々しく歩いておりました
…ここまで話した時、シャハラザードは朝の光が射してくるのを見て、慎ましく、口をつぐんだ