2010.8.12の日経新聞の経済教室・・・
一橋大学教授の伊藤邦雄さんが『経営革新へ視野広げよ』と、
日本の「失われた20年」と呼ばれる問題に対して、
“なぜこうした事態に陥ったのか。打開策は何か。”を書かれていました。
この日本の「失われた20年」、
伊藤さんは1990年代の企業の打開策(社内カンパニー制、IT化、成果主義)は適切であったが、結果的に部分最適化や視野狭さく化が日本経済の強みであったはずのチームワークや“濃密なコミュニケーション”を否定することとなり、それが失われた20年の問題の根源となってしまったという分析をされています。
そうなると、打開策は
人材育成を改革すべきだ。
ということで、
全体最適型のプロデューサーを早急に育成すべきだろう。
(中略)
「部分」を全体最適システムとして構築できる人材が必要だ。これはチャンピオンを輩出することを意味しない。日ごろ社員が視野狭さくに陥らない仕組み・仕掛けを築くことが大事なのだ。それも「経営」のイノベーションである。
このあたりはボクも完全に同意です。
「利益責任を徹底させるため」の社内カンパニー制(部門単位の執行役員制も含む?)が、セクショナリズムや(社内でさえも)人材交流の硬直化を加速させる。
「情報共有化」のためのIT化が、他の人には見えない仕事や個人完結の仕事を増やしつつ、メールという表面的・閉鎖的なツールによりコミュニケーションを弱体化させ、マネジャーすらもプレイヤー化する環境を整える。
そして、人材育成や人件費配分の適正化(=体のいい人件費削減?)のための成果主義が“自己の目標達成が最優先”される社内文化を醸成し、目標自体を局所化・保守的にし、自分が高評価されるようなスペシャリティの見せ方への努力を推進した。
ボクはこんな風に感じています。
次の「希望の20年」に向けて・・・
伊藤さんの提言される「人材育成改革」、全体最適型プロデューサーの育成は本当に必要だと思います。
それには、経営自体も限定的な任期(失礼!そういう潜在意識の人も多そうな気がしまして。)を前提とした短期的な利益優先志向(←こういうのも部分最適ですよね。)を極力回避してもらいたいですし、
役員がその担当部門の業務執行責任よりも、もっと大きく・そして長く、会社としての利益・発展基盤の創出・増強責任を問われないと、なかなか難しい気もします。
そのために、自分が人事部として出来ることは何か???
“社内運動会や職場旅行”が必ずしも良いとは思いませんが、
社員それぞれの特性や価値観を抜きに、仕事という限定的なやり取りとなることで、相互に広がる理解不足(個人間の谷)やセクショナリズム(職場間の壁)を埋めるような、
“濃密なコミュニケーション”を志向する施策を考えたいと思いましたし。
今の時代、こういう社縁再生・会社の再コミュニティ化(もちろん望まない人には強要はしない前提)は古くて新しい福利厚生制度だと考えています。
何よりも、せっかく社内制度・人事制度の基盤として常識となりつつある「目標管理・人事評価制度」をもっと、全体最適化できるように改定・運用していきたいですね。
簡単ではないですが、今の「失われた20年」の渦中であり、次を「希望」とするか、さらに「失われた」ものとするかの大事なポイントにいるボクらは避けては通れないハードルのような気がします。
できることは小さな事だけでしょうが、出来ることからコツコツとがんばります。
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