古い傷口を新しいものの様にいつまでも留めて
触れては傷みがそこにまだあることを何度も確かめていた
許される程度の致命傷が欲しくて、そんなのは
甘えに過ぎないことだと嫌というほど理解してはいても
この世界の中で呼吸をするための分かりやすい目印が欲しいだけさ、誰もが俺をそっとしておいてくれる様な
何か取っ付き易い―仕草や顔色、そんなものが欲しいだけなんだ
路地裏で唄を繰り返すだろう?誰にも聞こえない様にこうしてモノローグを構成していると
何時かくたばった時の為の準備をしている様な気分になる時があるんだ、この生それ自体には大して意味が無い様な
肉体を無くして初めて理解される様なさ
ねえ、存在っていうのは魂を撹乱する一種のフィルターの様なものなのだろうか?生きているということはそれだけで不明瞭な現象なのかもしれないね
傷み続けるものは腐敗したりはしないさ、単純だろうがなんだろうが、それはリアルには違いないじゃないか
何かを見落した様な気持ちがあれば怯え続けているしかない―初めて暗闇の中へ歩みを進めた幼子の様にね
俺は今でも怯え続けているのだろうか、君は今でも暗闇の中で息を潜めているのか?
こんな言葉が誰の元へ届けば俺は満足するんだろう、それが理解か誤解かに関わらず?
無機質という静寂が降り積もる真夜中、唾を飲み込む音を数えて丸くなっていると
異世界からの甲高いチョーキングが聞こえるような気がする、それは判決かあるいは誘いなのか
もしも俺が冷たくなっていたら―
君に何時か確かめて欲しいものだな
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