ホワイトのお部屋

日本画を描く日々の悩みや喜び

「暗幕のゲルニカ」を読み終えた

2022-10-05 10:40:26 | 日記


図書館で借りている原田マハの「暗幕のゲルニカ」をやっと読み終えた。

余りにも有名なピカソの「ゲルニカ」。
初めて知ったのは教科書に載った絵だったように思う。熱く語る美術教師の言葉を聞いても、それほど感動したわけではなかった。やはりそれは、教科書に小さく載った写真でしかなかったし、今でも覚えているくらいだから心に響く何かはあったのだろうとは思うが。

そして、二十年近く前になると思うが、大塚国際美術館に行った時には、ひそかにゲルニカに出会うのを期待していた。行かれた方もあると思うが、世界の名画が原寸大の陶板に焼き付けられて再現してあるので、ちょっと見には実際にその名画が展示されている現場に行って見ているような感覚を味わえる美術館である。
システィーナ礼拝堂の天井画などは圧巻で、見ごたえがあり、すごかった。
ゲルニカも原寸大で見られるのかと期待したのだが、それは何分の一かに縮小された印刷という感じで、がっかりした。
ということで、スペインに行ったこともない私はゲルニカをその程度でしか見ていない。

「暗幕のゲルニカ」は、ヒットラーとムッソリーニによってスペインの小さな町ゲルニカが空爆されて、怒りに燃えてピカソがゲルニカを制作した時代と、約六十年後あの9.11のまさに報復といってもいいイラクへの軍事行動を国連安保理が容認した時代が交差しながら展開する。
9.11で夫を亡くしたMoMAのキュレーター、矢神瑤子が企画しているピカソ展に、ゲルニカを展示しようとする。

瑤子は、9.11で夫を奪われたが、イラクへの負の連鎖となる軍事行動を認めない。そこが大切ではないだろうか。
今、ウクライナへのロシアへの侵攻で多くの命が亡くなっている。
どんな理由があろうとも、他国への軍事行動は許されない。

最後にアートでの反戦を訴えること、それは意外に難しい。
戦争反対とは誰でも言う。しかし、いざ、戦争に向かう具体的な事象に直面した時に、真に反戦の立場を貫くのはどういうことか。
そう言った意味で、この「暗幕のゲルニカ」を書いた原田マハの視点は間違っていないと思う。

ちょっとまとまりのない、尻切れトンボの感想となってしまった(恥)