昨年末施設に入った従兄の連れ合いさんと共通の友人Hさんと3人で赤磐市にある永瀬清子の生家を訪ねました。かなり前に訪ねた時には廃屋同然でしたが、保存会の皆様によって修復・整備されて公開されていると知り、ぜひ行って見たかったのです。
永瀬清子さんは、戦前戦後を通じて女流詩人として活躍され現代詩の母と称される方です(パンフレットによる)かなり昔、仕事の関係で永瀬清子さんの講演の受付をしたことがあり、その時以来ファンになりました。
ちょうど、永瀬さんの詩にイメージを得て描いたという岸田真理子さんの抽象的な絵画展も開催中で、これがまた素敵で感動しました。岸田真理子さんは、植物画のような具象画も描かれていて、そういう絵も大好きな私はうれしくなりました。
そして、納屋を改造して作られたグレンデルの釜屋というレストランでランチを頂き大満足の一日でした。
パンフレットに掲載された永瀬さんの詩を紹介します。今世界で戦禍に苦しんでいる人たちのことに思いを馳せて読みました。いつの時代も苦しめられるのは弱き者たち。やがて必ず来る春が待ち遠しい(この詩は美知子皇太后によって英訳・朗読されたそうです)
降 り つ む 永瀬清子
かなしみの国に雪が降りつむ
かなしみを糧として生きよと雪が降りつむ
失いつくしたものの上に雪が降りつむ
その山河の上に
そのうすきシャツの上に
そのみなし子のみだれたる頭髪の上に
四方の潮騒いよよ高く雪が降りつむ
夜も昼もなく
長いかなしみの音楽のごとく
哭きさけびの心を鎮めよと雪が降りつむ
ひよどりや狐の巣にこもるごとく
かなしみにこもれと
地に強い草の葉の冬を越すごとく
冬を越せよと
その下からやがてよき春の立ち上がれと雪が降りつむ
無限にふかい空からしずかにしずかに
非情のやさしさをもって雪が降りつむ
かなしみの国に雪が降りつむ