戸隠キャンプ場 2012・5・10 12:00
一人で車をノンビリと長距離・・と、言っても300Kmくらいが限度カナ?・・兎に角運転しながらカントリーウェスタンを聴いているのが好きです。
これから新しい仕事が始まって色々とあるでしょうし、車を私一人で何日も使うのも難しいでしょうし、遠くまで一人で行くキャンプも人生で最期になりそうですし、どうももこの10年ばかり、心が疲れてしまっているのも自然が足りていないからだと思いますし・・・・・子供が出来る前はしょっちゅうキャンプに行っていたのに、この15年ほど一回も行っていませんし・・・・・そんな訳でこのタイミングで長野県、戸隠の長野市営戸隠キャンプ場に一人でキャンプに行きました
この戸隠キャンプ場は物凄く広くて、綺麗で、市営なのでリーズナブルな値段で、キャンプ場内に川が流れていて、牧場があって・・・兎に角素晴らしいキャンプ場なので、一度行ってみたいと思っていました。
で・・・・行っちゃた
これ、場内の川です。夏は気持ち良さそうですね
水芭蕉も咲いてます・・凄いでしょ?
朝早く、東京を出発して、ジュディ・コリンズを聴きながら関越道を藤岡にむかいます。
そして藤岡で降りて安中・碓氷峠・軽井沢・上田・長野と一般道を使って戸隠へと向います。浅間山が綺麗なんです。
で、このルートは、私がまだ青雲の志を持っていた頃(今では青雲のお線香が必用なトシになりつつあります)上信越道が出来る前に通ったルート。
若い頃を思い出しながらのセンティメンタルジャーニー・・・柄じゃないですね
しかし、この日、日本列島を覆った冬型の気圧配置による地獄が待っていようとは、神ならぬ身の私になぞ判ろう筈もなく、そのまま一直線に過酷な運命へと突き進んだのであります。
到着時は陽も差し、半袖でもよい位の天気でありました。
キャンプ場の受付のお嬢さん達はすごく美しく、そしてとても親切で感じの良いお嬢さん達で、男性の職員さんもとても穏やかで感じの良いかたばかりで、チェックインから期待が湧き上がります。
しかし、この日の天気予報は一時の予報。
その予報を、素晴らしい景色や親切な職員さん達のお陰で気分が高揚していた私は、この一時の予報をタイタニックの船長のような気持ちで甘く見ていたのでした。
4日くらい前から仕込んだベーコン用の豚バラ肉とチーズを燻製箱に入れてスモークチップに点火して、テントを張ったりします。夜にはベーコンも出来て、食事も出来るという目論見でありました。
しかし、これが最初の悲劇になるのであります。
テントの設営も終り、イスも出し、テーブルにテーブルクロスを掛けた頃・・・・・強い風邪が吹き始め、霧というか、雲と言うか・・・・そのような天気になって来ました。
戸隠キャンプ場 2012・5・10 16:00
標高1900mの雪の残る戸隠連峰に霧というか、雨雲がかかり始めました
すっかり忘れていたけど、この戸隠高原は標高が1200m以上の高地で、当然「山の天気」なので変わりやすいのでありました。
風邪はドンドン強くなり、テントが転がって行くような風に成長していました。
数日前の竜巻の災害が頭をよぎります。
私は夜に備えて薪を多目に買い込み、倒木のようなものも探してきました。
薪や倒木を抱えて帰ると・・・・・強い風が抑えていた石を転がして、スモークボックスが倒れ、燃え上がっています
慌てて駆け寄り消火活動を始めようとすると、ジーンズに何かが引っかかり、裂け目が出来てしまいました。そんなことに構わず消火及びベーコンの救出に全力を傾けましたが、活動空しく、ベーコン、チーズ供に救出することがかないませんでした。
ベーコンは見るも無残に巻いてあった伸縮性のネットが溶けて、とても食べられる状態ではなく、チーズさんも溶けて、テレビから出てきた貞子みたいになってなって地面に倒れていました。
そんな訳で今夜の食事は燃えてしまいました・・・・・
もう、料理なんか出来そうもないし、缶詰を食べることにしました・・・・あ~缶詰があって良かった。
戸隠キャンプ場 2012・5・10 17:30
風に混じって霧雨が降る・・・と言うより雨が吹いてきました。
気温はドンドン下がり、いまは息が白くなるくらいになりました。
後で聞いたところ、松本では氷点下まで下がり、長野県内や新潟県では異常な低温を記録したそうです。
5時になり、職員さん達は帰宅して、この広い野原一杯・・・じゃなくて、広いキャンプ場一杯、私の貸切になりました・・・・・そうだよな~・・・こんな日に来る愚か者は私ぐらいでありましょうね~・・・・
折角貸切なのに、屋根が有るファイアープレイスから動くことが出来ません。
兎に角火を絶やさないようにしてそこから動かないようにします。
雨は本降りになってきて、風も一向に収まらず、背中がドンドン濡れて来ます。
オマケにジーンズの、裂け目がどんどんと広がり、そこから冷気が侵入します。
戸隠キャンプ場ファイアープレイス 2012・5・10 20:00
数年前にタバコを止めて以来、オイルライターを持ち歩かないので、火をつけるのが大変でした。
朝出がけにトーストを1枚食べたきりで、この時間まで何も食べていないのですが、風と雨で調理器具が使えず、なにも食べる気が起きません。空腹ではあるのですが、なにか作ろうと言う気力がまるで起きません。
♪戸隠の雨にうたれてこのまま死んでしまいたい♪
と歌いたい気分であります。
兎に角、なにか食べなきゃマズイとは解っているのですが、食べることに関する全てが面倒な気分になり、缶詰を食べようと思って取り出してみると・・・・冷たい!
金属特有の冷たさで、缶を長く持っているのが嫌になるくらい冷たくなっていて、とても食べる気分になりません。温めて食べようと思う前に、缶詰に対する拒否反応が出てしまいます。冷えは多分缶詰最大の弱点じゃないでしょうか?
仲間でも居れば励ましあって前進するのでしょうが、一人きりですと、ミジメな気持ちが先に立ち、もうなんにもしたくなくなります。
昼間に入れたコーヒーの残りをおきの上に置いて温めます。
多分今の気温は2~3℃くらいじゃないかな~と考えながら、なんとか温かいコーヒーとウィスキー(氷が無いのにオン・ザ・ロックのように冷たい)を流し込むと、一息ついたところで米軍のMREを持ってきたことを思い出しました。
なんといいましょうか、MREを食べるのには非常に正しいシチュエーションのような気がしてきたので、MREを食べることにしました。
メニューはチキン・カヴァテッリ・・・・・・はっきり言って、メニュー内容なんて全然興味が湧きません。メニューなんかもはやどうでも良いことなのであります。
多分、チキンの蒲焼と照り焼のハイブリッドだと思います。
キャンプのときは、いつもポケットに入れているオピネルのナイフで封をきります。
キャンプのときは、オピネルのナイフ、ジッポーのライターはいつでも身に付けておくのが良いですね。
今回はライターが無くて困りましたが、以前に非常食と防災グッズ&ミリメシこば殿に頂いたエマージェンシーキットのなかにライターが入っていて助かりました。
こば殿、ありがとう御座いましたm(__)m
メインのチキンの他にプレッツェルとピーナッツバターとパンとパウダー飲料が入っていました。
これがピーナッツバター・・・カロリー高そうです。
パンに塗ったところ・・・・・疲れすぎているのか、とても喉を通りません。
チキンカヴァテッリ
カヴァテッリとは蒲焼と照り焼のハイブリッドではなく、パスタの種類で、巻いた感じみたいな形のパスタですね。
で、チキンは形成肉みたいです。
ソースはイタリア風のトマトソースではなく、メキシコ風のチリソースですね。これは他のメニューとの使い廻しでしょう。
付属の発熱剤はまるで発熱してくれなくて、殆ど冷たいままで食べましたが・・・・やはり喉を通りませんでした。もし自衛隊のMREがあれば、もう少し食べられたと思うのですが・・・・口に合わないと言うことが、ここまで食欲を左右するとは、正直思っても見ませんでしたね~・・・。
ありゃ・・・涙で・・ピンボケだな~・・・。
そんな訳で、一人ぽっちで、空腹で、寒くて、濡れそぼって、ズボンが破けて・・・殆ど昔の童話みたいな惨めな気分のキャンプ。
雨と風で疲れきってしまった私は、米軍のMRE(携帯戦闘糧食)を半分も食べないうちに胸につかえて喉を通らなくなり、食事を諦めて酒を呑むだけにしました。
ところで冷えた体にウィスキーやブランディーやウォッカを呑むと体が温まると言うのは・・・どうも本当ではないような気がしますが・・・それでも呑めば一瞬胃袋がカッとして温まったような気がしますね。
さてさて、この長野市営戸隠キャンプ場には、定点カメラが設置してあって、ホームページの右上にキャンプ場のライブ映像が流れています。
キャンプ場の職員さんが、私の家人がインターネットで私を見ることが出来るように、カメラを私のテントの方に向けておいてくださり、私の姿が世界中に流されることになったのであります。
これで、翌朝、私が変死体で発見されても捜査が非常に楽になるのであります。
しかしながら、世界中に私の映像が流されているとすれば、もし私が寒さに負けてスゴスゴとテントに潜り込んだとしたら・・・ロンドンでもモスクワでも、デリーでもバンコクでも、キャンベラでもリマでもワシントンでも、昭和基地でも大笑いが起こることは必至であります。
日本男児が世界中の笑いものになるようなことがあってはならない!ここは絶対に逃げてはならないと決意し、薪がなくなるまでは絶対に撤退しないと心に誓ったのであります。
・・・・なにやら妄想が始まったような気が・・・します・・・。
2012 5・10 22:00
薪も残り少なくなってきて、雨も益々酷くなり、ウィスキーの酔いも廻ってきて、ようやっと眠くなって来ました。
ヨシ!よく頑張った!残りの薪も無くなり、まだ薪があるのに撤退したと非難されることも無くなったので、私はテントに入り寝袋に潜り込みます・・・オヤスミナサイ・・・しかし!暫くウトウトとすると・・・安物のテントに雨が染み込み、寝袋が段々と濡れて来ました・・
外もどしゃ降りですが、心の中もどしゃ降りであります。
「天は我をみはなした・・・」
映画・八甲田山の台詞が頭を掠めます。
ウトウトしていたら足が冷たくなってきました・・寝袋が濡れてきて、ついに足が冷えてきました。
でも、このまま低体温症で息を引き取ったとしても、9時くらいまでには職員さん達が出勤して来て、冷たくなった私を発見してくれるでしょうから、死後11時間以内に発見されるでしょうし、もし、職員さん達が来る時間までなんとか生きていれば、ひょっとしたら綺麗なお嬢さん達に最期の瞬間を看取ってもらえるかも・・・・あ、それはナイな
そんなことを考えている内に、鑑識の米沢さんが私を見下ろしているのが見えてきました。
「これはどう見ても他殺ではありませんが、自殺でもありませんな~・・・事故死と言うにはあまりにもバカバカしいし・・・・よく、つがいのペットの片方が死ぬと、もう片方も淋しくて死んでしまうと言うことがあるそうですが、それと似たようなものかもしれません。この広大な自然の中にたった一人で濡れて、凍えて・・・淋しくなって死んでしまった・・淋しくて死んだので淋死と、でも言いましょうか・・・あ、なにか変な病気で死んだみたいで宜しくありませんな。」
人間は低体温症に陥ると、幻覚を見たり、錯乱状態に入ったりするそうですが、私も30分おきに目が覚めて、みょうな妄想が頭を駆け巡ります。
しかし、死ぬ間際に見た幻覚が米沢さんじゃ哀しすぎです
それにしても色々なところに疲れが溜まってきました。ホントにモウダメかな?
そのとき、又、幻覚が見えてきました・・・・今度は小さな女の子に「弱虫!」と怒られました妄想と幻覚が酷くなっているようです。
薄れ行く意識のなかにまた考えが浮かんできます・・・・人間、コレくらいの寒さで死んじゃったら・・・キャンプ場なんてのはどこだって死体の山だな
どう考えても、人間これくらいで死ぬわけはありませんね~
そんな考えが浮かんでふと笑ってしまった途端、目が冴えてきました。時間は早朝4時。
暫くすると明るくなって来ました。それと同時に気温が上がりだします。
この気温上昇を肌で感じることが出来るとは、新鮮な驚きでありました。
起きる事にして外に出ますと・・・おお!良い天気だ!
で、反対を見ますと・・・・雨で霧で虹が出てます・・・
つまり、陽射しがあって、雨が降っていて、霧が出ているのですが、虹も出ていると言う天気・・・この天気・・・どうなんでしょ?
もう一泊する予定でしたが、今夜の予報も雨で、おまけにもっと寒くなるかもしれないと言う事なので、死ぬことは無いけどこのトシにはきつそうです。
こういうときは無理をせずに勇気をもって下山を決断!・・・
あまりに冷えて、名物の蕎麦を食べることも出来ませんでしたが、いつか又来ることを誓って、キャンプ場を後にしました。
このキャンプ場は本当に素晴らしいキャンプ場でした。ワタシ、絶対に又来ますですよ。
さて、長野市内まで1時間くらいで着きます。車の中で考えました・・・車で寝ればよかったじゃん
ま、兎に角、市内で一休み。
とても古い友人(人間が古いという意味ではないです)が居るので連絡をとって会うことにしました。
で、その時間まで時間潰し。
なんというか、疲れと寝不足でナチュラルハイになっている私は、長野市内を歩き回るのでありました・・・しかし、寒いな~。
善光寺さんの山門
折角だから善光寺さんへお参りします。
びんずる尊者、通称「撫ぜ仏」様がおられまして、病人が具合の悪いところと同じ部分を撫ぜると病が治ると云われております。
ワタシは調理人に多い、テニス肘になっちゃったので、尊者様の肘を撫でました。
権堂の映画館 懐かしいかんじの映画館です
ナチュラルハイ状態の私は宛ても無く市内を彷徨います。それにしても長野
は美しいところです。躁状態のワタシは市内のアチコチから山が見える長野に魅せられてしまい、益々ハイになって行ってしまいました。
そこで少し気を静めるために、なんとなく目に付いたお店に入りましたところ・・・
長野市 中央通りのマウンテン☆Qと言うお店です
スパムの空き缶をマスタードとケチャップのホールダーにしているというウレシイお店でした。
そこでスパムサラダを注文しますと・・・・
こんなカンジのサラダでありました。
これは角切りにしたスパムをサッと炒めて、サラダに載せてドレッシングを掛けただけ・・・・とのことですが・・・・なんか秘密がありそうな一品でした。
兎に角、スパムをいろいろと調理したけど、なんかこれが一番美味かったような気がします。
で、次回、これを作ってみましょう!
そんな訳で未だ続く長野編でありました。
ところで、帰宅してから気が付いたのですが・・・肘の痛みが消えていました。
ありがたいことでございますm(__)m
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