白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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上野ー桑原戦(幽玄の間棋譜紹介)

2017年01月13日 23時59分59秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
本日は幽玄の間で中継された、桑原陽子六段上野愛咲美初段の対局をご紹介します。



1図(実戦白80)
上野初段が、白△と打った場面です。
この手の狙いは・・・。





2図(変化図1)
素直に黒1、3と打って来れば、白4までと渡ってしまおうという事です。
黒地を荒らしながら右辺白の根拠を確保し、黒が一方的にやられた分かれです。





3図(変化図2-1)
黒1、3と渡りを止めて来れば、白10まで黒の弱みを衝いて行きます。
この後は・・・。





4図(変化図2-2)
このように進み、次に白Aと取ってコウ争いになります。
黒が負けると黒6子も取られる可能性があり、黒にとって負担の重いコウです。
これは黒が拙いという事で・・・。





5図(実戦黒81~黒85)
黒1~5と、強烈な手を繰り出しました!
次に黒AとBが見合いという訳です・





6図(実戦白86~黒87)
実戦は白1と繋ぎましたが、黒2と打たれて右上の白一団が切り離されました。
白、困ったように見えますが・・・。





7図(実戦白88~白92)
白1~5の、コウ含みの切断を用意していました!
次に白AとBを見合いにしています。





8図(実戦黒105)
コウ争いは、黒△までで決着しました。
白△が宙に浮いているので、次に白AやBと補強すれば穏やかですが・・・。





9図(実戦白106~黒111)
実戦は白1と目一杯に広げ、黒2にも白3と頑張りました!
黒6となると、左辺の白一団がいかにも苦しそうですが、なんとか凌げるとみているのです。
事実黒はこの白を攻めきれず、戦いが終わった時には白の優勢が確立していました。
最後は上野初段の白番3目半勝ちとなりました。

上野初段はバランスの良い棋風ですが、勝負所と見れば踏み込んで行く度胸も持ち合わせています。
いずれタイトル戦に登場するでしょう。