白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

人間の感覚

2018年10月27日 23時59分59秒 | 幽玄の間
<本日の一言>
第44期名人戦最終予選決勝、つまりリーグ入りをかけた1局の対局者は、10代1人、20代4人、30代が1人となりました。
明らかに世代交代が進んでいますね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は幽玄の間で中継されていた対局に注目してみましょう。
中国の甲級リーグ、柁嘉熹九段(黒)-朴廷桓九段戦です。



1図(テーマ図)
黒番です。
左辺の白模様がいかにも大きそうですね。
しかし、入っていくと苦しくなりそうに見えるので、私なら黒A付近からそろそろと消すことを考えそうですが・・・。





2図(実戦)
実戦は凄い所に踏み込んでいきました。
これは人間の、少なくとも棋士の感覚には無さそうな手です。
なぜなら・・・。





3図(変化図)
このような進行が見えるからです。
2目の頭をハネられて、いかにも黒が苦しそうですね。
実際には黒2で他の手を用意しているということなのでしょうが・・・。

こういった手は人間は考えないものでしたが、最近は似たような手をしばしば見かけます。
AIの影響なのでしょうね。





4図(実戦)
黒△まで、白石ばかりだった左辺で生きては黒成功でしょう。


AI流が万能とは全く思いませんが、こういう碁を見ると、やはり常識を変えていく部分も間違いなくあると感じます。