社会保険労務士ほど、国の施策に振り回される職業も
無いのではないでしょうか。
毎年、数多くの法改正が施行され、そのたびに知識の
更新が必要になります。
社会保険労務士試験を受験する人も「合格できなかった
年」のテキストを使い、翌年の試験に挑めば、多分、
また悪い結果になる可能性のほうが高くなるでしょう。
今回は、 2015年9月11日に成立した「青少年雇用促進法」
をご案内します。この法律は、従前の「勤労青少年福祉法」
を一部改正して名前を改めたものです。
青少年の雇用の促進などを図り、能力を有効に発揮できる
環境を整備する目的で制定された法律ですが、今回成立し
た内容の最大の目玉は、「ブラック企業撲滅」をターゲッ
トにしているという点ではないでしょうか。
① 職場情報については、新卒者の募集を行う企業に対し、
企業規模を問わず、()幅広い情報提供を努力義務化、
()応募 者等から求めがあった場合は、3類型ごとに1つ
以上の情報提供を義務化しました。
「努力義務」と「義務」は異なる概念ですので要注意。
3類型とは(ア)募集・採用に関する状況、(イ)労働時間
等に関する状況、(ウ)職業能力の開発・向上に関する状況
・・・です。応募者の求めに応じ、有給休暇の取得率や
残業時間の実績、管理職の男女比、離職率等、正直に回答
することが義務化されたのです。
なかなか有給休暇を取らせてくれない企業や残業が多く、
休日出勤も多い企業、離職率が高く、セクハラ、モラハラ、
マタハラが横行している企業に就職したくありませんよね。
労働基準法などの法令無視をしているそれらの企業を
「ブラック企業」と呼びます。一旦、世間からブラック企業
と噂されたら、そういう企業の経営成績は大きな打撃を受け
ます。
有名な某居酒屋では客離れが進行し、有名な某牛丼屋では
アルバイトが皆、辞めてしまい深夜営業を自粛しました。
世界的に事業規模を拡大している超有名な某衣料販売会社
はすぐにアルバイトや契約社員を正社員として雇用し、悪く
なりかけた風評を消しました。
超有名な某コンビニエンスストアでは名ばかり管理職問題が
明るみに出て、すぐに改善策を講じました。
世間に知れた有名企業でさえ、ブラック企業の烙印を押され
た途端、失速する世の中です。中小企業ならば倒産危機に
陥ることもあるでしょう。
更に・・・・
② ハローワークは、一定の労働関係法令違反の求人者につ
いて、新卒者の求人申込みを受理しないことができること
としました。
また、その一方で・・・・
③ 青少年に係る雇用管理の状況が優良な中小企業について、
厚生労働大臣による新たな認定制度を設けることになりました。
「優良企業認定」がもらえた企業には、優秀な人材が集まり
ます。企業の財産は「人」であることは間違いありません。
優秀な人材、優秀な能力がヒット商品を開発し、世に送り
出していきます。
残業ばかりで残業代も支払わないような企業からは、多くの
人達が離れていくことでしょう。
尚、この法律の施行日は10月1日です。
社会保険労務士試験受験者は必ずチェックしておくべき法律
です!!
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