井真井のちょっと一言。。

人気国家資格の『井真井アカデミー』
#社労士   #宅建士 #マン管士
#管業主任者 #FP #行政書士 他

平成27年 改正労働者派遣法

2015-09-16 15:33:16 | 日記

今月30日から「改正労働派遣法」が施行されます。
これは10月1日施行の「労働契約申し込みみなし制度」
が控えていることから、どうしてもその前に施行する
必要から9月30日となりました。

当該改正法により従前の期間制限のなかった専門26業務
との垣根はなくなります。(専門26業務の区別廃止)

専門26業務については、期間無制限で派遣労働者の使用
が可能でした。

そのため企業は人件費抑制のため、派遣労働者を26専門
業務に就労させるという名目で受け入れながら、実際は
それらの業務とは全く関係のないお茶くみなどの雑用係
として使用しているケースが非常に目立ちました。

それを許さない制度が10月1日施行の「労働契約申し込み
みなし制度」です。

この制度が施行される前に、企業が大量に現在使用して
いる派遣労働者を解雇することが予測されました。
解雇しなければ、自動的に正社員として雇用しなければ
ならないからです。

そこで、先に改正労働者派遣法を施行させ、26専門業務
との垣根を払い、突発的な大量解雇が無いよう企業側に
一定期間の猶予を与えたのです。

改正後、企業は3年ごとに派遣労働者を別の者と入れ
替えることで同一業務につき継続して、派遣労働者に
任せることが可能になります。

従前は、ある1の業務について派遣労働者に任せられる
期間は原則1年間、最長でも3年間でした。

その期間経過後は同一業務に派遣社員を任せることが
できませんでした。また、別の派遣社員に交代させる
こともできませんでした。

つまり、その業務を継続させるためには、自社の社員
に任せるか、従事していた派遣労働者を自社の社員として
雇用するしかなかったのです。

今回の法改正により、企業は派遣労働者を定期的に交代
させれば、ずっと同じ業務を派遣労働者に任せることが
できるようになりました。

しかし、派遣労働者保護のため、派遣期間終了後、派遣
労働者が希望した場合には、派遣元は派遣先である企業
に対して、当該派遣労働者を直接、雇用するよう依頼し
なければならない事が義務化されました。

派遣労働者の希望を拒む選択は、派遣元事業主にありま
せん。これは義務です。

もっとも、直接雇用の依頼は義務化されても相手先企業
が拒否することはできます。もし、雇用されない場合に
は、派遣会社自らでその労働者を無期雇用するか、別の
派遣先を紹介することが改正で義務づけられました。

更に派遣元では計画的な教育訓練を行い、派遣社員の
キャリアアップを後押しすることも義務化されました。

このような「雇用安定措置」が義務化された事は歓迎
できますが、派遣元事業主の負担が増大することで、厳
しい人選が行われる可能性は否めません。

スキルの無い人や職業能力が欠如している人を派遣元は
登録しづらくなります。簡単に派遣労働者登録もできない
時代に突入したことになります。

また、改正により派遣事業を行うためには、すべて国の
許可が必要になりました。

派遣事業者には「一般労働者派遣事業」と「特定労働者派遣
事業」がありますが、特定労働者派遣事業は従前、届出のみ
で事業を行うことができました。しかし、今回の法改正では
すべての事業が許可制となりました。国の監視が厳しくな
ります。

この法改正は、派遣元の負担は増えますが、派遣先の企業に
とっては非常に有利な制度です。

為替変動や社会的要因により利益変動が著しい昨今、人件費
が抑制でき、また臨機応変に活用できる派遣労働者を使用す
ることには大きなメリットがある・・・というのが、多くの
企業の意見です。

景気後退により人員余剰になった時に今回の法改正の意味が
増す・・・といった本音も聞こえます。

安いマンパワーを使用して利益を増大し、リセッション時に
は派遣労働者から人員整理していけるという事でしょう。

近年、会計ソフトなどの普及により直近15年間で会計事務従
事者数は113万人減少しています。これは農耕従事者に次ぎ、
業種別第2位の大幅減です。

オートメーション化により従来必要とされた「能力」は、
徐々に不要の産物となりつつあります。組織のフラット化と
共に人材のフラット化も進行しており、能力差の減少が
派遣労働者を増やす要因ともなっています。

派遣労働者が増えれば、低賃金労働者が増えることになり、
GDPの上昇を抑制します。物価上昇が先行すれば、生活に困窮
する者も増え、物が売れず、経済は後退します。

それでも今回、企業有利の施策を行ったのは、アベノミクスを
是が非でも成功させたい政治家たちが、2年連続の官製ベアに
対して企業団体が応じてくれたことへの「お礼」といった事
もあるのでしょう・・・・と、個人的に私は思っています。

さて、平成28年度社会保険労務士試験に向けて、既に
弊社では労働基準法から順次、受講者の方達へ教材配信を
行っています。

社会保険労務士試験に挑戦する人は今回の改正内容をしっかり
把握しておく必要があります。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿