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第三種被保険者の特例期間について(社労士試験)

2024-06-05 14:09:30 | 日記
<受講者様からのご質問>

>2024年度試験(厚生年金法)SPM-2№140の解説メモで
「昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの第3種被保険者
であった期間については、実際の期間を5分の6倍したものを
被保険者期間とする。」
とありますが、なぜこのような扱いになったのか背景・理由
について教えてください。


【井真井】

過去、戦時下等において、船員と坑内員の方々は労働環境が厳しかったため、
特別な加算がされました。被保険者期間のボーナス加算です。

また、それとは別に、戦争中は死と隣合わせの過酷すぎる環境であったことから、
「戦時加算」というものもあります。

第3種被保険者は、昭和29年4月1日以前生まれの者であるときは、
59歳未満で老齢厚生年金の支給が受けられました。

坑内員又は船員としての労働の過酷さから、長期間の就業が困難であることを
考慮して、早期からの老齢給付の支給を認めたものでした。寿命も一般の方に
比べ、短かったのです。

旧法での厚生年金では、坑内員や船員は第三種被保険者と呼ばれていました。

被保険者期間は、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の
前月までカウントするのが原則ですが、第三種被保険者については、下記のような
特例計算を行っています。

<第三種被保険者の特例計算>

【昭和61年3月31日まで】
 第三種被保険者期間=被保険者期間(実期間)×4/3倍

【昭和61年4月1日~平成3年3月31日】
 第三種被保険者期間=被保険者期間(実期間)×6/5倍

【平成3年4月1日以降】
 第三種被保険者期間=被保険者期間(実期間)

たとえば、昭和61年3月までに12年間、第三種被保険者であった場合、
12か月×12年=144月ですが、3分の4倍することにより、192月となります。


これは、ある種のボ-ナスと考えられます。

昔は、船の上や炭鉱の中の仕事が大変過酷だったのです。

旧法時代は、3分の4倍していましたが、船上や炭鉱内の労働もその後機、
急速な機械化が進み、さほど大変でもなくなりましたので、実際の加入期間で
計算することになりました。

ただし、3分の4倍から、いきなり実期間へ移行するのは被保険者の不満を
招くことになるため、「5年間」の段階期間を設け、その期間においては、
実期間の「5分の6倍」といった、経過措置を置いたわけです。

さらに戦時中に坑内員や船員であった人には、前記の加算に加えて「戦時加算」
がつきます。ちなみに、昭和16年12月8日は、太平洋戦争が始まった日です。

<戦時加算>
【坑内員・船員】 昭和19年1月1日~昭和20年8月31日:「3分の1倍」を加算
【船員】昭和16年12月8日~昭和21年3月31日:期間および海域に応じた加算

以上のように、平成3年3月31日までの第三種被保険者であった期間について
特例計算を行いますが、この特例は年金額にも反映されます。

しかし、注意しなければいけないのは、老齢厚生年金額のみに反映されるということです。

その一方、65歳以後支給の老齢基礎年金には反映されません。

老齢基礎年金の計算には、実際の加入期間で計算されます。

下図は、第三種被保険者期間がある人に支給される老齢年金を示したものです。

~略~


65歳前に支給される報酬比例部分と定額部分を合わせて特別支給の老齢厚生年金
といいますが、第三種被保険者の特例計算は、この特別支給の「老齢厚生年金」の
報酬比例部分・定額部分いずれにも反映されます。

しかし、65歳以降は、報酬比例部分が老齢厚生年金に、定額部分が老齢基礎年金に
移行しますが、第三種被保険者の特例は、このうち老齢厚生年金には反映しますが、
老齢基礎年金には反映しません。

定額部分に反映されていたものが、老齢基礎年金に反映されないと、65歳以降の
年金額が減ってしまうように思えますよね。

その分を補うのが、経過的加算です。

「定額部分-老齢基礎年金」の差額を経過的加算として加算しますので、トータルの
年金額は減ることはないのです。


以上になります。

ご利用いただきまして、誠に有難うございました。
引き続き、どうぞ、宜しくお願い致します。

井真井アカデミー
代表 井真井 秀樹
https://imai-academy.net/imai.academy.sharoushi.index.html

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