稲城の図書館サポーターみんなのとしょかん Neo

東京都稲城市で「市民の力になる図書館」の発展をめざして活動している市民グループです。

保存図書!

2022-03-26 10:00:00 | ご存知ですか?

先日稲城市立中央図書館からある本を借りました。
読み終わって、ふと背表紙に見慣れないシールが貼ってあるのを発見!
よく目を近づけてみると、老眼の管理者にようやく読める程度の小さな文字が。
「東京都市町村立図書館長協議会保存指定資料」と記されています。
一体これは何だろうと早速ネット検索!
すると以下の資料がヒットしました。

2016年3月21日付の西東京市中央図書館 中川恭一がまとめられた「(2)多摩地域の動き(館長会共同利用保存プロジェクトの報告書から)」 という資料です。

資料には、「東京都市町村立図書館長協議会の活動から見た 15年」と題して以下の記述がありました。
2002/1-3
都立多摩図書館、都立中央図書館との重複資料 14 万冊除籍。うち、児童資料を除く一般書約 10 万冊の再活用申込受付。都内各図書館等が希望した資料の残りを、全点希望した町田市と江戸川区に引渡し。
(町田市では、多摩地域での共同利用を前提に約 5万冊を一時預かり)

そこでやっと「あ~」と思い当たりました。

石原都政下の方針により、明治時代からの歴史を持つ都立日比谷図書館を廃止して施設を千代田区に移管、都立図書館は広尾にある都立中央図書館と、当時立川市にあった多摩図書館(現在国分寺に移転)の2館のみになってしまったのです。
これによって、日比谷図書館が古くから収集してきた児童書と雑誌を多摩図書館に移すために、約一四万冊の資料が廃棄されることになりました。
詳しい経緯については、下記の記事をご覧ください。
ず・ぼん8●[特集]都立図書館再編 14万冊がバラバラになった 町田市立図書館が五万冊預かった理由  一四万冊の「再利用」をめぐって

この時立ち上がったのは多摩地域の図書館を支える人々でした。
みんなの知恵と力と資金を集め、多摩地区ではこのうち5万冊を保存し、守ったのです。
その中の一冊が稲城市立図書館に保存資料として所蔵され、我が家にやって来たのです。
なんだか胸が熱くなりました。


本の扉には都立八王子図書館の蔵書印。
今から40年以上前、昭和55年9月30日の受入です。
都立八王子図書館は昭和62年(1987)3月閉館し、蔵書はそのまま眠っていたようです。
保存に携わったたくさんの人々の思いが込められた珠玉の一冊に、思いがけず出逢えた幸運に感謝します。

現在も保存活動は発展・継続しています。そうした活動に稲城市立図書館も参加していることをうれしく思いました。
詳しくは<NPO法人 共同保存図書館・多摩>のサイトをご覧ください。
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防災専門図書館のYouTube

2022-03-19 12:50:41 | ご存知ですか?
16日深夜の地震、皆さんはご無事でしたか?

管理者は寝床にいましたが、寝る部屋には重い家具などは置いていないため、そのままスマホで地震速報を見ながら横になっていました。
翌日届いた図書館総合展からの案内メールに、#防災専門図書館 のリンクが貼ってあり、何気なく開いたら総合展のポスターセッションに飛びました。

そこに紹介されている「防災専門図書館探訪」というタイトルのYouTube画像が意外に(失礼!)面白いものでした。
防災研究の第一人者、中林一樹先生(明治大学教授、東京都立大学名誉教授、首都防災ウィーク実行委員会代表)が防災専門図書館を訪れて、資料を利用するという設定の動画です。

図書館を紹介する動画って、図書館が主役になって、「こんな利用ができますよ」というスタイルがほとんどですが、ちょっと視点が変わっていて興味を持ちました。
どこにあるのかと思ったら、国会図書館のすぐ近くにあったのですね!
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1 日本都市センター会館内
防災専門図書館のサイトはこちら
3Dの館紹介画像や、災害に関する貴重な資料のデジタル画像が公開されています。
防災専門図書館デジタルアーカイブ
ご興味がある方は「リアル」図書館にも一度おでかけしてみてはいかがでしょうか
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蛾のおっさん~学校図書館のあれこれ

2022-03-12 17:31:49 | みんとのオススメ
「蛾のおっさん」と聞いてピンときたあなたは、相当学校図書館の実情に詳しい方です!

先月ネットニュースを何気なく見ていて、このワードにぶつかりました。
【学校図書館】「隠れ司書教諭」生む現状 山本みづほ氏に聞く(2022年2月9日、10日掲載)
という記事が教育新聞に掲載されていたのです。
「何だろう」と思いつつも、後で読もうと2、3日放っておいたら、購読しないと読めなくなっていました

そこで、山本みづほさんのことをネット検索したら、長崎県で国語の教員として働きながら学校図書館の充実に尽くした方だとわかりました。
そして著書としてヒットしたのが
「蛾のおっさんと知る衝撃の学校図書館格差―公教育の実状をのぞいてみませんか?」郵研社(2019/07発売)
という不思議なタイトルの本でした。

「蛾のおっさん」は山本さんの友人の夢に登場した全身白タイツのおっさん顔の蛾!
「学校図書館の書棚の裏って、たま~に掃除すると干からびた蛾がたくさん死んでいる」ことから、キャラとして活躍するようになったとのこと。
今や「蛾のおっさん」としてフェイスブックも開設してるのです。

版元のサイトの紹介文がこちら。
あなたのお子さんの学びに寄り添うはずの学校図書館。自治体によって信じられないような教育格差があることをご存知でしたか? その実態を蛾のおっさんと共に考えてみましょう。
「こんな図書館は、花マルだね!」
「こんな図書館はバツだね(涙)」
子どもたちのための学校図書館を考えながら、蛾(が)んばって飛び回るのだ!

ちょっと長いけど、目次も紹介します。
〈目 次〉
はじめにのその前に
はじめに
プロローグ
第1章
悲しい学校図書館を見た
1 図書委員だけが頼りです
2 ダイホンバンとは何ぞや?
3 子どもは外で遊びましょう

第2章
楽しい学校図書館を見た
1 ポプラディアでの調べ方の学習
2 アメリカでの話
3 ブックトークの取り入れ方
4 すてきなおはなし会
5 心落ち着く居場所
6 学校図書館にカフェだって作れる

第3章 なぜこうなったのか考えるのだ
1 学校図書館のたまご期
2 学校図書館のあおむし期
3 学校図書館のさなぎ期
4 学校図書館が羽化するとき
5 学校司書の法制化

第4章
私の学校図書館体験
~「さなぎ期」から「羽化するとき」まで~
1 使う側だったころ(福岡県と長崎県と京都府で)
2 運営する側として(長崎県でのこと)
(1)さなぎ期の現場
〈超大規模小学校〉
〈大規模中学校〉
〈中規模中学校 忍び寄るブラック勤務の影〉
〈小中併設校は小規模でのどかな雰囲気〉
〈離島の中規模中学校 島独特の考え〉
〈再び市内大規模中学校へ 朝の読書の開始〉
(2)そして羽化するとき
〈再び小規模中学校で やれることはやってみよう〉
〈合併のための閉校を控えた小規模中学校は欧米並み〉
〈最後の勤務校は出戻りの大規模中学校 やっと巡り合えた学校司書〉
3 忘れられない5つの物語
(1)お昼ご飯は食べません
(2)思春期真っ盛りだから
(3)図書館に住みたい
(4)リクエスト本
(5)もっと早く知っていたら

第5章
愉しきかなトランジッション
1 まずやってみたこと
2 今やらねばならないこと
(1)学校司書を3S(専任、専門、正規)に!
(2)司書教諭に仕事の時間を!
(3)学校司書や司書教諭を
   まとめて研修するのはどこだ?

エピローグ
あとがき

公立学校の厳しい(悲しい)状況や、少しでもよりよい状況を作り出そうとする試みが、蛾のおっさんを通して語られています。
子どもが学校を卒業してしまうと、なかなか様子が見えない学校図書館。
その一端をうかがうことができる好著です。
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“GIF IT UP 2021” ~デジタルワールドの世界的潮流

2022-03-06 15:37:30 | ご存知ですか?
日進月歩のデジタルワールド。
なかなかついていけない管理者ですが、先日国会図書館のカレントアウェアネスで、こんな記事を見つけました。
E2475 - “GIF IT UP 2021”受賞者インタビュー
同館の職員がヨーロピアナ(Europeana)が主催する“GIF IT UP 2021”の新人賞を受賞したという記事です。
ヨーロピアナもGIF IT UPも何のことやら???

『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、
ヨーロピアナ(Europeana)は、文化遺産のためのEUのデジタルプラットフォームである。参加機関は3000以上にのぼり、アムステルダム国立美術館や英国図書館、ルーブル美術館といった国際的に著名なところから、欧州連合のすべての加盟国における地域の文書館や美術館・博物館までが含まれている。同時に、利用者は、そこで収集されたコレクションを通じて先史時代から現代までの、欧州の文化的科学的遺産を探索できる。レオナルド・ダ・ビンチの『モナ・リザ』、ヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』、チャールズ・ダーウィンやアイザック・ニュートンの著作、ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品は、ヨーロピアナのハイライトを成すものの一部である。
とのこと。
ヨーロピアナ(Europeana)のウェブサイトを見ると、GIF-making Academy というコンテンツがあり、ヨーロピアナが提供する様々な画像を使って、GIFというファイル形式のアニメーションを作成し、作品をシェアする仕組みでした。

ちなみに受賞者は国会図書館の佐々木良太さん。受賞作品(5つ目の作品)はこちらで見ることができます。
GIF IT UP
JAPAN SEARCHが提供しているデジタル画像の中から、幕末・明治の浮世絵師である月岡芳年(つきおかよしとし,1839-1892)の『新形三十六怪撰 源頼光土蜘蛛ヲ切ル図』を使って作られた作品です。

JAPAN SEARCH GIF IT UP 2021
はてまた新しい用語が登場!
JAPAN SEARCHのウェブサイトの説明では、
ジャパンサーチは我が国の幅広い分野のデジタルアーカイブと連携し、多様なコンテンツをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームです。デジタルアーカイブジャパン推進委員会・実務者検討委員会の方針のもと、さまざまな機関の協力により、国立国会図書館がシステムを運用しています。現在、161のデータベースと連携し、23,800,320件のデータを収録しています。
なんだそうです。
確かに全国いたるところでデジタルアーカイブが公開されていますが、その情報がいっぺんに把握できれば便利ですね。

つまり、現在ある貴重な文化遺産をデジタル化して共有するだけでなく、それらのデジタルデータを使って、二次利用という形で新たな文化を生み出して行こうとする潮流なのです。
まさに日進月歩の世界ですが、きっとこれからの子どもたちはこうしたデジタル情報の海を軽々と泳ぎまわり、新しい文化を創造していくのでしょう。
コメント
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