先日稲城市立中央図書館からある本を借りました。
読み終わって、ふと背表紙に見慣れないシールが貼ってあるのを発見!
よく目を近づけてみると、老眼の管理者にようやく読める程度の小さな文字が。
「東京都市町村立図書館長協議会保存指定資料」と記されています。
一体これは何だろうと早速ネット検索!
すると以下の資料がヒットしました。
2016年3月21日付の西東京市中央図書館 中川恭一がまとめられた「(2)多摩地域の動き(館長会共同利用保存プロジェクトの報告書から)」 という資料です。
資料には、「東京都市町村立図書館長協議会の活動から見た 15年」と題して以下の記述がありました。
2002/1-3
都立多摩図書館、都立中央図書館との重複資料 14 万冊除籍。うち、児童資料を除く一般書約 10 万冊の再活用申込受付。都内各図書館等が希望した資料の残りを、全点希望した町田市と江戸川区に引渡し。
(町田市では、多摩地域での共同利用を前提に約 5万冊を一時預かり)
(町田市では、多摩地域での共同利用を前提に約 5万冊を一時預かり)
そこでやっと「あ~」と思い当たりました。
石原都政下の方針により、明治時代からの歴史を持つ都立日比谷図書館を廃止して施設を千代田区に移管、都立図書館は広尾にある都立中央図書館と、当時立川市にあった多摩図書館(現在国分寺に移転)の2館のみになってしまったのです。
これによって、日比谷図書館が古くから収集してきた児童書と雑誌を多摩図書館に移すために、約一四万冊の資料が廃棄されることになりました。
詳しい経緯については、下記の記事をご覧ください。
ず・ぼん8●[特集]都立図書館再編 14万冊がバラバラになった 町田市立図書館が五万冊預かった理由 一四万冊の「再利用」をめぐって
この時立ち上がったのは多摩地域の図書館を支える人々でした。
みんなの知恵と力と資金を集め、多摩地区ではこのうち5万冊を保存し、守ったのです。
その中の一冊が稲城市立図書館に保存資料として所蔵され、我が家にやって来たのです。
なんだか胸が熱くなりました。
本の扉には都立八王子図書館の蔵書印。
今から40年以上前、昭和55年9月30日の受入です。
都立八王子図書館は昭和62年(1987)3月閉館し、蔵書はそのまま眠っていたようです。
保存に携わったたくさんの人々の思いが込められた珠玉の一冊に、思いがけず出逢えた幸運に感謝します。
現在も保存活動は発展・継続しています。そうした活動に稲城市立図書館も参加していることをうれしく思いました。
詳しくは<NPO法人 共同保存図書館・多摩>のサイトをご覧ください。