稲城の図書館サポーターみんなのとしょかん Neo

東京都稲城市で「市民の力になる図書館」の発展をめざして活動している市民グループです。

経営的視点からみた公共図書館論~『行政マンとして図書館員が忘れていること』

2022-05-29 11:56:40 | みんとのオススメ
今年一月に発行された内野安彦氏編著『行政マンとして図書館員が忘れていること』樹村房発行を読んでみました。
きっかけは、講談社「マネー現代」に掲載された飯田一史さんによるインタビュー記事です。
「行政マンとして「図書館員」が忘れていること…予算減の危機的状況を前に何ができるか」
2022年4月21日掲載

図書館ネタの記事が、経済紙に載ることはあまりないので、ちょっと驚きました。

編著者の内野さんは、茨城県鹿嶋市生まれ。鹿嶋市,塩尻市に33年間勤務。両市で図書館長を務め,定年を待たず早期退職しフリーランスに。
現在は古書店「雀羅書房」を経営していらっしゃいます。

著書に『だから図書館めぐりはやめられない』(ほおずき書籍 2012年),『図書館はラビリンス』(樹村房 2012年),『図書館長論の試み』(樹村房 2014年),『図書館はまちのたからもの』(日外アソシエーツ 2016年),『クルマの図書館コレクション』(郵研社 2016年)などがあり、本と車と図書館を愛する方です。

書かれている内容は、公共図書館を支える仕組みを認識していれば「当然」のことではありますが、図書館に働く多くのスタッフには、「わかっちゃいるけどできないよ!」
という内容のような気がします。
まじめな図書館員ほど、読むのが辛いかもしれません。
でも頭の片隅に置いておくことで、少しづつ実践が変化する可能性はあります。

稲城市立図書館(中央)にも以下のとおり内野氏の著作が所蔵されています。
図書館を愛する方々、一度手に取ってご覧になってはいかがでしょうか。

  • 行政マンとして図書館員が忘れていること

  • スローライフの停留所 内野 安彦/著 -- 郵研社 -- 2018.6 -- 010.4

  • ちょっとマニアックな図書館コレクション談義 ふたたび 内野 安彦/編著 -- 樹村房 -- 2017.11 -- 014.1

  • 図書館からのメッセージ@Dr.ルイスの“本”のひととき 内野 安彦/著 -- 郵研社 -- 2017.10 -- 010.21

  • ちょっとマニアックな図書館コレクション談義 内野安彦/編著 -- 大学教育出版 -- 2015.11 -- 014.1

  • 塩尻の新図書館を創った人たち 内野安彦/著 -- ほおずき書籍 -- 2014.8 -- 016.2152

  • 明日(あした)をひらく図書館 宮下明彦/編著 -- 青弓社 -- 2013.6 -- 010.2152
     第三章 5 鹿嶋市と塩尻市での実践を通じて 内野安彦

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国会図書館デジタルコレクションが機能アップ

2022-05-22 18:02:20 | ご存知ですか?
明治時代から、日本国内の図書をすべて収集している国会図書館。
納本制度により、国内の発行図書は全て国会図書館に納本されることになっています。
そうして収集された図書は、東京永田町の本館と京都府精華町にある関西館で利用できるほか、平成10年代から大規模なデジタル化事業が進められてきました。
デジタル化された資料は、著作権など権利状況に問題がないことが確認できたものから、インターネット経由で公開されてきました。

2022年5月19日からは、著作権保護期間内の図書であっても、絶版等の理由で入手が困難なものについては個人利用が可能になりました。
それまでは、登録した図書館でしか利用できなかったのですが、図書館を通さなくても利用できるようになったのです。

利用するには、国会図書館デジタルコレクションのサイトにアクセスし、検索をかけてみたい資料をクリックすればいいだけです。
国会図書館デジタルコレクション

しかも国会図書館デジタルコレクションの検索機能はタダものではありません。
何と資料の中身まで含めて、ほとんど全文検索してくれるのです!!!
OCRを使っているらしく、読み違いは多いものの、何と言っても全文検索です。

試しに昔の稲城の資料を探してみたら、いくつかヒットしました。

これは、昭和2年(1927)に内務省が発行した「多摩の御陵を繞る史蹟」の一頁。
「稲城村」というキーワード検索1回でヒットし、しかも該当ページにリンクしてくれるのです。

次の資料は昭和5年(1930) 東京府青山師範学校附属小学校教育研究会 編の「東京府郷土教育資料. 郊外篇」です。

「稲城村に於ける梨栽培」という一節に、昔のナシ栽培のことが詳しく書かれています。

次の資料は昭和13年(1938) 東京府総務部地方課編の「市町村概観」

当時の稲城村の基本事項が書かれています。
ちなみに当時の人口は4,264人(720戸)、産業は純然たる農村と書かれています。
稲城市ホームページによれば、2022年5月1日現在は93,047人(42,155世帯)ですから、80年間で20倍以上になったわけです
こんな昔の資料が、自宅からインターネットで気軽にアクセスできるなんて、夢のようです。

本だけでなく、音声も収録されています。
「歴史的音源」

古い資料が大半ですが、昔のことを調べたいときには便利です。
国民の税金によって構築されたシステムですから、ぜひ一度お試しあれ♪
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判例の探し方講座 ~稲城市立中央図書館のオンラインデータベース

2022-05-15 10:39:48 | ご存知ですか?
何気なく稲城市立図書館のホームページにアクセスしたら、見慣れない講座のお知らせを見かけました。

判例の探し方講座
TKCローライブラリーを使ってみよう

開催日は6月15日(水)と6月19日(日)
時間は各日①午前11時~ ②午後1時~ ③午後3時~ 約60分の講座です。

TKCローライブラリーとは、公認会計士・税理士の創業者が税務関係の判例データベース構築を開始したことから発展してきた判例データベースです。
当初は法曹・企業法務向けのDBとして提供されましたが、2010年から判例・法令・文献を統合した「TKCローライブラリー基本サービスセット」が提供されています。
恥ずかしながら、こんな専門的なデータベースが稲城市立図書館で導入されていることに気づきませんでした。

市立図書館ホームページを確認してみたら、他にも以下のデータベースが利用可能となっています。
  
●日経テレコン21
日経4紙(日経経済新聞、日経産業新聞、日経流通新聞MJ、日経金融新聞)を中心とした記事検索。
経済関係の調べものに有効。
ヒット商品の動向や会社情報なども簡単に検索できる。
 
●ヨミダス文書館
1986年9月からの読売新聞、1989年9月からの「THE DAILY YOMIURI」からの記事検索。
一般的な新聞検索向き。人物データベースも検索可能。
 
●官報情報検索サービス
官報(「国の広報紙」「国民の公告紙」としての役割をもつ)の過去分(昭和22年5月以降)を収録。
キーワードから検索できる。
 
●MAGAZINEPLUS(マガジンプラス)
国内最大の雑誌・論文データベース。
学術雑誌や論文集以外に一般雑誌も収録。
 
●TKCローライブラリー

●図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)
国立国会図書館がデジタル化した図書、古典籍、雑誌、博士論文のうち、絶版などで入手困難なもの約130万点を閲覧できる。基本サービス
判例検索のみをご利用いただけるサービスです。要旨、判例全文などに加えて、公的判例集24誌をPDFデータでご確認いただけます。

中央図書館へ足を運ぶ必要はありますが、リモートワークやリモート授業が増えた中、必要な調べものをするのにいいですね。

上記講座の申し込みは下記のとおりです。
定員が一名と少ないですが、マンツーマンレッスンでお得かもしれません。
会 場:稲城市立中央図書館
定 員:各回1名
対 象:興味のある方
申込方法:5/15(日)より中央図書館カウンターまたは電話、メールにて受付
問合せ:稲城市立中央図書館 
    TEL 042-378-7111
    メール inagilib@library.inagi.tokyo.jp
※メールでの申込時には「氏名」、「電話番号」、「希望の日時」を 明記の上、上記アドレスまで送信してください。 

詳しくは稲城市立図書館ホームページでご確認ください。
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図書館イベントの豊かなアイディア ~稲城市立図書館公式noteから

2022-05-07 12:21:01 | ご存知ですか?
稲城市立図書館では図書館公式noteで様々な図書館の活動を発信されています。

一年ほど前の投稿にこんな記事を見つけました。
「この15年の「私のイチ推し」は何ですか?――中央図書館開館15周年企画②」2021年6月27日 投稿
15周年企画のためのイベント班の活動を紹介したもの。

最初は自由に思いついた企画をメールで連絡したそうです。
そして上がった企画数は実に26!
著名な作家をお呼びしての講演会、中高生向けに文章力アップの講座、就活に役立つ自己アピールのワークショップ、大人のための星空講座、コミックを語る読書会、 応援団に来てもらう、ミニコンサート、古本市、夜の図書館散歩、謎解きイベント、図書館の本でしりとりゲーム、移動図書館、図書館マルシェなどなど。

わ~、おもしろそう!
この中でいくつか実現したものもありましたね!
<クイズを作る~天才てれびくん>2021-06-27
(15周年イベントではなかったのかしら?)
でも、新型コロナ感染症流行下でもあり、見送られた企画が結構あったようです。

こんな風に、利用者には見えない図書館の姿を紹介していただけると、カウンターの向こう側にいらっしゃるスタッフの皆さんに親しみを感じます
今後もぜひ楽しいイベントを期待しています
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図書館解体?~福島県大熊町立図書館

2022-05-05 10:00:00 | ご存知ですか?
市民に親しまれていた図書館が、いつの間にか解体再編されることになったと聞いたら、みなさんはどう感じますか?

東日本大震災の原発事故で帰還困難地域となっていた福島県大熊町。
一部の地域に特定復興再生拠点区域が設定され、ようやく住民の帰還が可能となり、これからという時に、町立図書館が解体され、他の機関と合同の建物に再編されて新たに建てられることになったそうです。

図書館は1996年に建てられ、蔵書は13万冊以上と、県内の町立図書館で最大規模だったそうです。
外観も印象的で、町のホームページにも写真が掲載され、ランドマークになっているようです。

(大熊町公式HP 図書館のある景色 より転載)

内装家具は山形の天童木工が手掛けていて、とても温かな雰囲気です。
同社のホームページに写真が掲載されています。

(天童木工HPより転載)

市民の中からは、解体を知らなかったという驚きの声が上がり、反対の署名活動が立ち上がっています。

図書館は、あらゆる年代にわたる、最も多くの市民に利用される公共施設です。
「もう決まったから」というのではなく、行政側は市民と建設的な対話をしてほしい、図書館を愛する市民として切に願います。

<新聞報道等へのリンク>
河北新報「図書館解体「知らない」町民動揺 福島・大熊 見直し求め有志が署名活動」2022年4月30日
毎日新聞「帰還困難区域の福島・大熊町図書館 町民が解体反対の署名活動」2022年4月22日
毎日新聞 YouTubeチャンネル「帰還困難区域の福島・大熊町図書館 町民が解体反対の署名活動」2022年4月22日
change.org「町内外で愛され続けた大熊町立図書館と民俗伝承館の未来への継承を求める請願署名」
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