昭和44年(1969)12月に刊行された『ふたごのでんしゃ』。
作者は渡辺茂男さん、挿画は堀内誠一さんです。
渡辺さんは第二次大戦後の日本の図書館を牽引し、児童文学の世界でも名作を発表、海外の児童書翻訳も手掛けた多才な方です。
我が家でも『しょうぼうじどうしゃじぷた』や『もりのへなそうる』、『エルマーのぼうけん』シリーズなど息子たちは夢中で読んでいました。
手許にある『ふたごのでんしゃ』は2004年刊行本では第62刷!
電車好きの子どもたちに愛される定番本のひとつです。
このおはなしは、稲城のご近所、日野市の実話に基づいたお話しです。
昭和33年(1958)豊田駅にほど近い場所に巨大な団地、多摩平団地が日本住宅公団により建設されました。
街を丸ごとひとつ造成する大規模開発でした。
団地建設前は3万人だった人口は、翌34年10月に3万8千人となり、その後も毎年4,5千人づつ増加していきました。
稲城と同様、日野市にも図書館がありませんでしたが、新しく住民となった人々を中心に図書館設置を求める声が高まります。
特に多摩平団地では、入居した家族の子どもたちのために児童図書館が求められました。
そこで、当時の日野市長有山さんの発案で、廃車になった都電の車両2台を改装し、昭和41年(1966)8月多摩平児童図書館を開館させたのです。
*「みんなのふるさとこぼれ話49 電車図書館」日野市公式ホームページより転載
この試みは、日本全国の児童図書館を求める人々に勇気を与えます。
稲城市に住む筧中さんも刺激をうけ、児童図書館研究会員として具体的な活動を開始し、地域文庫を誕生させていったのです。
そのあゆみが以前ご紹介した『いなぎ子ども文庫のあゆみ』につづられています。
「図書館がなかった頃 ~稲城の地域文庫」
2024年8月24日投稿
2024年8月24日投稿
その後電車図書館は老朽化、昭和46年(1971)4月新たに多摩平児童図書館が設置されました。
稲城市立図書館開館はその2年後、昭和48年(1973)6月のことでした。