(書評)
岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)
(3)3けたでわる筆算(p18~19)
「18000÷500のような計算は、わる数とわられる数の0を同じだけ消して、180÷5として計算できるんだ」(p19)と偽スネ夫は語る。なぜ0を消していいのか。しかも、同じだけ。その理由を彼は語らない。なぜ語らないのだろう。
「1800÷500=3あまり300」(p19)について、偽静香は「ただしあまりが出るときは、消した0の数だけ、あまりに0をつけるのよ」(p19)と語る。なぜ0をつけるのか。しかも、同じ数だけ。その理由を彼女は語らない。なぜ語らないのだろう。
考えずに筆算をやるのなら、つまり機械的にやるのなら、算盤や電卓を使おう。
「タケコプター」があるのに、なぜ、ドラえもんは歩くのか。
筆算を教わると三種類の人間が出来上る。一人目は、考えながらこつこつと筆算をする。二人目は、筆算を諦めて機械を操作する。三人目は、考えずに機械的に筆算をするが、本物の機械を使いこなすことはできない。
一人目は思想家で、二人目は技術者だ。一人目と二人目は重なる場合がある。三人目は誰とも重ならない。AIに答えを教わっても、その正誤を確かめることはできない。機械の奴隷だ。
偽ドラえもんは機械の奴隷を量産したいらしい。
(終)