『冬のソナタ』を読む
「初めて」(上p87~120)
2 相剋(そうこく)
垣間見は恋の始まり。
<暗い廊下を歩いて放送中の放送室へ入ろうとしたジュンサンは、ふと足を止めた。
扉の隙間から、ブースの中で音楽に合わせてダンスを踊っているユジンの姿が見えたからだった。ユジンの盛り上がりぶりは、踊るだけにとどまらず、とうとうマイクを握って歌い出した。
ジュンサンは、ユジンのそんな明るい姿に見とれて中に入れなくなった。
(上p92)>
明るい姿をサンヒョクに見られても、ユジンは恥ずかしがらないのに違いない。でも、チュンサンに見られたら、恥ずかしい。
<「何も……。でも間違いなく何かあるな。ジュンサンは『癸(みずのと)日(び)』生まれで、ユジンは『戊(つちのえ)日(び)』だから、見た目には相剋(そうこく)に見えるんだ。でも……」
「……相剋って悪いことでしょ?」
ヨングクの言葉に興味が湧(わ)いてきたジンスクが訊(き)いた。
「それが違うんだなあ。こんな相剋は『亥癸(ぼき)干合(かんごう)』と言って結局はお互いに惹(ひ)かれ合うことになるんだ。悪い予感がするなあ。サンヒョクに教えてやろうかな?」
「どうして?」
「わかんないのかよ。サンヒョクとユジンはお互いに好きだろ」
「ああ、それは違うわよ。ユジンはただの友達だとしか思ってないもの」
「このばか。友達が恋人になって、恋人が奥さんになったりするんだよ。今は、サンヒョクの方がもっと好きになってるけど、結局彼女は自分のことが好きな男に落ちるようになってるんだ。……まあ、いずれわかるさ」
ジンスクは、ヨングクの言葉に一理あると言いたげに頷(うなず)いた。
(上p94~95)
ジンスクよ、騙されるな。じゃなくて、騙し合いか。じゃなくて、馴れ合いだな。
(終)