変化する見解
ここ数十年にわたり,子育ての方法はしばしば人間の見解の変化を反映してきました。「しつけは変化し続けている。
社会の変化を反映しているのである」と教育者のロナルド・G・モリッシュは書いています。
ですから,聖書が述べているように,親は容易に,「波によるように振り回されたり,あらゆる教えの風にあちこちと運ばれたりする」のです。
「ですから,私たちはもう子供であってはならず,波にもまれるかのように翻弄されたり,風に吹かれるかのようにさまざまな教えに振り回されたりしてはなりません。人に欺かれたり,ずる賢いたくらみに乗せられたりしてはならないのです」。
(エフェソス 4:14)
現代の風潮である寛容なしつけがマイナスの効果を生んできたことは明らかです。親の権威が弱体化しただけでなく,子どもも正しい選択をしたり本当の意味での自信を持って人生を生きたりするのに必要な指針を得られていないからです。
もっと良い方法はないのでしょうか。
「しつけの秘訣: 責任感のある子どもにする12のかぎ」(英語)より。
間違ったことを教えている?
以下の場面を想像してみてください。
あなたは“サッカーママ”です。放課後や週末は,息子や娘を車で送迎し,スケートのレッスン,ピアノのレッスン,サッカーの練習などに連れて回ります。そのようにして,子どもたちをいろいろな活動に目一杯参加させるのです。
こう自分に言い聞かせます。「もうへとへとだわ。でもあの子たちは,わたしが子どもを生きがいと感じていて,子どものためならどんなことでもする,と思ってるし。良い母親であるには必要なことよね」。
考えてみてください: 子どもたちは,自分たちに何かをさせるために母親がへとへとになっているのを見て,実際には何を学んでいるのでしょうか。
やがて,大人というものは,特に親は,子どもの必要を満たすために存在するのだ,と思うようになるかもしれません。
もっと良い方法: 親は親で必要なことがある,ということを子どもたちに学ばせましょう。そうすれば,親や他の人に対する思いやりを持つよう教えることができます。
あなたは厳しくて批判的な父親に育てられたので,自分はそういう親になるまい,と心に決めています。それで,事あるごとに,2人の息子を褒めます。褒めるに値するようなことは何もしていない時も褒めるのです。
「大切なのは,あの子たちが自分に満足できるようにしてあげることだ。自分は特別な存在だ,と思えるなら,人生で成功するのに必要な自信を持てる」と,あなたはつぶやきます。
考えてみてください: 子どもたちは,自分たちを喜ばせるために“意味のない褒め言葉”をかけられることから,実際には何を学んでいるのでしょうか。子どもたちの自尊心ばかり重視するなら,子どもの現在と後の人生にどのような害が及ぶ可能性がありますか。
もっと良い方法: バランスを保ちましょう。子どもに対して批判的になり過ぎてはいけませんが,褒める時は子どもの払った努力を褒めるようにしましょう。
あなたは,5歳と6歳の娘を持つ母親です。上の子はすぐにかっとなる傾向があります。昨日も,急に怒り出し,妹の腕を殴りました。あなたはその時の自分の対応を思い返します。
「叱らずに言って聞かせることにしたんだけど。でもともかく,『あなたが悪い』なんて言ったら,あの子を傷つけたでしょうから」。
考えてみてください: 6歳の子には言って聞かせるだけで十分でしょうか。妹をたたくという行為を「悪い」と言うのは,本当に有害なことなのでしょうか。
もっと良い方法: 良くないことをしたなら,それに見合った結果を経験させましょう。愛情を込めて与えられる懲らしめは,行動を正すようお子さんを助けるものとなります。