貪欲という要因
もしそのような批判が真実なら,批判を受けた人たちには貪欲という烙印が押されることになります。ところが現に貪欲は,今世紀のアスベスト史を貫くテーマなのです。
アスベスト業界は,アスベストを浴びる害について作業員に何も知らせなかったため,貪欲極まりない態度を示しているとして批判を受けています。
幾つかの裁判所は,危険にさらされていることを従業員に知らせなかったという理由で,アスベストメーカーに損害賠償を科す判決を下しました。
また,これほど物議をかもしているにもかかわらず,アスベストメーカーは依然,まだアスベストを禁止していない発展途上国に自社の製品を輸出しています。
そしてそのような国では,工場の作業員をアスベストから守るための適切な措置が必ずしも取られていないのです。
貪欲であるという批判は,アスベストを撤去する業界にも浴びせられています。評論家は,費用が1平方㍍当たり250㌦(約3万3,750円)から500㌦(約6万7,500円)という法外な額になる場合の多いことを非難しています。
それは,当初取り付けにかかった費用の100倍を優に超える額です。汚職も伝えられています。幾つかの撤去業者は,違法で危険な撤去方法や廃棄方法を見過ごしてもらおうと,政府職員にわいろを渡したことが発覚しています。
単に費用の節約が目的で悪徳業者にアスベストのずさんな撤去を依頼する,不正な家主がいることも知られています。そうした業者に雇われる作業員は大抵,作業の危険性については何も知らず,
保護服も着用しません。
そして,アスベストを不法投棄することも知られています。しかも公園に投棄することさえあるのです。
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