gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/tamahiyo/life/tamahiyo-36184
一部引用
健康増進法が改正され、2020年4月から分煙が義務化されました。社会の禁煙化は進んでいるものの、子どものタバコの誤飲事故はゼロになりません。
40年にわたり禁煙活動に取り組む、十文字学園女子大学教授健康管理センター長 齋藤麗子先生に、日本で禁煙が進まない理由について話を聞きました。
喫煙する家庭の子からは、尿からニコチンの代謝産物が検出されることも!
齋藤先生が禁煙活動を始めたきっかけは、小児科臨床医時代や保健所長としての経験からだと言います。
「約40年前のことですが、タバコの誤飲で救急外来に運ばれた子どもの胃をよく洗浄しました。その後、保健所長として保健所でも勤務したのですが、タバコを吸っている家庭の子からは、尿中コチニンが検出されます。
コチニンとは、ニコチンが体内に吸収されるとできる代謝産物です。尿内に排出されたコチニン(尿中コチニン)を測定することで、どれだけタバコの煙が体内に入っているかわかります。
尿中コチニンは、喫煙者本人はもちろんですが、受動喫煙によっても検出されます」(齋藤先生)
「4カ月の子のママは、妊娠前から喫煙者で、産後も喫煙を継続。夫婦ともに1日5本、家庭内の換気扇の下などで喫煙していたところ、子どもの尿中コチニンは168μg/mgクレアチンでした。
4カ月の子の数値としては深刻です。このままの状態では肺炎、気管支炎、ぜんそく、中耳炎などのリスクが高まります。
喫煙による健康被害を防ぐため、私は約40年にわたって禁煙活動を続けていますが、タバコの誤飲事故はゼロにならないのが現状です」(齋藤先生)
タバコの誤飲事故の起こりやすい年齢と事故事例
消費者庁が2021年1月に行ったインターネット調査(※1)では、保護者が喫煙する家庭の2割で「乳幼児がタバコや吸い殻を口に入れた」または「入れそうになった」ことがわかっています。
※1有効回答者数500人・全国の20〜60歳代を対象に、0〜6歳の子どもと同居しており、現在、タバコを喫煙する人を抽出した調査。
タバコを誤飲しそうになった年齢は0〜2歳が多い
誤飲しそうになった年齢(複数回答)
消費者庁の調べでは、タバコを誤飲しそうになった年齢は0〜2歳が多いことがわかりました。
誤飲しそうになったタバコの置き場所はそれぞれ。「テーブルの上」「大人の衣類のポケット」「棚の上」「灰皿」などが多いようです。
乳幼児ファミリーは、サードハンド・スモークにも要注意
喫煙が周囲に与える害というと受動喫煙(喫煙者がそばにいることで、有害物質を含むタバコの煙を吸わされてしまうこと。
タバコを吸わない人でも、継続的な受動喫煙で健康に影響が出ることがわかっています)がよく知られていますが、サードハンド・スモーク(3次喫煙・タバコを消したあとに、残留する化学物質を吸入すること)というのもあるそうです。
「サードハンド・スモークとは、たとえばベランダに出て喫煙していたパパ(ママ)が部屋に戻ってくると、髪の毛や衣類などについた、目に見えないタバコの有害成分が与える影響のことです。サードハンド・スモークは、加熱式タバコでも同様です。
赤ちゃんがいる家庭では、有害成分がついた服のまま、赤ちゃんを抱っこしたりすることもあるでしょう。また有害成分は、時間とともに下に落ちて行きます。
とくに赤ちゃんは、はいはいなどで床を触ったり、床に置いているおもちゃをなめたりすることも多いので健康への影響が心配されます。