聖書はこうして現代まで伝わってきた Ⅱ
聖書翻訳
聖書が世界で最も広く知られる本となった二番目に大きな要因は,多くの言語で入手できることにあります。
この事実は神の目的とも調和しています。神は,あらゆる国の,あらゆる言語の人々が神を知り,「霊と真理をもって」神を崇拝するようになることを望んでおられるのです。
「とはいえ,真の崇拝者が聖なる力と真理に導かれて父を崇拝する時が来ます。今がその時です。実際,父は,自分をそのように崇拝する人たちを求めています。
神は目に見えない方であり,神を崇拝する人は聖なる力と真理に導かれて崇拝しなければなりません」。
(ヨハネ 4:23,24)
『多くの国々が来て言う。「主(神)の山に登り,ヤコブの神の家に行こう。主(神)はわたしたちに道を示される。わたしたちはその道を歩もう」と。主(神)の教えはシオンから,御言葉はエルサレムから出る』。
(ミカ 4:2)
ヘブライ語聖書の最初の翻訳として知られているのは,ギリシャ語のセプトゥアギンタ訳です。
この訳は,パレスチナの外の地域に住んでいたギリシャ語を話すユダヤ人のために作られたもので,イエスが地上で宣教奉仕を始める時より2世紀ほど前に完成しました。
それから何世紀もたたないうちに,クリスチャン・ギリシャ語聖書を含む聖書全巻が多くの言語に翻訳されました。
ところが後に,王たちだけでなく聖職者たちまでが,本来なら聖書を民衆に与えるよう尽力すべきであったのに,それとは正反対のことをしました。
聖職者たちは,神の言葉を一般の人々の用いる言語に翻訳することを許さず,信徒たちを霊的な闇にとどめておこうとしたのです。
しかし,ある人たちは,教会や国家に逆らうことになったにもかかわらず,勇敢にも,聖書を一般の人々の言語に翻訳するために命懸けの努力をしました。
オックスフォードで教育を受けた英国人ウィリアム・ティンダルは1530年に,ヘブライ語聖書の最初の五書(ペンタチューク)の翻訳を刊行しました。
多くの反対に遭いながらも,初めてのこととして,聖書をヘブライ語から直接英語に訳したのです。また,英語の翻訳者としては初めて,エホバの名を用いました。
スペインの聖書学者カシオドーロ・デ・レイナは,初期のスペイン語聖書の翻訳に携わりました。
カトリック教会の迫害者たちから絶えず命をねらわれましたが,英国,ドイツ,フランス,オランダ,スイスへと旅をして,翻訳を完成させました。
今日,聖書はますます多くの言語に翻訳されており,年に幾千万冊も出版されています。
聖書が今日まで生き延びて世界で最も広く知られる本となったことは,使徒ペテロの霊感によるこの言葉の真実さを物語っています。
「草は枯れ,花は落ちる。しかし神(エホバ,ヤハウェ)のことばは永久に存続する」。
『こう述べられています。「人は皆,草のようであり,人の栄光は全て,野の花のようである。草は枯れ,花は散る。しかし,神(エホバ,ヤハウェ)の言葉は永遠に存続する」。この「言葉」が,皆さんに伝えられた良い知らせです』。
(ペテロ第一 1:24,25)