現金決済にこだわる「サイゼリヤ」、社長が真意を明かす
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/111500052/
一部引用
政府が10月の消費増税に合わせて始めたキャッシュレス決済のポイント還元事業。
都市部を中心にキャッシュレス決済に対応できる店舗が増えているが、そんな「キャッシュレス祭り」に一歩引いている企業がある。
イタリア料理チェーンのサイゼリヤだ。国内約1100店舗の8割が現金決済。なぜ、現金決済にこだわるのか。堀埜一成社長が真意を明かした。
キャッシュレス決済の導入が広がる中、サイゼリヤはSC(ショッピングセンター)などに入居する店舗以外では原則現金だけの決済を続けています。なぜでしょうか。
堀埜一成・サイゼリヤ社長(以下、堀埜氏):最終的には乗るんですよ。キャッシュレスはやるんです。でも究極の後出しじゃんけんをするつもり。
というのは、確かに手数料率もあるんですが、ハード(端末)の開発速度を見てるんです。
1100店もあると、ハード代がばかにならない。「それに何億円使うの?」となるでしょう。
変更に弱い端末を入れてしまうと、PayPayとか新しい決済手段が入ってきたとき、後付けできないとかとんでもないことになる。
この分野って開発速度がすごい速いんです。今後どう変わっていくか分かんないんで、そのハード側に金を使いたくないなというのがある。
そういうのを見ながら、いつやろうかと考えています。で、ハードの費用はできれば誰かに出してもらいたい。
では、製造が間に合ったらキャッシュレスを導入していたんですか。
堀埜氏:まあ、そろそろやるかなって気はしてたんですけどね。そこにアマゾン(編集部注:米アマゾン・ドット・コム)がやってきたというね。
だからキャッシュレスをまだやってなくてよかった(笑)。
サイゼリヤでは2019年7月からアマゾンと組んでキャンペーンを始めていますね。現金で支払った際のお釣りを、アマゾンギフト券として受け取るという。
堀埜氏:そうそう。
ギフト券は、お釣りに2%上乗せした金額になるんですよね。それで、アマゾンのネット通販や動画配信サービスで使う。
堀埜氏:そうです。
これはアマゾンからの提案だったんですか?
堀埜氏:そう。「アマゾンからこんなの来てますよ」って。(社内では)「やんないでしょ」と言われたけど、「いやアマゾンやからやる」って。
くっついてって損はしない。間違いなく世界のアマゾンだし、いろんなことをやってくれるだろうから面白いだろうなと思いました。
いろんな情報が入ってくる可能性があるし、彼らは(近未来の)日本像が見えているわけですから。
アマゾンの「日本観」
アマゾンは日本をどう見ているんでしょうか。
堀埜氏:日本は現金社会だと思ってるんですね。先んじて一気にキャッシュレスが進んだ中国と違って、まだ現金は残るだろうと想定している。
確かに日本は現金志向が強い。さらにキャッシュレス決済でいろいろな混乱もあって、確信したんちゃうかな。日本は現金だと。
それで、現金のお釣りを、ネット上で使えるギフト券に変える仕組みを持ち込んだ。
堀埜氏:現金を入り口にして、キャッシュレスに持って行こうというのがアマゾンの狙いでしょうね。
タンス預金を狙ってるんでしょう。(お釣りをギフト券にすれば)アマゾンで使える電子マネーとして残る。
アマゾンにたまっていく。うちはチャージ機ですから(笑)。彼らは本当に賢い。