父と母を敬うことに関する誤解
誤解: 父と母を敬うには,結婚してからも親の言うとおりにしなければならない。
事実: 聖書によると,結婚関係は他の家族関係に優先されます。創世記 2章24節には,「男はその父と母を離れて自分の妻に堅く付」くとあります。
『イエスは答えた。「あなた方は読まなかったのですか。人間を創造した方は,初めから男性と女性に造り,『それで,男は父と母から離れて妻にしっかり付き,2人は一体となる』と言いました』。
(マタイ 19:4,5)
もちろん,実の親や義理の親からのアドバイスが役立つ場合もあります。
「あなたを誕生させた父親の言うことを聞け。母親が年を取ったからといって,軽んじてはならない」。
(箴言 23:22)
しかし,夫婦には,結婚生活に親族がかかわってくるのをどこまで許すかを決める権利があります。
「それで,2人はもはや別々ではなく,一体です。ですから,神が結び合わせたものを,人が離してはなりません」。
(マタイ 19:6)
誤解: 親の権威は絶対である。
事実: 神様は親に家庭内での権威を与えておられますが,人間の持つ権威には限界があり,神様の権威を超えることは決してありません。
例えば,イエスの弟子たちは,高等法廷から神様に従わないよう命じられた時,こう答えました。「わたしたちは,自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」。
『こうして使徒たちは連れてこられ,サンヘドリンの前に立たされた。大祭司が質問して,言った。「もうあの名によって教えてはならないときっぱり命じたのに,
あなたたちはエルサレム中で教えを広め,あの男が死んだ責任を私たちに負わせようとしている」。 ペテロとほかの使徒たちは答えた。「私たちは,人ではなく神に従わなければなりません」』。
(使徒 5:27~29)
同様に,子どもはすべてのことにおいて「主と結ばれた」親に従いますが,神様の命令に反する場合は別です。
「子供は,主に喜ばれるよう親に従ってください。そうするのは正しいことです」。
(エペソ・エフェソス 6:1)
誤解: 父と母を敬うには,親と同じ宗教に入る必要がある。
事実: 聖書は,教えられていることをよく調べて,それが真実かどうか見極めるように勧めています。
「ここの人たちはテサロニケの人たちより心が広く,神の言葉を非常に意欲的に受け入れ,聞いたことがその通りかどうかと聖書を毎日注意深く調べた」。
(使徒 17:11)
「愛する皆さん,預言を何でも信じるのではなく,神からのものかどうかを見極めてください。多くの偽預言者が世の中に現れているからです」。
(ヨハネ第一 4:1)
そのようにして,結果的に親とは別の宗教を選ぶ人もいるでしょう。聖書には,親と同じ宗教をしなかった,神様の忠節な僕たちがたくさん登場します。
アブラハム,ルツ,使徒パウロなどがその例です。
『ヨシュアは民の全てに言った。「イスラエルの神(エホバ,ヤハウェ)はこう言っています。『あなたたちの父祖たち,アブラハムの父でナホルの父であるテラがずっと昔に住んでいたのは川の向こうで,彼らは他の神々に仕えていた」』。
(ヨシュア 24:2)
「あなたたちはだから,主(神)を畏れ,真心を込め真実をもって彼に仕え,あなたたちの先祖が川の向こう側やエジプトで仕えていた神々を除き去って,主(神)に仕えなさい。もし主(神)に仕えたくないというならば,川の向こう側にいたあなたたちの先祖が仕えていた神々でも,あるいは今,あなたたちが住んでいる土地のアモリ人の神々でも,仕えたいと思うものを,今日,自分で選びなさい。ただし,わたしとわたしの家は主(神)に仕えます」。
(ヨシュア 24:14,15)
『それでナオミは言った。「オルパは自分の民と神々のもとに帰ったわよ。あなたも一緒に帰りなさい」。しかしルツは言った。「お母さんを見捨てて帰りなさいなんて言わないでください。お母さんと同じ所に行き,同じ所で夜を過ごしたいんです。お母さんの民が私の民,お母さんの神が私の神です』。
(ルツ 1:15,16)
「そして,多くの同年代の同胞よりもユダヤ教に打ち込み,はるかに熱心に父祖たちの伝統に従っていました。しかし,私を母から誕生させ,惜しみない親切によって招いてくださった神が,次のことを良いと考えました。私を通して神の子を明らかにし,その方についての良い知らせを私が異国の人々に伝えるようにする,ということです。私はこのことについてすぐに人に相談したりはしませんでした」。
(ガラテア 1:14~16)
『しかし,キリストと結ばれたユダヤの諸会衆の人たちに顔を知られていませんでした。彼らはこう聞いていただけでした。「以前私たちを迫害し,会衆を荒らしていた人が,今では良い知らせを伝えている」。 それで,彼らは私のことで神をたたえるようになりました』。
(ガラテア 1:22~24)
誤解: 父と母を敬うには,先祖を崇拝しなければならない。
事実: 聖書は,「あなたの神(エホバ,ヤハウェ)をあなたは崇拝しなければならず,この方だけに神聖な奉仕をささげなければならない」と述べています。
「イエスは答えて言われた,『主なるあなたの神を拝し,ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。
(ルカ 4:8)
先祖を崇拝するなら,神様を悲しませることになります。加えて聖書は,「死んだ者には何の意識もない」と教えています。亡くなった人は,敬意を示されても分かりませんし,生きている人を助けたり害を加えたりすることもありません。
「生きている人は自分が死ぬことを知っている。しかし,死んだ人は何も知らない。何かを得ることもない。思い出されず,忘れ去られる」。
(コヘレトの言葉・伝道の書 9:5)
「あなたにできることは何でも,力を尽くして行いなさい。あなたの行く場所,つまり墓では,働くことも考えることも学ぶことも理解することもできないからだ」。
(コヘレトの言葉・伝道の書 9:10)
『人々があなたたちに,「ささやいたりつぶやいたりする霊媒師や占い師に尋ねなさい」と言うかもしれない。民は自分たちの神に尋ねるべきではないか。生きている人たちのために死者に尋ねることがあってよいだろうか』。
(イザヤ 8:19)