自己満足的電脳空間

完全自己満足主義。テーマはない。自分の趣味・関心事を偏った嗜好と思考でダラダラと書き綴る自分のための忘備録。

NPBは外国人枠を撤廃すべき!?

2018-04-09 00:05:00 | 野球、その他スポーツの話
昨年の6月、元中日のアロンゾ・パウエル氏(当時HOUコーチ、現SFコーチ)の「NPBは外国人枠を撤廃すべき」 という記事を目にした。ご本人が「外国人」としてNPBでプレーした経験がある氏の提言は米球界でなかなか出番のない選手達にプレーする場を提供して欲しいという趣旨が読み取れた。



また、その前年、東北楽天の三木谷オーナーが「外国人枠は撤廃するべき」という旨の発言があった。「最高のプレーを見せられれば、やっている選手が日本人か外国人かというのは関係ない」というものであり、外国人枠を撤廃してもプロ野球という興業には影響がないとするものだ。これに対して賛同の意見も勿論あるが、多くの反対意見も噴出している。ひとつは日本人選手の雇用の問題だ。

MLBとのレベル差の少なくなった現在では、MLBの選手が出場機会を求めて日本へやってくる場合もある。この外国人枠というルールは、外国人選手が多く流入することで、日本人選手の雇用機会が減少しないようにする為という意味合いが強い。外国人労働者に国内労働者の仕事が奪われるのを防ぐ、という意味では移民の規制や、国際労働移動の障壁の一種だと言えよう。

また「最高のプレー」という点を疑問視する声もある。MLB最高峰の選手が日本でプレーするとなれば、見てみたいと思うのは当然だが、そんな選手は来ないという意見だ。日本プロ野球の最高年俸は6億円程であるが、MLBの一流選手となれば、その年俸は20億30億という世界でありまさに桁違い。外国人枠を撤廃しても日本へ一流選手がやって来ることはない、というのである。


まぁ、賛否両はあると思うが、私自身も短期間ではあるが海外で仕事をしていた時期に国籍・言語でチャンスが奪われてしまったこともあるので「チャンスは平等に与えられるべき」という意見には賛同している。故に国籍にとらわれず市場開放を謳うパウエル氏、三木谷氏の意見には概ね賛成である。

概ね賛成、つまり完全に同意はできないのには理由がある。上述の日本人選手の雇用問題もあるが、他にCPBL、KBOとの兼ね合いの問題である。

仮にNPBが外国人枠を撤廃すれば、上記の通りMLBの選手が出場機会を求めて日本へやってくることは容易に想像できるが、台湾、韓国からもよりレベルの高いNPBに活躍の場を求める選手が増加することが予測される。

NPBにとってはレベルアップに繋がり歓迎すべきことではあるが、台湾、韓国にとってはスタープレーヤーの海外流出に歯止めがつかなくなり国内リーグの空洞化につながる。これはMLBへの選手流出が続くNPBの状況と重複する。



よって、NPB「外国人枠」撤廃はアジアプロ野球全体で見ればデメリットのほうが大きい。台湾、韓国球界のマーケット保護のためにも無制限な『市場開放』は少なくても現在は避けるべきである。私見ではあるが現行の1軍登録できるのは投手と野手を合わせて4人までを5人までに拡大(組み合わせは投手3人野手2人、または投手2人野手3人)というのはどうだろうか?




余談だが一般的にMLBでは外国人枠はないと誤解している人も多いが、そんなことはない。但しNPBのように人数という概念ではなくトップリーグ・マイナーリーグも含めた全登録選手の25%までが「外国人枠」として設けられている。(トップリーグで外国人選手登録数を多くすると、マイナーでは自国選手の割合が増えるということになる)なので、MLBに倣った枠の拡大を唱えるのならともかく、上記パウエル氏のようにNPBに対し外国人枠撤廃という一方的な「市場開放」を訴えるのはアンフェアのように思える。

以下はアジアプロ野球の「外国人枠」ルール
●NPB
現在のルールでは1軍登録できるのは投手と野手を合わせて4人までとされている。また投手4人や野手4人といった登録はできず、投手3人野手1人、投手1人野手3人といった分散が必要になる。1軍登録が3人以下なら、どちらかに偏っていても問題はない。

また外国人枠の対象とならない外国人選手も存在する。日本の中学校・高等学校などに通算3年以上在学していたり、日本の大学に継続して4年以上在学したりと、日本の学校に通っていた選手は日本人選手と同じ扱いになる。巨人の陽岱鋼などがこれに当たる。

また国内FA権を取得した選手も外国人枠から外れ、日本人選手と同じ扱いになる。

●CPBL
各球団3人まで。

●KBO
各球団最大3名まで契約可能。なお3名全員が投手あるいは野手であってはならず、試合出場は2名まで。