最近よく頭に浮かぶな。順一はほんとにそうなのか?と、胸のうちで呟く。
それは紛れもなく初めからそうだったのか、そう自分で納得させるため?
いや、そうではない。
あの時はそれがそこにあることさえ気にも留めていなかったし、だから、それがどれほどの値があるものか。
それすら考えが及ぶこともなかった。
名のある陶工の手になる物か、量産されたものか。
いずれにしても陶器?磁器。
その類の物であった。
割れて細かく砕けて、気がつけばそこに散らばっていた。
掃き集めて棄てれば済む。だれしもそう思うに違いない。
だがそうすることに躊躇い、もしかすると元の形が判るかも。
それから丁寧に拾い集めて、流行りのジグソーパズルをやるように合わせ始めた。
どれくらいの時間を要しただろう。これだけ砕けてしまってはすべて揃うはずはない。
頭では初めから判っていた。けれどもそうせずにはいられなかった。
どこかが足りない。それも肝心のところが。
そう、初めから分かっていたこと。それを知らないことにして。