テレビの画面を切り替えた。
斉藤隆と大谷翔平が昨年リーグ優勝を決めた西武戦を振り返っていた。
昨シーズンは打者としても結果を残した。
その両面について語っていた。
斉藤が唸ったり、ため息をついたりを何度も繰り返していた。
日本球界最速の165キロを出したストレートにも言及。
普通、日本の指でボールを引っかくようにスピンを与えるのだが、
大谷の場合、既にリリースの直前に親指は離れ、二本の指でボールの芯を叩くのだそうだ。
この場合、芯を叩くということはコントロールが難しいと。
他にも、スライダーによる勝負。
高低や幅のギャップを大きくすることで空振りを取るなど。
とても、プロとして日が浅い人間の言うことでないと思った。
西武戦、最終回。四球でこの日二人目のランナーを出した。
そのマウンドで勝負を急いでいると感じた。
それで、冷静さを取り戻したという。
一流と言われる投手でもなかなかそうそうできることではない。
大抵は自分を失い打ち込まれる。
そこが並みの投手、人間でないと思わせる。
ツーアウトまで来た。最後の打者にあわやホームランかという打球がレフトに飛んだ。
本人も、アッ、と思ったという。
だが球威が優っていたのだろう。途中で失速し、フライアウトでゲームセット。
165キロのストレートで三振とは考えていない。
これでファールを打たせて打者を追い込む。
あとはスライダーで空振り。そういうことのようだ。
バッティングに関しては、誰でもそうだが、インコースを責められる。
インコースのボールをすくってスタンドに放り込む。
そういう風に見られるけれど、本人はあくまでバットで叩いて飛ばしているのだと。
打者としてインコースを突いてくるのは判っているからそこにどう対応するかを
常に考えていると。
普段からメジャーの投手を見てイメージを頭にインプットしてマウンドで
それをやってのける。
西武戦で15個の三振を取ったが、中盤からは自分でなく、もう一人の大谷がどこかで
自分を操ってゲームをしている感覚だったと。
恐るべし。