ストライダーである。
ストライダでは無い。
ストライダは小型の折りたたみ自転車のことで私が言っているのは
最近テレビのＣＭでよくやっているストライダーの事だ。
２歳から５歳くらいまでが対象で、足で蹴って進む２輪の乗り物だ
が何しろこれにはブレーキと言うものが無い。
ストライダーの説明では小さな子供では操作のしにくいブレーキを
省く事で云々とあるし、足で走る以上のスピードは出ませんとある
がこれは嘘だ。
さらに注意書きには公道や公道に飛び出す危険性のあるところ、段
差や坂道では使うなとある。
だがテレビのＣＭをご覧になった事があるだろうか、丘の上から下
ってきて段差でジャンプしながら楽しむ子供たちのＣＭだ。
説明とＣＭでやっている事がまるで逆だ。
まず基本的にベタ足が付く状態での乗車が前提だが保育園程度の子
供だと馬鹿にしてはいけない。
十分に「足だけでは急停止できない」スピードは出る。
ストライダーの基本重量は約３Ｋｇ、だがそこに１０Ｋｇ近い重量
が乗るのだ。
足で目いっぱい漕いでいるだけでもそれなりのスピードが出る上に
坂道ともなればかなりのスピードだ。
それのブレーキがないものが止まれなくなれば当然危険なのは誰で
も判ることである。
子供なんだから最高速を目指して漕ぎまくるし坂があれば下ってみ
たくなるのは当然だ。
しかしそこにブレーキは無い。
乗るのは常識的に言えば公園や河原だろうがそこに人がいないとか
障害物がないうことは考えにくい。
いくら親が付いていようが子供の事であるから公園までも親が歩い
ていても乗っていくだろう。
親が目を離していたりいなければ当然のように家の前やら公道でも
お構い無しに乗るだろう。
まさに子供を死なせるためにあるような乗り物である。
乗り物について一番大事なのが「止まる事」であり、自転車を教え
る時もまず足で漕いでブレーキで止まるところから教える。
子供のスキーだって転び方、すなわち止まり方から教えるが二輪で
走るものの止まり方にまさか転べとは教えないだろう。
なにしろ止まり方も教えずにさあ走れなんて教え方はしないだろう。
キックスケーターだってお粗末ながら後ろにブレーキがある。
しかしもっと走る事に徹したストライダーにはそんなものは無い。
事故が起きてからでは遅すぎるのである。
いくら親が付いていようが、走るのと一緒に親も走り回るわけには
行かない。
子供があれを漕いで例えば他の子供や、大人にだって当たれば相手
が怪我をする。
砂漠の真ん中のような見渡す限り誰もいないようなところならいい
かもしれないが、現実的に無理であるから大体は公園か何かだろう。
そこで「止まれない」乗り物で遊ばせるより早くから自転車の練習
をさせてどれだけ「止まる事」が大事なのか教えるほうが先だ。
いくらベタ足であるとは言え止まれない時は止まれないのだから事
故が起きる前に何か対策を講じて欲しいものだといつもあのテレビ
ＣＭを見ながら思うのだ。
自分が怪我をするのは勝手だが他人様に怪我をさせたらそれで終わ
りである。
たかだか保育園児の乗り物だと考えないで欲しい。
十分に他人に危害を与える要件を満たしているのである。
ストライダーの説明にはいろいろと注意書きがされているがどれも
現実に即さない「そんな事書いたって会社の責任逃れのためだけだ
ろう」的なことしか書かれていない。
二輪のバランス感覚だけならキックスケーターでも十分養える。
そのキックスケーターだってあまり褒められたものでは無いのだが
ストライダー＋子供は危険以上の何者でもないのはちょっと考えれ
ばわかる事なのである。
対人対物保険に加入しているからいいとかそういう問題では無い。
基本的な安全をおざなりにした乗り物は乗らせるべきでは無いとい
う事なのだ。
ニュースにはならないかもしれないけれど小さな事故は結構あると
思う。
それが大きな事故につながらないかと心配しながらあのＣＭを見て
いるのである。
ちなみにもう少し大きなスーパーストライダーというのにはブレー
キは装備されているのである。
子供だからと馬鹿にする事なかれ、保育園児だって十分加害者にな
りうるのだ。
当然被害者にもなりうる事はもはや言う事もなかろう。
３歳にもなれば補助輪付きの子供用自転車に十分乗れるのだからそ
こから教えていくほうが安全であると言うのは言うまでもないこと
なのだ。
流行に乗せられて自分の子供が被害者や加害者になりうる事を考え
たらもっとよく考えて欲しいものである。
本日の種：ストライダーＨＰ
