今年で母が亡くなってから10年。
当時の痛みは年月と共に癒されてきたものの折に触れ母の不在を寂しく感じる。
私の母は厳しい人で、子供にとってわかりやすい愛情を注いでくれるタイプではなかった。共働きで父の事業を支えていたせいもあり、幼い私が見ていたのはいつも母の後ろ姿だった。
幼稚園は送迎が不要のところに通い、幼稚園の後は自宅ではなく父の会社の小さな事務所に帰る日々。母は伝票処理や電話の応対で忙し . . . 本文を読む
長い夏休みをタイで過ごしてきたけれど、今日は休暇の様子ではなく、心の整理をしておきたいことを先に書き留めることにする。
彼女との出会いは中学1年の時。同じクラスになったのがきっかけ。
姓がア行の彼女が教室の窓側の前から3番目の席に座っていたことは今でもよく覚えている。
どちらから先に声をかけたのか、入学早々に気の合う友になっていた。互いの自宅も割と近かったので、よく遊びに行かせてもらった。
気 . . . 本文を読む
それはいつもと変わらぬ暑い夏休みだった。
けれども夏特有の不快な蒸し暑さは不思議と記憶には残っておらず、故郷で過ごした温かい時間の欠片だけが心の中で眩しさを放っている。
私は7歳の息子と5歳の娘を連れて実家のある福岡へ里帰りをしていた。
福岡市内の中心地に実家はあるのだが、東京よりも心なしか時間がゆるりと過ぎていくのは親元にいる安心感からなのだろうか。
私の両親はその当時、還暦を過ぎてからも小さ . . . 本文を読む