有馬記念は、一昔前は、牝馬は勝てないというジンクスがありました。調べてみると、1971年のトウメイが勝ってから、2008年ダイワスカーレットが勝つまで、37年も勝っていなかったのです。さすがにこれだけ長く勝てないと、牝馬として出走することが人気に影響するのか、この間、1番人気に推された牝馬は、2002年のファインモーション(5着)と1995年のヒシアマゾン(5着)の2頭しかいません。1番人気になっても不思議のない牝馬は他にもいたと思いますが、あのウォッカも、2007年、ダービー馬になった年に3番人気で出走し、11着に惨敗して、以後、ファン投票で上位に選ばれても有馬には出なくなってしまいました。
エアグルーヴも忘れられない馬です。1997年、天皇賞・秋で、前年覇者のバブルガムフェローを壮烈な叩き合いの末に破り、次のJCでもバブルGに先着したことから、同馬を一種の恐怖症(エアグルーヴ・ノイローゼ?)に陥らせ、引退を早めたとも言われる、それほどの名牝です。当時、伊藤雄二調教師は「この馬は牝馬だと思って調教していない」とくり返していましたが、確かに、正面から見た彼女の姿は装甲車のようにゴツくて、牝馬らしさが微塵も感じられないのです。そのエアGであっても、1997・98年と2回走って3着・5着と、やはりダメでした。個人的には、2回ともエアグルーヴから馬券を買った記憶があるので、98年に5着に沈んだレースは特によくおぼえています(JCを挟んで秋3戦以上走ると消耗するのかも知れません)。
しかし、2008年にダイワスカーレットがジンクスを破ると、最近はあまり「牝馬だから」というのは気にする必要がなくなってきた感じがします。以後の最上位牝馬の成績を眺めると、
・2009年 ブエナビスタ(1番人気) 2着 [ドリームジャーニー②]
・2010年 ブエナビスタ(1番人気) 2着 [ヴィクトワールピサ②]
・2011年 ブエナビスタ(2番人気) 7着 [オルフェーヴル①]
・2012・13年 牝馬出走なし
・2014年 ジェンティルドンナ(4番人気) 1着 [トゥザワールド⑨]
・2015年 マリアライト(12番人気) 4着 [ゴールドアクター⑧]
・2016年 ミッキークィーン(7番人気) 5着 [サトノダイヤモンド①]
・2017年 クィーンズリング(8番人気) 2着 [キタサンブラック①]
・2018年 モズカッチャン(4番人気) 8着 [ブラストワンピース③]
・2019年 リスグラシュー(2番人気) 1着 [サートゥルナーリア③]※アーモンドアイ9着
・2020年 クロノジェネシス(1番人気) 1着 [サラキア⑪=牝]
・2021年 クロノジェネシス(2番人気) 3着 [エフフォーリア①]
*[ ]は1着ないし2着馬。〇数字は同馬の人気。
最近の5年間で、3着以内に入った牝馬は延べ5/15頭で3頭に一頭です。確率的に考えたら、今年も3着以内に1頭は来ることになります。
今年出走する予定の牝馬は4頭です。ジェラルディーナは母親のジェンティルドンナが2014年に勝っているので注目されていますが、前走のエリザベス女王杯を勝っていることが、逆に嫌な感じがします。むしろ同レースで負けた2頭、アカイイトとイズジョーノキセキの方に食指が動くのですが、さて、どうなるでしょうか。
次回は有馬の前日に行われる中山大障害について書きます。よろしければ、またご覧ください。
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