Quelque chose?

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「イミテーション・ゲーム」

2019-08-10 | 本・映画・テレビ
「イミテーション・ゲーム テニグマと天才数学者の秘密」を観た。
主演がベネディクト・カンバーバッチ様だったから目に留まった・・だけというわけでもないが(この作品は第87回アカデミー賞で8部門にノミネートされ脚色賞を受賞したのを始め、数々の受賞歴を持つ)、
観終わってみると、こういった「孤高の変人」をこれほど深く創れるのは、カンバーパッチ様しかいないだろうなあ、という感想しかない。

舞台は1939年のイギリス。イギリスがドイツに宣戦布告し、各地で戦闘状態となる中、主人公の天才数学者アラン・チューリングを始めとする数人のチームが軍に呼ばれ、ドイツ軍の暗号「エニグマ」を解読するための極秘任務に就く。

ドイツ軍の精密な暗号の解読は困難を極め、優秀な頭脳が努力してもなかなか成果が上がらない。偏屈なアランは同僚との協調性を欠き、解析室は険悪な雰囲気にもなる。
しかし、アランは暗号解読装置の開発を計画し、チャーチルに直訴してその途方もない資金を要する計画が認められる(このあたり、"選択と集中"とかやってる今の科学行政だったらだめだったろうなあとうらやましく(※個人の感想です))。アランはチームを新編成することにし、さらに優秀な頭脳を求めて一般公募を出す(この公募の仕方も面白い。大人の事情で、業績とか研究歴とかなくてもアカデミックポストに就ける今の状況とはちょっとちg(以下自粛))
そこに応募してきた中に、一人の女性がいて・・(ネタバレ防止のため以後省略)

それぞれのバックグラウンドがあり、世界には戦争という現実があり、その中で息をひそめるように、しかし熱い想いで、「最前線で戦っていた」暗号解読チームのメンバーたち。
特に、その任務と業績が長く秘匿され、2013年に英国政府によって「死後恩赦」されたというアラン・チューリングという天才の能力と苦悩には、ただ頭が下がる。戦争というのは、ほんの数十年前の現実である。その中で、それまでにない「コンピューター」を開発していた天才がおり、そしてその人の人生は決していわゆるバラ色ではなかった(そしてその困難のほとんどは、彼が少し後に生まれていたら問題にならなかっただろう)という圧倒的な事実に、たじろく思いである。

主演二人はもちろん、その他の役柄も実力ある俳優陣によって緻密に役作りがされている。戦時中の英国の風景の中、ところどころに挟まれる第二次大戦の実写映像が、アクセントになり緊張感を醸し出している。音楽も美しい。
主人公は変人だけれども、それを囲む人々の温かさに、自分もこうありたいと思える。

暴力やラブシーンはありません。
おすすめ。

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