鏡海亭 Kagami-Tei ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石? | ||||
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第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29
拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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【お知らせ】3月14・15日の更新はお休みです
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連載小説『アルフェリオン』(再掲版)、ルキアンがついにエクターの称号を得るという印象的な場面にさしかかっています。続きを楽しみにしてくださっていた方、誠に申し訳ありません。その埋め合わせと言ってはなんですが、本日分(3月13日)の『アルフェリオン』は、特別に第36話の6と7の二本立てでお送りします。
◇
再掲版・今後のお話
主人公ルキアン、第36話にしてやっと正式にエクター(繰士)になったのはよかったのですが、その内心は複雑です…。続く第37話で吐露される彼の思いも、見逃せません。
しかし、せっかく目立った主人公、その後は例によって空気になってしまいます(^^;)。鬱展開→超覚醒→延々と地味展開→最初にループ、という流れが定番になりつつあるルキアン君ですな。
続く第38話・39話は、何とファルマス様のターン!(^^;) 一応、この作品は広義のロボット物なのですが、38・39話では生身同士の剣での戦いが中心となります。何でもありのお話ですな…。ファルマスの無邪気な凶悪さと変人っぷりが、存分に発揮されることでしょう。
同じく38話から、緊迫感を増す物語の中にドジっ子投入、リーン・ルー・エルウェンが満を持して登場です(笑)。周囲が鬱展開の中でひとり転んでばかりいる、何のためにいるのか分からないリーンさんです。しかし彼女にも、いつか大事な役目がありますよ。いつか…(いつだ?)
第40話には、帝国軍も本格的に登場。ガノリス王国方面の話が盛り上がって参ります。帝国のエースと言いつつ中途半端にうざったい性格のライ・ド・ランツェロー(ランツェ郎)、対するガノリスの美形中年・ロスクルス隊長等々、新キャラ盛りだくさんです。ガノリスと言えば、そう、グレイルとフラメアのコンビもますます好調です。彼らと「鍵の守人」もようやく合流。守人のウーシオンも、ファルマス様とは違った意味での変人ぶりを見せつけてくれます。
…と、内容てんこ盛りの30話台後半~40話。ルキアンの主役の座は、これまでにないほどの危機を迎えるのか!?\(^o^)/
ご期待ください。
親愛なる読者様へ
鏡海
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【解説】ルキアンは妄想の帝王?
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先日も回想に出てきた不遇の幼少時代を、今回はルキアンが妄想によって現在の視点から再解釈しているわけです(^^;)。それでいいのか主人公。強敵と戦闘中なのに…彼の心の中では妄想が荒れ狂っています。
「おうちに帰りたいよぅ…」という場面は、幼年期のルキアンの中で何かが壊れた、象徴的なシーンだったようです。彼は物静かですが辛抱強い性格なので、そう簡単には弱音を吐きません。恐らく幼少期からそうだったのでしょう。が、さすがの子供ルキアンも、養親からの精神的虐待に耐えきれず、とうとう「本当のおうち」に帰りたいと泣き出してしまったのでしょう。しかし「本当のおうち」がどこにあるのか分かりません。いや、実の両親さえも、自分の過去さえも、当時のルキアンには(現在の彼にも)まったく不明です。実はその点が、よくよく考えると、この地味な主人公が抱える根深い謎であり、今後への伏線なんですが(!)。
◇
今回のお話では、悲しい幼年時代のあの場面を、ルキアンが妄想によって自分に都合の良いように再解釈したわけです。つまり、おうちに帰りたいと木の下で泣いていた幼い自分を、実はリューヌが見守っていてくれた…という解釈です。
ひょっとすると、本当にリューヌは当時から幼いルキアンを見守っていたかもしれません。子供ルキアンが彼女の気配に漠然と気づいている描写も、たしかに入っています。でも、それが実際の記憶なのか、あるいは妄想なのか、境界は曖昧です。どこまでが現実でどこまでが妄想なのかは、読者諸氏の判断に委ねます。
ともあれ、ルキアン自身の中では、実はあのときの惨めな幼い自分をリューヌが見守ってくれていた、だから本当は一人じゃなかった、というふうに勝手に断定してしまったわけです(^^;)。ずっと記憶の中で泣いたままの幼い日の自分を、この手で救い出せたような気分なのでしょうね、ルキアンは…。
ルキアンにそれができたのは、シェリル(偽名)さんが、彼の妄想癖を全肯定するかのようなセリフを前回に言ったからです。ぶっちゃけた言い方をすれば、「君にとって妄想の世界は大事なんだろ? だったらそれでいいじゃないか!」と、凄~いことを彼女は言ってのけたわけです。大物すぎるよ、姐さん…。
ルキアンにとっては、誰かが自分をそんなふうに全面的に肯定してくれたのが生まれて初めてだったんでしょうね。いや、実は以前にルキアンがシャリオさんに抱きついて嗚咽していた場面(苦笑)でも、シャリオさんが「それで良いって、誰かに言って欲しかったんでしょう?」と言い、ルキアンが泣きながら同意(^^;;)していたのも印象的でした。
ただ、シェリルさん(偽名)も、何気に相当の電波キャラです…。初めて会った(顔も知らない)少年に、彼の奥底まで理解したようなふうな調子で、あそこまで入れ込むとは。豪快なのに電波って、珍しいキャラですね(笑)。この人は、実は作者の私にもイマイチよく分からないんですよ(おい)。分からないのを、分からないままで暴れさせてる感じですね。情に流されやすいのかと思えば、冷徹でプロとして割り切った面もあるし…。気ままな性格のようでいて、意外に優しそうにも見えるし。計算高いように見えて、何だか天然っぽい部分もあるし。謎です。
◇
シェリルさん(偽名)やシャリオさんの件をはじめ、ルキアンが何かと年上の女性キャラばかりに甘える傾向があるのは(今後、もっとひどくなる時期も ^^;)、実は記憶の奥に強度のシスター・コンプレックスが刻み込まれている…からかもしれません。そういえばリューヌも、ルキアンを守る姉のような感じですし(むしろ母親のようだという説もある)。ネタバレ記事(爆)でも時々流しているように、ルキアンの「姉」の話は、今後、物語の重要なところに色々と絡んできます。
また、ルキアンはおそらく養母には極めて冷たく扱われており、生母のことも何も知りません。母親の暖かさに対する憧れのようなものも、無意識のうちに強烈に抱いているのでしょう(あるいは反対に、母の暖かさを知らない辛さから逃れるため、無意識のうちに非常に強く抑圧してきたのかも)。第21話でアルフェリオンのケーラに入ったルキアンが、次のようなセリフを言っています。
「――奇妙だな。こうしていると気分が落ち着く感じさえする。他のアルマ・ヴィオに乗っているときとは全く違う……。まるで、ケーラが僕の身体を優しく包んでくれているようで、とても安心する。この不思議な安心感を、ずっと昔、僕はどこかで感じていたような気がするんだけど……。でも、おかしいな。子供の頃から、そんな暖かさなんて僕には無縁だったはずなのに」
これは、明らかに母胎の中のことをイメージしていますよね。「ずっと昔、僕はどこかで感じていたような気がする」とか「そんな暖かさには無縁だったはず」というセリフは、35話から37・38話を経て、後になって振り返ると意味をもってくるのでした。
アルフェリオンに母の温もりを見いだし、リューヌにも母や姉の面影を見いだすルキアン、屈折しています…。リューヌとアルフェリオンの境界も、実は曖昧なのですよね。リューヌと関わりが深そうな例の「黒い珠」がアルフェリオンに埋め込まれているというのも、露骨に伏線っぽいです。いずれ、珠の入っていないアルフェリオン(ドゥーオの方)との違いが明らかになるでしょう。カルバ先生は、この「珠」が「アルマ・ヴィオの力を増幅させるものらしい」と言っていましたが(第1話)。おまけに、いまや菌糸みたいなものを伸ばして機体に「寄生」していますし(第25話)。中身は何なのでしょうね…。以前、エルヴィンが、アルフェリオンの機体に話しかけるようなそぶりで、おそらくリューヌだと思われる相手と会話していたことも謎でした(第13話)。リューさんが、アルフェリオンの中の人だったりするのでしょうか??(^^;)。
◇
ともあれ、いま、ルキアンの頭の中は、とんでもないことになっているのだと思います。多分、見も知らぬ姉と母と、アルフェリオンとリューヌと、諸々の年上女性キャラ(シェリルやシャリオ等々)のことが、妄想も含めてぐちゃぐちゃに入り交じっているのでしょう。何という病的な主人公…。でも病的であると同時に、ガラスの刃のような純粋さや脆さがあり、それでいて時々なぜか隠れ熱血な熱い面も見せることが、ルッキーの魅力でもあります。少年期にみられる、純粋さと入り交じったどうしようもない鬱屈みたいなものを伝えられればなぁと、もう少年時代を過ぎて幾年月の筆者は思っているのでありました(^o^;)。
以上
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