鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

「ハルスの邂逅」編・完結記念3――あの場面を生成AIで振り返ってみました!

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、約半年にわたって繰り広げられた「ハルスの邂逅」編が、先日完結しました。同編の名場面を生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)に画像化してもらう特集、その第三弾の今回は……。
 
 
「ハルスの邂逅」編の山場のひとつとなるシーン、ヒロインのエレオノーアが消滅(!?)してゆく場面のイメージを、画像化してもらいました。ダリさん、ChatGPTとの連携が生かされているのか、自動で英訳された字幕も付けてくれています。言葉が崩れているところもありますが、恐るべしです。
 
「片割れのアーカイブ」として不安定な存在であり、元々自分の命が長くないことを知っていたエレオノーア。そんな中で待ちわびていた「おにいさん」(=主人公ルキアン)との出会い、おにいさんと一緒のささやかなパーティー、幸せすぎて本当にこれでいいのかなと思わず泣き出したエレオノーアが、その幸せの絶頂の中で消滅していく場面は切ないです。
 
「おにいさんのアーカイブになりたかったな」――そして、消えゆく彼女が最後に告げた言葉。
 
「私は、あなただけのために咲く花です」
 
ここで、エレオノーアにもっていかれた人、いらっしゃるかもしれません(笑)。
例のヴァイゼスティアーの花の伏線があったので、余計に涙を誘います。
 
ちなみに、エレオノーア消滅?のシーンが小説本編に掲載された際、以下の画像が広報用に使われました。
 
この画像用の各素材の生成には、同じく生成AIのHolaraさんが頑張ってくれました。ありがとう! それを鏡海が修正・編集して共同作業です。
 
ともあれ、ここから始まった、エレオノーアを取り戻すルキアンの戦い。あんなに長い激戦になるとは、この場面の時点では、よもや思われませんでした。
 
続いて、消滅してしまったエレオノーアの存在を取り戻そうとするルキアンの目の前に現れた「虚海ディセマ」あるいは「ディセマの海」、その絶望的な雰囲気をダリさんが画像化です。
 
本当は、作品中でのディセマの海の表面は鏡のように静かで、揺らぎひとつない暗い水面が大洋の規模でどこまでも広がっているというのが、何かとてつもなく不気味なのです。そこは惜しくも表現できていないにせよ、インパクトはある絵になりました。手前に突き出ている足が何気に怖い!(笑)
 
もうひとつ、ダリさんの描いたディセマの海。こっちはかなり気持ち悪いので閲覧注意です。
 
 
……いきますよ。
 
 
夢に出そうな変な絵は見たくないという方は、あらかじめ薄目で(?)ご覧ください。
 
一方では極北の海のようで、他方では工業地帯の夜の運河のようで、という表現が影響したのか、こんな異様な画像が生成されました。まさにダークファンタジーの世界ですね。
 
消え去ったエレオノーアは、途轍もない量のデータが具現化したものである「ディセマの海」の底に眠っています。ルキアンは支配結界「無限闇」の力によってエレオノーアの魂に仮の姿を与え、それと一緒にディセマの深海の最奥まで降りていきます。何とも幻想的な描写、ダリさん、やりましたね!(エレオノーアっぽい口調で)
 
 
ディセマは一切の生き物のいない死した海なのですが、もしかしたら深海の異様な生き物たちであふれているのではないかと最初は恐々だったルキアン(笑)。彼が幼い頃に見た一冊の本のことが、小説本編に出て参りました。そのイメージをダリさんに画像にしてもらいました。
 
ちょっとレトロな雰囲気が、絶妙ですね。ずっと昔の海洋冒険小説みたいな。
ちなみに虚海ディセマの底に何があったのかは、内緒です。小説本編でお楽しみください。
 
最後に、冒頭の「私は、あなただけのために咲く花です」のシーンの番外編です。
最初は少年エレオンとして登場した、「実は私、女の人だったのです!」のエレオノーア。当初は彼女のボーイッシュな側面がある程度前面に出ていたこともあり、そうした特徴もプロンプトに加えたところ、ダリさんが何か誤解(?)したようで、少年エレオンが少年ルキアンに……と変換されて(苦笑)、こんな画像もやたらに生成されてきたのです。
 
この二人の間で「俺は君だけのために咲く花だ」(!)というのは、ちょっと色々と考えてしまいますね。
人には色々な愛のかたちがあるので、まぁ、好き好きではありますが。
 
同様に……。エレオンとルキアン?
 
ダリさんの方も、この路線から離れてくれないようでした……。
さて今回はこのへんで。
 
『アルフェリオン』をご愛読いただき、ありがとうございます。
今日も貴重なお時間を本作のためにお使いくださいましたこと、感謝申し上げます。
 
ではまた!
コメント ( 0 ) | Trackback ( )

「ハルスの邂逅」編・完結記念2――あの場面を生成AIで振り返ってみました!

連載小説『アルフェリオン』、メインヒロインのエレオノーアがついに登場する「ハルスの邂逅」編が、先日完結しました! これを記念して、「ハルスの邂逅」編の名場面を生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)で画像化する企画、本日は第2回目です。

おっと、何ですか、この格好いい正統派ファンタジー(苦笑)みたいな……そんな場面、ありましたっけ?
黒いドレスをまとい、黒髪をそよがせて魔法剣を振るう謎の美女!?
いや、これは、イアラが「絶対零度(アブソリュート・ゼロ)」を使って、御使いの四頭竜と戦うシーンです。ダリさんの解釈によると、魔法を発動するためのイメージとしての概念上の剣「グラキアルス」が実体化して描かれてしまったのですね。だが、それも熱くて結構!(笑)
イアラ、ヒロインの座をめぐって、エレオノーアのライバルとなるか?

同じく、ダリさんの解釈によるイアラの「絶対零度(アブソリュート・ゼロ)」。

イアラの「アブソリュート・ゼロ」、これも容赦なく素敵ですね!
四頭竜の首が一本になっていることは目をつぶるとして(笑)。

さらに……。もしかして、ダリさんはイアラ推しなのか!?(笑)
この力の入れよう。

誰!?(笑) いや、これがダリさんの想像したイアラさんです。
服装以外は全然似てませんが、むやみに熱い!

こ、これはラスボス? あるいは暗黒の大魔女、とか?
いいえ、これは、五柱星輪陣のため、仲間たちのところに最後に駆けつけてきたときのイアラさん、だそうです。怖いですが、水の御子を本気で怒らせたな!?という感じでよいです。

最後にもう1枚、「アブソリュート・ゼロ!!」

髪型が……ショートになってしまいましたが、イアラさん、髪、切ったのかな(違う)。
今日はもう、イアラがやたらに格好良かった名場面紹介でした。

本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました!
最近は寒さもいよいよ本格化して参りましたが、読者様方、風邪など召されませぬよう。
ご自愛ください。

ではまた!

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

「ハルスの邂逅」編・完結記念1――あの場面を生成AIで振り返ってみました!

連載小説『アルフェリオン』の「ハルスの邂逅」編が、昨日、11月25日に遂に完結しました! 今年6月、このブログ「鏡海亭」が本格的に再始動して以来、連載の始まった「ハルスの邂逅」編(第53~57話)です。それから半年近く、ようやく節目を迎えることができ、作者としては感無量です。
 
おや、この画像、何かの必殺技の魔法でしょうか?
イオナズン……的な? 違います(笑)
これは「天轟(イーラ)」ですね。「ハルスの邂逅」編にて、主人公のルキアン(画像の銀髪メガネ君)が初めて使ってみせた御子の奥の手です。
 
さて、約10年ぶり(?)の「鏡海亭」の復活に当たって決定的な役割を演じたのは、とりわけ昨年来、躍進を遂げた画像生成AI――Holara AIさんと、DALL-Eさん(以下、ダリさん)でした。彼らの働きを讃え、ダリさんの解釈を通じて再構築された「ハルスの邂逅」編の名場面や人物描写を、紹介していきたいと思います。
まず今回は、第57話(その1)「二人の闇の御子、猛攻!!」より、御使いの四頭竜に対してルキアンが「イーラ」を放ち、主人公らしいところを久々に見せた場面です。
 
さぁ御一緒に、「イーラ!」(笑)
 
先程の画像ですね。これは華々しい! エレオノーアも、「おにいさん、頑張って支えます!」という彼女らしい感じで、健気ですね(設定と違って髪が長くなってしまったのは惜しいですが)。ただ、周りにいる味方っぽいモブキャラたちは何なのでしょう。「最後の戦い」や「決戦」的なニュアンスをプロンプトに込めると、なぜか周囲の応援隊的な人たちが出てきてしまいがちになります。ダリさんなりに、盛り上げようとしてくれているのでしょうか?
 
そこで、もう一発、「イーラ!!」
 
 
いや、とてもいい感じなのですが、二人ともちょっと幼いですね。子供の頃のルキアンとエレオノーアが、何かの間違いで作品本編よりも早く出会ってしまった場合のような……。
 
さらに、「イーラ!!」
 
 
これもまた素敵ですが! 右側の人は誰なのでしょう……。三人のポーズにも、地味に笑いが込み上げて参ります。
 
何発も打ち上げて、花火大会(笑)を彷彿とさせる展開ですが…。
「たまや~」じゃなくて「イーラ!!」
 
 
今度は、隣のエレオノーアが実に良い感じです。「今です、おにいさん!」などと懸命に応援していそうですね。
 
 
ダリさん、なかなか良いところを狙ってくるようになりました。魔法の演出も強大な御使いの描写もさすがです。しかし、これまた周囲の人たちは誰なのでしょう?(苦笑)
 
ダリさん、今度こそお願いします。「イーラっ!!」
 
 
何だか、決めポーズ感がカッコいいのと、二人のキャラの描写が正確になってきましたね。後ろの人は、ルキアン本人かな?
 
みんなでイーラ連発ですか!?(笑)
一見、格好良い画像なのですが………頭数で押しかける変な勢いに、思わず吹き出してしまいました。
こういう描写、いまの発展段階におけるAIっぽいプロンプト解釈と申しましょうか、なんだか微笑ましい感じです。こんな全力なのにトンデモな解釈は、そのうちもっと高度になったAIさんは、しなくなるのでしょうか(そうなったらなったで、少し寂しくもある)。
 
諦めずに、「イーラ!!」
 
おおぉぉぉ、もしルキアンが、闇の御子の《固有外装》を展開したらこんな見た目になるのでしょうか。これは素敵、シリアスですね。この際、まわりの人々は無視しましょう……。
 
今度こそ決めます、「イーラ!!」
 
雰囲気は最高です。御使いの竜の迫力も凄い! 唯一、エレオノーアが似ていないのは残念ですが。
 
というところで。
「ハルスの邂逅」編・完結記念の花火大会……いや、違う……イーラ発動画像9連発、いかがでしたか。
次回も、ダリさんによるハルス編名場面の画像化特集、続けて参ります。
 
本日もブログ「鏡海亭」にお越しいただき、ありがとうございました。
おかげさまでハルス編が完結し、いよいよ次のお話からは新編に入ります。
ますます目が離せない、孤独と絆のファンタジー小説『アルフェリオン』に御期待ください。
 
ではまた!
コメント ( 0 ) | Trackback ( )

第57話(その5・完)「嘆きよ、我に集え」

目次これまでのあらすじ | 登場人物 鏡海亭について
物語の前史プロローグ

 


5.「嘆きよ、我に集え」


 
 魔術が一時的に造り出した仮想の世界か、あるいは本人の残留思念のようなものを相手にしているのか、いずれにせよルキアンの目の前に現れたアマト・コドゥエは、彼に駆け寄ると、感極まった様子で握手を求めた。
「こんな日が来るなんて。君の名は、《僕の死後(あと)》になってから初めて知った。ルキアン・ディ・シーマー君!」
 初対面でのその勢いに、引っ込み思案のルキアンはいささか戸惑った。だが、アマトはルキアンの様子を気にすることもなく、彼の手をひったくるようにして強く握手をすると、次いで彼の背に腕を回し、親しげに何度か軽く叩いた。
 どう反応してよいか、こういうやり取りが苦手なルキアンにはよく分からず、なされるがままに突っ立っている。
 ――この人は、《嘆きよ我に集え》に応えたはずなのに……。でも、恨みや怒りを吐き出すのではなく、こんなに嬉しそうだなんて。
 もっとも、ルキアンのそんな違和感も長くは続かなかった。アマトはルキアンを抱擁したまま、突然に言葉の調子を抑え、陰惨な声になってつぶやいたのである。その声は物静かながらも、ルキアンの背筋に冷たい感覚を走らせるほどの憎しみを帯びていた。いかに温和で人当たりの良いアマトであろうと、この世を離れる際に彼の抱いていった怒りは、微笑みの仮面の下に隠しておけるほど生易しいものではなかった。
「明けない《永遠の青い夜》のもと、何日も、幾月も、やがては幾年も、僕らは息苦しい地下都市に潜み、ただひたすらに耐え、あの日の青空をいつしか忘れていった」
 アマトの目から活き活きとした光が失われ、瞳孔がやや開いたかのような、虚ろな瞳にルキアンの姿を映している。苦渋に満ちた表情で何かを回想しながら、アマトは問うた。それはむしろ自問だった。
 
 なぜ僕らは、命を奪い合わなければならなかったのか。かつて自身の愛する人や友であったものと。
 
「すべては《エルフ》たちの……いや、宇宙から来た《イルファー》たちの、魔石《ケレスタリウム》がもたらした悪夢だ。彼らを責めることができないのは、頭ではよく分かっているんだ。いや、彼らは、むしろ人類を新たな繁栄に導き、常に善意にあふれ、僕たち愚かな人間に尽くしてくれてさえいた。だが、そもそもの、彼らとの最初の遭遇さえなければ」
 人類とは異なる知的生命体との史上初の接触、そんな未曽有のニュースに目を輝かせる少年時代のアマトの姿が、一瞬、ルキアンの脳裏をかすめた。偏見や雑念のない、純粋な好奇心に胸躍らせる彼の瞳が、ルキアンにはとても眩しかった。その穢れのない輝きに打たれ、ルキアンの青い目からなぜか涙が流れ落ちる。その涙の理由も把握できないままに。
 幼いアマトと入れ替わりに浮かび上がったのは、黄金色の髪とルビーを思わせる澄んだ紅の瞳、そして尖った長い耳をもち、人間より華奢ながらも背丈はひと回り高い、イルファーの女性の姿だった。彼らの民族衣装か何かであろうか、体に密着し、銀の金属光沢を浮かべて輝く水色のスーツを彼女は身に着け、困惑した表情で立ちすくんでいる。多くの人間たちが彼女に詰め寄り、中には殴りかかろうとしている者までおり、さすがに他の人間に腕を抑えられ、なだめられていた。その群衆の後ろでは、アマトがうつむき、拳を握り締め、無言で体を震わせている。
 幻燈のごとき光景が流れ去り、ただ一人残されたアマトがルキアンと再び向き合う。アマトは感情の色のない声で――いや、正確には、嘆きの情念を必死に押さえつけ、自身の奥に封じ込めようとするかのように――遠き未来から来た少年ルキアンに、あの《永遠の青い夜》のもとで起こった出来事を語り始める。
「《ケレスタリウム炉》が稼働直後に暴走、大爆発を起こし、大気中に拡散された青い灰のもたらす《魔染》によって、人間は正気を奪われ、その体さえも人外の者と化し、伝説や昔話の中で《魔物》と呼ばれていた存在と同様のものが僕たちの前に次々と出没することになった。今の時代に君たちが、オークやゴブリン、さらにはトロールなどと呼びならわしている魔物たちの祖先は、《魔染》によって異常な遺伝子変異を起こした僕らの同胞たちなんだよ」
 過去の御子たちから受け継いだぼんやりとした記憶や、パラディーヴァのリューヌから教えられた話などから、ルキアンは《魔染》のこと自体、曖昧には知っていた。けれども、それがやはり真実なのだと、こうして経験者の口から直接に受け取る結果になり、ルキアンの受けた衝撃は想像以上に大きかった。
 決して溢れ出さぬよう、アマトが押さえつけていた怒りが、痛恨の思いが、彼の心の重石を乗り越えて流れ始める。
「僕は、ショウを、息子を……魔物と化したわが子を……彼の命をこの手で終わらせなければならなかった。歪んだ笑顔で僕を見つめる1匹の魔物を。しかし、本当は僕は最後まで手を下すことなく、あの子の意思のまま、殺されるべきだったのではないかと。いや、そうではない。あれでよかったのだと。他の誰かではなく、僕自身が彼の魂を解放してやることが、父としての最後の義務だったのではないか。分からない。僕はあれからずっと迷い、苦しんでいる。もう答えを出してしまった、二度と戻らないあのときのことに」
 アマトの言葉は、御子としての彼自身からルキアンが受け継いだおぼろげな記憶をも呼び覚まし、それに具体的なかたちを与え、互いに共鳴し合ってルキアンの気持ちをなおさらに搔き乱す。
 
 ――パパ、いつか、灰の晴れる日が来たら、一緒に星を見ようね。それから青い空も。約束だよ。
 
 アマトの息子がまだ幼かったときの声が、その姿が、ルキアンの思いの中で、同じ年頃のアマト自身と交錯する。似たように星空に憧れていたアマトが、以前から欲しかった小さな天体望遠鏡を父から手渡され、いっぱいの笑顔を弾けさせている姿と。
 
 己の中に次々と浮かび上がる幻をルキアンは受け止め切れず、うめくように声を上げ、何度も首を振った。
 そんな彼の肩にアマトがそっと手を置いた。
「でも、《永遠の青い夜》のもとで起こったことは、もういいんだ。そこについては、僕は一定の区切りをつけなければ、生きていけなかった。あれは仕方がなかった。誰も悪くない。みんなの善意が、偶然の事故で最悪の結果を招いた。そういうことだと思ってる。だけど許せないのは」
「アマトさん……」
 彼の名を、ただ口にするしかなかったルキアンには、抑えられない怒りをアマトが向けている相手のことが、はっきりと分かっていた。アマトの声が遠くなっていく。
「許せない。僕たちがあんなに苦しんで、日の光の差さない薄闇の世界の中で、大切な人たちを次々と失い、それでも必死に生き延びようと、変わり果てた《地上界》を這いずり回った後、やっと戻ってきた青空と陽光を……ショウが待ち望んだものを……《天上界》の奴らは奪った。自分たちが見捨て、《天空植民市(スペース・コロニー)群》からよそよそしい目で見下ろしていた地上を、僕たちが血の滲むような思いと沢山の仲間たちの屍の山の先に取り戻した惑星《エルトランド》からの恵みを、《天空人》たちは一方的に取り上げた!」
 
「奴らは、ショウが死してもなお、あの子が夢見たものを、まだ奪い取るのか!!」
 
 何かの歯止めが砕け散ったかのように、一気に、アマトの怨念がルキアンの中に流れ込んできた。激しい負の力の奔流を受け止めきれず、心の目を閉ざされかけたルキアン。すると、幻の中で星空の向こうを見つめ、呆然と立ち尽くすアマトの姿がそこにあった。
「そうか……。はは。あはは。これは報いだ。地上人を踏みつけにし、自分たちの繁栄のために散々奪い取った天空人たち。奴らの思い上がりに対して、裁きの刃が振り下ろされたに違いない」
 アマトは、今までの彼とは異なる狂気に満ちた目をして、何かに喝采を送っている。
「そうだ。燃えろ、全部燃えてしまえ、天上界よ。コロニーなんて全て落ちてしまえばいい!!」
 
 いまのアマトは見ていた。《紅蓮の闇の翼 アルファ・アポリオン》が炎の翼を羽ばたかせ、彗星のような長い尾を引いて星の海を飛ぶ姿を。リュシオン・エインザールの呼び声に応え、召喚された《闇》のパラディーヴァ、黒き羽根の天使リューヌがアルファ・アポリオンと一体化し、その機体は、漆黒の宇宙にゆらめく青白い炎の十字架のように変わった。天上界の12の天空都市を防衛する連合宇宙艦隊が、アルファ・アポリオンの放った《ステリアン・グローバー》の莫大な閃光と灼熱に呑まれ、全長数キロにも及ぶ規模の戦闘艦が次々と消滅していく様子を、アマトは身じろぎもせず眺めていた。そして、星空に際限なく伸びた《炎の翼》によって――それは揺らめく炎のように見えるも、実際には人工的に造り出された時空の断絶面なのだが――空間ごと切り裂かれ、数百隻単位の艦が真っ二つとなり、あるいは次元の裂け目に呑み込まれてかき消えてゆく信じ難い光景を。
 
「だから、だから僕は……《紅蓮の闇の翼》を決して蘇らせてはならないと、僕がただの兵器みたいになってアルファ・アポリオンが意のままにすべてを破壊し尽くすことは、絶対に避けなければいけないと。これを見れば、分かる、じゃないか……」
 ルキアンは唇を震わせ、アマトに対してでもなく、誰に対するでもなく呆然とつぶやいた。
 
 もはや守り手を失った天空諸都市を睥睨し、アルファ・アポリオンが《司牧の大鎌》と畏怖されたそれを高々とかかげると、生命を持たない機械の軍勢が、漆黒の宇宙空間を埋め尽くす無人の戦闘ユニットや自律型の《アルマ・マキーナ》の大軍が、コロニーに向かって殺到していく。それを食い止めようとする防衛側の無人機も羽虫の群れのごとく湧き出でたが、怒れる天の騎士の大鎌が輝くと、それらの制御はすべてアルファ・アポリオンに奪われた。
 エインザール博士に従う3つの《柱のAI》、大規模支援衛星システム《マゴス》に搭載された《メルキア》、《ベルサザル》、《キャスペリーネ》は、数多の無人機を戦略レベルでも個々の機体レベルでも完璧に運用し、天空軍の動向をすべて手に取るように把握しつつ、残らず殲滅した。それはもはや《人の子》が立ち向かえる相手ではなかった。何の恐れも哀れみも感じない無人の兵器の大群が、人知の及ばない超AIに制御されて襲い掛かる状況は、魔王に操られた不死者(アンデッド)が押し寄せる有様を思わせる。否、それ以上に戦慄すべきものであった。
 そもそも勝敗は戦いが始まる前に決していた。《柱のAI》は、天空植民市のインフラやネットワークはもとより、同じく天上界側の政府機関・軍事組織の主要な管理AIを、開戦と同時にほぼ支配下に置いていたのである。その上で《天帝宮》と《世界樹》をネットワークから孤立させ、戦いが進む中、最終的には当該惑星圏の制宙権までも掌握するに至った。
 
 アマトは引きつった顔で、生気のない不自然な笑みをルキアンに向けた。
「僕にも、やっと見えたよ。天上界は、天空植民市群は滅びたんだね。そうだね? あの炎の翼に、裁きの大鎌に、天空人たちの街は焼き尽くされたんだ。ははは。よかった、ショウ、見ているか。僕たちの恨みは《紅蓮の闇の翼》が晴らしてくれたんだ。いいじゃないか。あはははは。それで、それで……よかったんだ……天上界なんて、滅びてしまえば……」
 しかし、復讐が果たされたことに歓喜し、最初は狂ったように笑いながらも、やがてアマトの声は徐々に小さくなり、途絶え、そして、静かにしゃくり上げるように彼は泣いていた。
 ルキアンは、どこで語り掛けようかと、その瞬間を探して迷っていたが、意を決したように粛々と告げた。
「あなたの次の御子、僕の先代の御子であるリュシオン・エインザールによって、彼の生み出したアルファ・アポリオンによって、天空植民市のいくつかは破壊され、無数の天空人の命が宇宙に失われました。僕は、エインザール博士が狂信的なテロリストだったのか、地上を天上界から解放した英雄だったのか、まだよく分かりません。ただ……ただ、おそらく、アマトさんも今は知っているように、人類は……」
「そうだね。僕は知っているよ。地上界が天上界に勝利した後、人類は何らかの理由で滅亡して、僕たちの世界は……君たちのいう《旧世界》は消え去った」
 気が付くと、アマトはいつの間にか再び、彼らしい穏やかな表情を取り戻していた。
「ねぇ、ルキアン君。旧世界の人類は、天と地の争いの果てに滅びた。それは、救いのない愚かな人間という者に対する、神のくだした罰だったのかな。僕らは争い合って、やられたらやり返し、取られたら奪い返し、殺されたら、その何倍も殺し返そうとした。愚かだった。でも、そうするしかなかった。ただ奪われ続け、ただ黙って命を踏みにじられるだけというのは、地獄よりも辛く、そして何より誤っている。そんなことを認めてよい道理などない。だから、たとえ一方的な正義でも、一瞬の勝利でも、力ずくでもそれを示さなければ……。だけど、結果だけみれば、そんな憎しみの応酬の果てには何もない。それは地獄にしか続かない一本道なんだよ」
 複雑な面持ちで彼の言葉を聞いていたルキアン。彼は、争いの連鎖は何も生まないというアマトの想いに半ば共感し、半ば疑問を覚えながらも、慎重に、静かに言葉を返す。
「あの、アマトさん……。僕も同じような問いかけを、ある人にぶつけたことがあります。言葉で分かり合おうとしない相手に対して、ただ蹂躙されるままに耐え続けるよりは、双方が傷つくことになっても戦う方がよいのか。そうではなくて、たとえ理不尽や暴虐に目をつぶってでも、長い目で見れば戦わない道が正しいのか。分かりませんでした。でも、迫る現実の中では、そこで答えを選び取らないわけにはいかないのです。人が己の存在をかけたそのような選択に対し、それがどのようなものであろうと、間違っているだなんて簡単に否定することは、僕にはできません」
 これから何か大切なことを伝えようと姿勢を正し、御子としての威厳をにわかに浮かべたルキアンに、アマトは少し驚いている。
「ですが、その選択を……たとえその道の先には破滅しかなくても、人が自由に選択すればおそらく誤った道を選ぶことになるのだとしても、それでも、選び取るのは僕たち人間自身じゃなきゃ、だめだと……思うんです。この世界に予め定められた目的、《人の子》のさらなる高みへの昇華に向けた筋書きに、僕らのような《愚かな人間》たちが何も知らずに背いたとしても、だからといって、人間自身の選んだ道の先にある様々な未来を摘み取り、地獄に続く道だけを残して、そこに人を追いやり、世界を《リセット》するようなことは絶対に許してはいけないんです。たとえそれが《神の意志》、つまりは《あれ》が本来備えている《絶対的機能》の一環なのだとしても」
 一気にそう言ってのけると、頬を紅潮させ、上気して眼鏡を少し曇らせて、ルキアンはアマトに頭を下げた。
「だから、僕にあなたの想いを預けてください、アマトさん」
「ルキアン君……」
 アマトは困惑しながらも、やがて彼の表情の中で、希望や信頼がそれを超えて広がっていった。
「君を信じる。必ず、《あれ》の《御使い》に勝って。僕の、ショウの、気持ちを晴らしてほしい」
 
「あの青空を、澄んだ星の海を、今度こそ必ず取り戻してほしい」
 
 そう願ったアマトの顔に優しい微笑が戻ったことを、ルキアンは無性に嬉しく思った。
 --そうですね。《優しい人が優しいままで笑っていられる世界》に近づきたいんです。アマトさん。
 そんな彼に頷きながら、アマトは後ろの方を手で示すのだった。
「ありがとう。君のおかげで、僕の気持ちは落ち着いたよ。だけど、まだ沢山の人たちが君を待っているようだ」
 しばしの沈黙の後、ルキアンは厳かに一礼し、アマトのもとを去った。
 
 ◆ ◇
 
 アマトの意識が離れていくのを感じた直後から、異なる人々の無数の思念が、また新たにルキアンに流れ込んでくる。それは、暗闇に投げ込まれたたったひとつの灯に、失われた沢山の魂が手を伸ばしてくるようなイメージとして、彼には感じられた。
 真っ暗ではないのに、何も見えない――むしろまばゆい光の中で、数多くの気配に埋め尽くされているのだが、そのひとつひとつは認識できないという不思議な状況の中、ひときわ強い想いが伝わってくる。先ほどのアマトのときと同様に。そのうちでも明らかに大きい、つまりは憎しみや悲しみの情がいっそう深い、負の感情の力の一段と強いところに、ルキアンは精神を集中する。
 前ぶれもなく肩や背中がずっしりと重くなり、負のエネルギーの大きさにルキアンは吐き気を催すほどだった。気が付けば、時計と人形、そして精密な工具であふれかえった部屋の中に、彼は呼ばれていた。その片隅で作業用のスツールに腰掛けていた職人が、薄紫色の大きな瞳を不自然に透き通った笑みで満たし、おもむろに振り返った。茶色い髪を頭の後ろで無造作に束ね、あくまでも穏やかな面持ちの青年の姿と、彼を前にして得体の知れない寒気を感じ、再び嘔吐感を覚えざるを得なかったルキアンの姿とが、強烈なコントラストを成している。
「この、息苦しい空気感は。この場を支配する底無しの……あきらめの……心は」
 職人の青年は、自ら造り上げたのであろう愛らしい少女の人形を手にして、寂しそうに瞼を閉じ、そして言った。
 
「本当に美しいものは、創り物の中にしかありません」
 
 そう告げた彼が口元に哀しい微笑を浮かべるが早いか、彼の愛した世界を――自らの手になる作品に囲まれ、その物言わぬ体に宿した命が息づくような無数の人形たちと、精巧無比の仕上がりで時を刻み、整然と協奏を続ける数多くの時計とともに、彼の姿を――荒れ狂う業火が一瞬で呑み込んだ。炎はさらに勢いを増し、手を伸ばしたルキアンまでも舐め尽くさんばかりであった。
 青年の心の本質的な部分に何ひとつ触れられなかったことに、落胆するルキアン。だが、先も見えないほど燃え盛る火焔の渦の中から、安堵の思いに包まれた心の声が響く。
 
 ――ありがとう。僕の嘆きを受け止めてくれて。悲しまないで。僕は最後の最後で、大当たりを引いたらしい。次の世で生まれる御子、新たなる地の御子、その名はアマリア。悪いね、あなたにすべてを託そう。もう、疲れた……。
 
 ◇ ◆
 
「あれ? 僕は、あの後、どうして」
 意識を失っていたことを、いま目がさめて、初めてルキアンは自覚した。行く手を阻む猛火がまだ燃え広がっているように錯覚して、彼は思わず起き上がり、その場から夢中で退いた。すると背中が何かに当たった。それは温かい、人間の体の感覚だ。
「目が覚めたか。ほぅ? そちは、いずれ来る世の御子のようじゃの。なんじゃ、《闇》ではないか。《水》ではないのか」
 おっとりとして穏やか、気品がある一方、どことなく、取りすまして高飛車な感じもする中年の女性の声だ。
「すべて言わずともよい。分かっておる。そなた、名は何と申す? 我は《海皇(かいおう)》ソラ。この地において大海の民を統べる者。水の御子じゃ。海の王にして水の御子たる我が、ソラ(空)などという名、奇妙じゃろ?」
 人跡も稀な氷の海を連想させる、透き通るような水色の髪を、頭上で左右に巻き、天女の衣を思わせる衣装をまとった彼女の姿は優美にして、しかし他者を寄せ付けない透徹した威厳があった。
「僕は、ルキアン・ディ・シーマー、闇の……あ、あ、あの! すいません!!」
 気が付くと、高貴な竜宮の女王の膝を枕に借りている形になり、その柔らかな感触にルキアンは慌てて起き上がろうとした。
「よい、よい。気にするでない、兄弟よ。そなたは御子、魂で結ばれた御子の絆は深く、それに比べれば、我に流れる人の世の王の血など、薄い水のようなものじゃ。もっと近こう寄れ。その顔をよく見せよ」
 最初の印象とは異なり、ソラには包み込むような温かさもあった。
 ――この人は、王として、御子として、求められる役割を忠実に果たすことに慣れ過ぎて……幼い頃からそういうふうに教えられながら育ったのだろうか……自分自身として、ひとりの人間として生きることを忘れて。
 結局、ソラの言葉に甘え、彼女の膝枕で安らぎを覚えつつあったルキアンは、選ばれし者としてのソラの孤独を、得意の妄想癖であれこれと勝手に思い浮かべ、悲しい想いに満たされた。そんな彼の耳に、何気ない調子でソラが口にした言葉が、寂しげに響いた。
「弱さを……みせられなかった。いや、他者に対してではない。我自身が未熟であったがゆえ、己の弱さを認めたくなかったのじゃよ」
 独り言のようなソラの言葉に、どう答えてよいものかと固まっていたルキアン。彼女は飄々とした様子で言った。
「強くなど、なりとうなかったわ」
 しばらく二人の間で沈黙があった。
 続いて海皇ソラは改まった調子で告げる。その口ぶりが、なんともぎこちなく、ぶっきらぼうな感じがしたものの、ルキアンはそれを悪くは思わなかった。むしろ快く受け止めた。
「のう、闇の御子よ。おりいって、その……水の御子のことを頼む。あれには、弱さを打ち明け、支え合える仲間が必要じゃ。我らの世界には、残念なことに闇の御子はおらなんだがの」
「はい。イアラさんのことは、僕たちで、何とか頑張ってみます。それで……」
「分かっておる。我の嘆きを汝に託そうぞ」
 ソラはルキアンの手を取った。最初に会った時よりも、血の通ったぬくもりを感じられたような、ルキアンにはそんな気がした。彼は黙礼し、海皇のもとを去った。
「良いひとときであった。若き御子よ」
 彼の去り際、霞の向こうに消えゆく姿とともに、ソラの声が遅れて届いた。
 
 ◆ ◇
 
 なおも様々な時代の、様々な世界の、人々の想いがルキアンめがけて渦を巻く。
 東の果て、古の時代の気高き伝説の戦士《サムライ》、その姿はナパーニア人のことを、たとえばギルドのサモン・シドーのことを思い起こさせるような――そんな一人の若武者が、焼け落ちる城を前にして、彼らが人前で見せることを避けたという、それでも今はとめどなく流れる涙を、敢えてそのままにしていた。
「何故(なにゆえ)か。こんなことであれば、最初から大切な者たちのために、拙者は……」
 大小二振りの刀を腰に帯び、ルキアンには見慣れぬ異国の鎧、しかし細部まで見事な縅(おどし)によって堅牢かつ美しく仕上げられた甲冑をまとい、侍は何かに詫びるように、両手を地面につき、深くうなだれてしめやかに落涙するのだった。
 その姿は哀しくも、ある種の極限的な美しさをたたえており、ルキアンは、不謹慎だと言われようとも、もっと彼の姿を見ていたいという心持ちになった。だが、そんなとき、目の前に揺れる幻の風景が変わった。
 
「わたし、どうしようもなく、愚かだった……」
 
 青い髪の少女、まだうら若い娘が、その身を鋼の鎧に包み、手に余るような長剣を振りかざして軍勢の先頭に立ち、突撃してゆく。
 
「私のしたことって、一体、何だったの? 何だったの!?」
 
 彼女は絶望に引きずられた目で、狂戦士のように剣をふるい、敵の返り血にまみれ、それでも獣のように雄たけびを上げつつ、さらに多くの敵軍の中に分け入っていった。その壮絶な姿は、神々しくも異様であった。敵はもちろんのこと、味方の兵すらも彼女の殺気に押され、本能的に退き、戦う姿を遠巻きに見ているしかなかった。
 ルキアンは彼女に声をかけようとしたが、彼女の狂気の度合い、他者を拒否する心の壁があまりに大きすぎて、今のルキアンでは青い髪の騎士の乙女に言葉が響かなかった。
 先ほどからの短い経験の中でも、嘆きが深すぎて想いの声の届かない相手がいることを、ルキアンは理解しつつあった。彼女の場合もそうなのだろう。自身にそう言い聞かせ、彼女の思念からひとまず離れたルキアン。だがその後も、数え切れないほどの嘆きが、負の情念に満ちた強い想いが、ルキアンに集まってくることをやめない。
 
 未来の星の海で、昆虫のような姿をした異形の宇宙怪獣と戦う人類の艦隊、敵のあまりの規模と強さに絶望する彼ら。残った旗艦が、最後の意地のために無謀な特攻を仕掛けてゆく。
 
 そして今度は、過酷な戦いに支配されたこれまでの世界とは別に、一見、平和を満喫しているような近未来風の壮大な都市が現れた。ただ、満ち足りた環境の中で、ひとたび道から外れた人々の心の闇が深まっていく様子は、《旧世界》の天上界の社会情勢をルキアンに想起させた。あの《パラミシオン》の旧世界の塔における一連の経験と同様に。
 電子機器の端末を目の前にして、薄暗く狭い部屋にひとり、とてもではないが健康的とは言いづらいジャンクフードの包装の山や高カロリーの飲料の空きボトルに埋もれつつ、無心にキーボードを叩く男の姿が、いくつか、ルキアンの目に焼き付いた。彼らの中には、いまの自分の置かれた世界に憎しみを募らせ、すべてを犠牲にしてでも爪痕を残したいという恐るべき心情が感じられ、何が彼らをそこまで追い詰めたのか、ルキアンはここでも闇の深さに言葉を失うのだった。
 
 彼は目を閉じ、静かに息を吸い込んだ。
 それが何かの決意の表れだったのか、ルキアンの心はそこで元の世界に戻ってきた。エレオノーアに支えられ、隣に立つルキアンの身体がゆっくりと息を吐き、再び動き出す。
「おにいさん、やりましたね! お帰りなさい、なのです」
 エレオノーアが声を弾ませ、ルキアンに微笑んだ。彼女たち、こちらにいた者にとっては一瞬の間だったが、その間にルキアン自身の魂はどれだけ多くの世界を渡り、時を超え、いったいどれほどの嘆きの声を聞き届けたのかを、エレオノーアは理解していた。
 重々しい動作で、辺りを支配する静謐の中で、ルキアンは脚に力を込め、しっかりと大地を踏みしめ、両手を掲げた。
「もういいよ。もう、繰り返してはいけない。あんな想いを永遠に繰り返させることは、やめさせなければ。この世界を《リセット》させることなど、決して認めない」
 かけがえのない我が子をその手にかけなければならなかったアマトの、絶望の叫びが。心を凍らせ、ほほえみを捨て、王として、御子としての使命に殉じた海皇ソラの、表情を失った瞳が。あまりにも深い断絶をこの世界との間に感じていた孤独な天才職人の、底知れない諦念を浮かべた笑顔が。御子たちの想い、そしてルキアンに気持ちを託した数え切れない人々の嘆きが。あらゆる時間と空間を超えて、このか細い背中の、銀髪の年若い御子のところに集まり、ひとつになり、巨大な霊気の柱となって天を突き、さらに大きく広がり、強い輝きを放つ。
 無数の嘆きの向こう側、彼らが本当に望んだ優しい世界の姿を理解しつつも、その上でルキアンは、夥しく集まる嘆きの念を敢えてそのままに受け取り、怨念に満ちた力の言葉を、短く口にした。
 
  暗黒よ、呪いよ、滅ぼせ。
  現世(うつしよ)にいでよ、憎しみに満ちよ。
 
  嘆きよ、我に集え。
 
 闇の御子に集い、この世界に熱量をもって具現化された《嘆き》の力が、御使いの竜をまさに葬り去ろうとしたそのとき。
 
「止めよ、ルキアン・ディ・シーマー!」
 突然、緊迫したアマリアの声が響く。ほぼ同時に、視界が不自然に揺らぎ、身体はもとより意識すらも無理やりに震わされたような、強大な霊的振動波がルキアンたち全員に伝わった。
「何だこれは、頭が……。立っていられない」
 グレイルが苦痛に顔をしかめ、よろめくように片膝を突いた。
 エレオノーアは慌ててルキアンを抱きかかえる。
「おにいさん!」
 何が起こったのか、よく分からないまま、再び皆が正常な状態を取り戻した時には、すべてが終わっていた。
 
「引いたか……」
 アマリアが杖を宙空に向け、何かを放とうとしていたようだったが、彼女は杖を下ろした。
「今の強烈な時空振動。御使いの本体が、あの似姿を取り戻すために転移魔法を用いた際の影響だろう。御子の結界を超えて影響を及ぼすとは、さすがに《時の司》というところか。しかし、これでよい」
「アマリアさん!?」
 不安げに近寄ってきたルキアンとエレオノーアに、アマリアは一瞬言葉を呑み込み、わずかな黙視の後、表情を和らげた。この戦いを通じて、ルキアンが初めて見たアマリアの笑顔だった。 
「よくやったな。二人の闇の御子よ」
「え、あの。竜はどこに……。はい?」
 よく事情が分からず、顔を見合わせている銀髪の少年少女に、地の御子アマリアに代わってフォリオムが告げる。先程までは、老いてなお手強い大魔道士のような、近寄り難いオーラをまとっていた地のパラディーヴァも、今では好々爺のようにうなずいている。
「闇の御子よ、おそらく、お前さんの最後の魔法に集められた力が予想外に強すぎて、仮に正面からくらえば《化身》ひとつを完全に喪失すると、御使いどもが考えたからかもしれん。普通なら、たとえ倒されても、あの類の手駒は何度でも蘇るから、御使いにとっては捨て置けばよいものにすぎない。ところが、今の魔法を受ければ、あの化身は存在の根源すら喪失するところだったのじゃろう」
 フォリオムの言っていることが十分には理解できなかったルキアンも、ともかく四頭竜の化身が、その本体である《時の司》によって無理に引き戻されたことは理解できた。彼らの周囲で不思議そうな顔をしている他の御子たちにも分かるよう、次いでアマリアが説明する。
「御使いというのは、《人の子》に対して自ら手を下すことは基本的にできない。それが奴らの《法》の定めらしい。奴らは自分たちの《法》に絶対的に忠実だ。だから、もし、我々と戦っていたあの竜の似姿を完全に失った場合、奴らにとってそれは人間世界で動くための手足を永久にひとつ奪われたことを意味し、大変に面倒なことになる。だから、あの《時の司》が、敢えて逃げを選択したのだろうな」
 いつもの厳格で感情表現の薄い口調に戻ってそう告げると、アマリアは、ルキアンの方を見つめる。
「君に集った嘆きの力は、それほどまでに大きかった。闇属性魔法の秘奥義、《嘆きよ我に集え》、見せてもらったぞ。四頭竜の化身は取り逃したが、これで因果の糸はつなぎ直され、固定された。つまり、エレオノーアを取り戻したということだ」
 彼女の言葉を待っていたかのように、エレオノーアが有頂天になり、ルキアンめがけて飛び込んだ。
「おにいさん! もう、絶対に離さないでくださいね!!」
 勢いのあまりルキアンを押し倒し、彼ごと地面に横たわるエレオノーア。彼女はなおもルキアンに頬ずりしようとしている。まわりの目を気にして、そんな彼女を両手で押し返そうと慌てているルキアン。
 
 二人の姿を微笑ましそうに見つめる者、大笑いする者、呆れて溜息を付く者――この場にいるそれぞれの御子とパラディーヴァたちが、自分たちの勝利をようやく実感した瞬間だった。
 
【第57話 完】
コメント ( 0 ) | Trackback ( )

ブログ「鏡海亭」開設から6000日記念!

実は本日で、ブログ「鏡海亭」開設からちょうど6000日!なのだそうです。
私自身も今の今まで気づかなかったのですが(笑)。
前身のサイト「鏡海庵」を設けたのが1995年頃で、同サイトで連載小説『アルフェリオン』を掲載し始めたのが1998年です。その後、2007年にgoo blogにて「鏡海亭」を開き、ここに小説連載の場を移して今日に至ります。

これを記念し、小説『アルフェリオン』から、主役機アルフェリオンのフィニウス・モードの新画像を、上掲の通り公開です! 画像左側の機体がアルフェリオン・フィニウスです。ちなみにブログの編集画面で下記の表示を見て、6000日経過に気が付きました。

昨日は、ゼフィロス・モードの画像の新ヴァージョンを、自称ヒロイン(笑)のシェフィーアさんおよび主人公ルキアンと共に公開しました。本日は、真・メインヒロインのエレオノーアと主人公のルキアンと合わせて、アルフェリオン・フィニウス・モードの冒頭の新規画像をアップなのでした。

ちなみに元画像となったのは、フィニウス・モードの以下の画像です。生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)と導着しました。

さらに、こういうヴァージョンもあります。こちらも捨て難いですね。


ダリさんの生成した別の画像、こちらも格好良いです。

ただ、この画像だと、アルフェリオンの姿がいっそう人間に近くなっていますね。
氷竜と荒鷲を模した天の騎士というのがアルフェリオン・フィニウス・モードのイメージなので、やはり最初の画像が設定に最もマッチするかと思います。

さらに「鏡海亭」開設6000日記念として、昨日のゼフィロス・モードの画像と本日のフィニウス・モードの画像を合わせ、次のような新しい縦型PR画像を公開です!

おっと、この画像では、下半分のゼフィロス・モードのところでも、シェフィーアさんの代わりにエレオノーアが出ていますね。上下ともヒロインで統一しました、ですね……。

いや、それはそれで全国のシェフィーアさんファン(!?)の方に申し訳ないので、彼女とゼフィロスの組み合わせで、異なる版の縦型PR画像も下記の通り作りました(笑)。

読者様方からの日々のご声援のおかげをもちまして、本ブログ「鏡海亭」および連載小説『アルフェリオン』、6000日間続けてくることができました。いや、そのうち10年程度は休載していた時期があるのですが……。今春から連載再開した『アルフェリオン』、これからも皆様とともに歩んで参ります。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

ではまた!

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

風の力を宿した騎士、ゼフィロス・モード 新画像です!

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、ChatGPT + DALL-E3 による広報画像の生成が止まりません!
本日は……。

これは? もしや、主役機アルフェリオンのゼフィロス・モードでしょうか。
しかも、シェフィーアさんがいるじゃないですか。ヒロインのエレオノーアを差し置いて!(笑)
ゼフィロス・モードが超覚醒した回、第35話「パンタシア」では、シェフィーアさんがヒロインみたいなものでしたからね。「拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ!」という彼女の名セリフ。作者の鏡海が、これまでに公開した全話の中で一番好きな回です。
それにしても上記の画像、ダーク・ファンタジー的な雰囲気が何ともたまりません。

先程の画像に組み込まれていた、新たにDALL-E3(以下、ダリさん)と導着したゼフィロスの画像です。


背景の英語が、いつもながら、ところどころ謎な言語になっていますが、これはダリさんの仕様でしょうか。この細密図鑑のような絵柄が素敵ですね。ファンタジー・ロボット物という雰囲気満喫です。

次の画像。こちらの方が、イメージとしては、小説本編に出てきたゼフィロスに近いでしょうか。
ダリさん、恐るべしです。

超高速戦闘を得意とする「風の力を宿した騎士」ゼフィロス・モードらしい姿です。例の「縛竜の鎖」も再現されていたりします。


今回生成された画像にみられるもののうち、設定との整合性が最も認められるゼフィロスのデザインは、多分、これでしょうね(羽根の形状等)。

これも、なかなか俊敏そうです!

 

ゼフィロスの特徴をあらわしたプロンプトを大量に伝えても、時々、色々な意味で謎な画像が生成されてきます。ダリさん、一体、どんな心境でこんな絵が構想できるのでしょうか(笑)。ダリだけあって、天才?

サイボーグ? なんとなく変態マスクっぽい雰囲気と、それに右上の場違いな感じの鳥、それから無駄に緻密で解説調の左上の武具の画像、これらの組み合わせの妙が、意味不明ですが何とも言えない不思議な味わいを醸し出しています。いやはや、AIの頭の中が見てみたい……。

何を血迷ったか、こんな画像もダリさんによって生成され、ゼフィロスが女性化してしまいました。

求めたものとは全然違いますが、見事といえばとても見事ですね。使えない画像なのに、無駄に、不必要に上手で精密!(笑) もしこれが人間の手による作品だったら、いわゆる「才能の無駄遣い」といわれそうなところ?

ゼフィロス・モードの絵の新ヴァージョンがこうして存在するということは、フィニウス・モード(アルフェリオンの基本形)の新ヴァージョン画像もあるの?という話になりますが……はい、あります。とてもカッコいいです。それについては、また回を改めまして。

本日も鏡海亭にお越しいただきありがとうございました。
AIと遊んでいる暇があったら小説本編を早く更新しろというお叱りも受けるかもしれませんが、いましばらくお付き合いいただけましたら幸いです。

ではまた!

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

DALL-E3さんはロボットを描いても凄かった!

ぬおおぉぉ、これは!! 画像生成AI、DALL-E3(以下、ダリさん)は、ロボットを描いてもやっぱりすごかった。旧世界の時代、天空植民市群に破滅をもたらした怒れる裁きの天使。
ここまで描かれると、人類、ぐうの音も出ない……。

本ブログの連載小説『アルフェリオン』は、ファンタジー・ロボット小説と銘打ちながらも、ここ最近、主人公ルキアンたちの生身での魔法バトルの場面が多く、ロボットはほとんど出てきていません。
しかし、本日は久々に「紅蓮の闇の翼」アルファ・アポリオンのイメージ画像を公開です!

そういえば、DALL-E3やChatGPTを世に出しているOpen AI社が、いま、お家騒動のようなことになっていますが、無事に落ち着くところに落ち着いてくれますよう、切に願います。今の流れの先に、マイクロソフトの独り勝ちのようなことになりそうな気もしないでもないですが(苦笑)、一人のユーザーとしては、何よりも、素晴らしいAIにかかわる現場の技術者・研究者の方々が自由に創意工夫を尽くせるような環境が確保されることを、第一に望みます。

ということで、ダリさんが生成してくれたアルファ・アポリオンのデザイン、他のヴァージョンにも参りましょう。

これも目を見張るほどカッコいい。ただ、アルファ・アポリオンの造られた本来の目的等からすると、もう少し邪悪な雰囲気があってもよいかなと思います。普通に正義のヒーローの主人公が乗る機体ですよね(笑)。でも素敵だ。

次は、冒頭にも出てきた、もう少しロボットっぽい方向性を強めたデザイン。

あ、あかん。かっこよすぎて失神する!(笑)
何なんだ。この凄まじい描き込みは。細部まで徹底的に描き込むようプロンプトで指示したら……。

逆(?)に、もっとファンタジーっぽい方向に大きく振ってみると。

これはこれで素敵。でも、巨大ロボット感がいまひとつですね。等身大の人間が変身したような規模感。
いや、ファンタジーというより、最近の仮面ライダーの最終形態(?)で、こんなの出てきそう。

ちなみにファンタジー色強化版その2
死の天使、という点を全面的に押し出したら、こんな姿に……。

イメージとしては、たしかにその通りなのですが。色が……。
ラスボスとして、敵側でこんな機体が出てきてもよいかもしれませんね。

なお、本作における「ロボット」というのは便宜上の表現であって、一応、ファンタジー物の作品ですから、正確には鎧をまとった巨大生体兵器なのですが……中身は機械ではなくて生き物です。

本日も「鏡海亭」にお越しいただきありがとうございました!
連載小説『アルフェリオン』、本日公開したような巨大ロボットでの戦いの場面も、また本編の中でどんどん復活していきたいと思います。御期待ください。

ではまた!

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

時空を超えて、嘆きの声を集わせよ、闇の御子!

連載小説『アルフェリオン』――本ブログの新たな仲間(!?)、画像生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)の活躍で、次回第57話(その5)の更新に向けて盛り上がっております。

な、なんだこれは!?(笑) 色んな意味で凄い画像です。いや、ひとつひとつの画像について説明することはいたしませんが、前回の第57話(その4)にて、主人公ルキアンが使った闇属性魔法の究極奥義「嘆きよ、我に集え」(通称「陰気玉」?)によって呼び起こされた、あらゆる時空を超えて、かつて「あれ」によって「リセット」された様々な世界の人々の嘆きの姿です。

右下の和風のサムライが、なんとも悲壮ですが劇的で素晴らしいです。ダリさん、よく分かってますね。この二枚の絵を一発OKで生成して見せたダリさんには、震えを覚えました(あぁ、人類!!)。

宇宙戦争的な(?)右上の画像、異様な襲来者は、宇宙人等々ではなくて、もしかして「あれ」の御使いでしょうか。過去に存在した無数の世界の中には、「あれ」が人類同士の争いに偽装して世界をリセット(滅亡)させるのではなく、もっと直接的に、母なる惑星に宇宙怪獣的なものあるいは裁きの天使的な存在を送って、力ずくで滅ぼしに来たような場合もあったのでしょうか(おっと、ネタバレが……)。

左上の女性騎士、意味深な感じで、もしかして重要キャラでしょうか。そういえば、偶然とはいえ、哀しい末路を辿った女性キャラって、なぜか青髪の子になってしまうのですよね。逆に、青髪のヒロインって……想像ですが、あまりいないのでは? 重要な役割は果たすけれど残念なナンバーツー的キャラが多いような。ちなみに本作ヒロインのエレオノーアは銀髪です。

ルキアンの近くに、現代の……何というか、異世界転生しそうな方もいますね。生々しいですが、彼らの想いもルキアンに代弁してほしいです。ルキアンにはその資格がある。

濃い濃い画像でしたが、ダリさんの実力は底が知れません。
この勢いで、小説本編の方も盛り上げたいものです。お楽しみに。

本日も鏡海亭をご訪問いただき、ありがとうございます!
ではまた。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

本当に美しいものは……。人の世に絶望した地の御子の想い

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、第57話の最終局面である次回の更新に向け、執筆を進めております。


これは? 主人公ルキアンが闇属性魔法の秘奥義である「嘆きよ、我に集え」で結集したかつての世界の人々の声、その中でもいずれかの世代の「御子」に当たる人のイメージです。生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)に生成してもらった複数の元画像を加工し、統合したものです。同じくAIのHolaraさんだけでなく、ダリさんとも少しは意図が通じ合う(?)ようになってきたかもしれません。

実は、この画像の人は、アマリアの先代に当たる《地》の御子です。アマリアさんは「呪い」のために数百年以上にもわたって御子を続けていますので、その先代となると、かなり以前の時代になりますね。「本当に美しいものは、創り物の中にしかありません」という言葉にも表れているように、彼は人の世に絶望しつつ、天才的な人形職人および時計職人として、ただただ作品の制作に勤しんでいます。そして、先ほどの画像の雰囲気から何となくにじみでているように、心が闇に堕ちて、邪悪な儀式魔術、かつての世界の人の魂を呼び出して人形に封じ込める暗黒の降霊術に手を染めていくのでした。

それにしても、この画像、思わず溜息が出ますね。
その美麗さ、緻密さはもとより、それ以上に、依頼者の意図をここまで汲んで表現化していることに。
内面深くにまで至る、キャラの微妙な心情までも、こちらのプロンプトを適切に反映しています。
あぁ、人類!!(苦笑)

例の降霊術云々という指示を受けて、ダリさんが生成した画像のひとつ。これは……闇、深いですね。

闇が深すぎて、あるいはダリさんの情熱が迸り過ぎて(笑)、こんな激しい画像も生成されました。

AIって、人間の気持ちという、彼らから見てわけのわからないものを、あくまで形式論理的にではあれ、全力で受け止めて表現しようとして、空回りするくらいの熱すぎる生成物をしばしば返してくるものです。

ちなみにこの画像は、ダリさんの創作意欲が先走り過ぎて(?笑)、和風な作風になってしまった画像です。

こっちも、「闇、深いですね」(by エレオノーア)。

色々とあって、彼は最終的に、次の世に生まれてくる《地》の御子、すなわちアマリアがこれまでの御子たちの中でも卓越した能力をもつ者であることを予知し、彼女にすべてを託して笑って死んでいくのです。《闇》の御子の場合に、アマトが将来の世界にいずれ現れるルキアンに想いを預けたことと同様、胸が締め付けられます……。

この画像に描かれている、かつての世代の地の御子と水の御子をはじめ、《あれ》に度々「リセット」されてきた無数の世界の人々の想いを、時空を超えてその怒りを結集し、最後の一撃として宿敵の四頭竜にぶつけるルキアン。

暗いが、熱い(!)展開です。

第57話(その5)の更新が待たれます。
親愛なる読者様方、いましばらくお待ちください。

ではまた。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

第57話の完結と戦いの決着とを目前にして、先行PR画像を作ってみました!

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、第57話(その5)の更新に向けて、決戦の迫力が伝わるよう気合を入れたPR画像を先行公開です。

おおぉ、例の四頭竜の画像、新しいヴァージョンですね! ラスボス感満載です。この世界のはじまりの時から生き続けている、神の使い。あまりにも強大な、「竜の形を取った絶望」を相手に戦っているという雰囲気が多少なりとも出せているでしょうか。

「はじまりの四頭竜」の姿を、画像生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)に生成してもらい、それを鏡海が一部加筆修正、さらに同じくAIのHolaraさんに導着してもらったルキアンとエレオノーアの(おなじみの)画像を加え、字幕を付記して統合したものです。あ、ダリさんには星輪陣の機械部分の画像も生成してもらっています。

ダブル生成AIと鏡海が協力し、鏡海亭の総力を結集して(?)作り上げたものです。

総力ついでに、最近ご無沙汰の飛空艦クレドールの仲間たちの中から、クレヴィス副長と居候ランディ(マッシア伯爵)の画像をダリさんに生成してもらいました。Holaraさんとはまた違った解釈で描かれたクレヴィスと、実はこれまで描かれたことがなかったランディの姿を、お楽しみください!

まず、クレヴィスから。

おぉ、何だかありがちな、既視感半端ないキャラという外見ですが(苦笑)、クレヴィスがまさかの美形化しましたね。人物はともかく、服装がかなり設定通りに描かれていて、さすがはダリさんというところです。例の懐中時計と、時計の金鎖もきちんとおさえているあたり……ダリさん、やりましたね!(エレオノーア風の口調で)。

続いてランディです。

おや? こちらも素敵なのですが。また、服装は設定的にばっちりなのですが……。上流貴族の放蕩息子で、遊び人だが作家としては著名という彼の個性を、ダリさんがどこまで表現できているでしょうか。

う~ん、ランディって、私の印象では、もう少し自堕落で、にやけた感じ(笑)のキャラなのですが。いつも懐にピューターを入れて酒を忍ばせているアル中ですし。でも、決める時は決めるんですよね。出番は必ずしも多くはないですし、戦闘要員ではないので目立ちもしないキャラなのですが、主人公ルキアンの成長にとって、クレヴィスやシャリオさんたちにも見劣りしないほど、結構、大事な役割を果たしてきました。名セリフも色々あります。

で、クレヴィスとランディは、キャラクターとしては全然違うのに、なぜか気が合って親友なんですね。

 ◇

本日も、ブログ「鏡海亭」を訪問いただきありがとうございました!
週末のお休みのところ、感謝です。
『アルフェリオン』第57話更新に向け、執筆の方を少しずつでも進めて参ります。御期待ください。

ではまた。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

たとえ悲しみや憎しみでも、みんなの想いの力を……結集する主人公ルキアン

連載小説『アルフェリオン』、第57話(その5)の更新に向けて準備中です。
はじまりの四頭竜に最後の一撃を加えるため、主人公ルキアンが準備していた暗黒魔法・究極奥義「嘆きよ、我に集え」とは!?

こ、この人は? 画像を見て色々想像するだけで、辛くなって涙が出てきそうです。
イアラが御子として戦うことを決意した際、彼女の記憶に浮かんだ、いずれかの時代における水の御子ですね。(浦島太郎の?)乙姫のような姿で、生きている気配のない呪術師風の従者たちをしたがえているのでしたよね。まだ若いときのことのようですが。次回に登場するのでしょうか。

このスライドに用いた2枚の原画については、生成AIの愛称ダリさん(DALL-E3)が頑張ってくれました。異なる二つの表情、人間の心を理解しているのかと思えるほど見事です(いや、逆に、心の無いAIが、人の心の機微をここまで表現できることの方がむしろ怖いですね。心とは一体何なのだろうかと考え込んでしまいます)。しかもこれ、望むべき画像を、帰りの電車の中でスマホ片手に数分で生成できてしまうのです……あぁ、人類!

話を元に戻して、某代の水の御子、笑顔を捨て、人としての感情までも捨てたようにみえる表情と対比すると、屈託なく笑う幼い頃の彼女の姿を見るのが辛いです。

前回(第57話・その4)の描写を見る限り、闇系魔法の奥義「嘆きよ、我に集え」は、どうやら、過去の時代・別の世界のものまで含め、人々の哀しみや憎しみのような負の精神のエネルギーを時空を超えて集めているようです。なんというか、ドラゴンボールの悟空の「元気玉」ならぬ、いわば「陰気玉」的な(酷い言い方だ)技でしょうか。ルキアンが「みんなの恨みを僕に分けてくれ!」(苦笑)とか? ……それは、ちょっと嫌ですが、ともかく闇系魔法なのでネガティブな点は仕方がないですね。

同じく前回、ルキアンの奥義にまず応えたのが、「永遠の青い夜」の時代に生きたアマトでした。アマトも、旧世界の天空人に対して憎悪を抱きながら、自身の境遇を呪い、御子として目覚めることもなく、絶望の中で世を去っていったのです。ここでも先ほどの水の御子同様、澄んだ瞳で天体観測をしていた子供の頃の姿とのギャップが切ないです。

おそらく件の水の御子も、とてつもなく悲惨な宿命と向き合い、笑顔を捨てたのでしょう。今後、明かされていくことになると思うのですが……心苦しいです。

ひとつ救われるのは、そんな悲しい気持ちを背負った過去の人々の想いを結集することに対し、ルキアンが積極的・肯定的な評価をしていたことです。「そんなことって、できるの……かな? でも、この戦い、そうできたらいいな。僕たちの想いだけじゃなくて」と(第57話・その3)。ルキアンやエレオノーア、それから仲間の御子たちの分だけでなく、これまでの御子たち、いや、御子以外の人々も含め、「あれ」に翻弄され、自分たちの世界を「リセット」されて滅ぼされてきた人間たちすべての怒りを、ここでは代弁して御使いの竜にぶつけるべきだとルキアンは考えているのですね。「《みんな》の……想いの力」(第57話・その4)として。

そう思いつつ前回の話を読み返すと、作者自身ながらも、涙が漏れてきます。
「みんなの哀しみを、苦しみを、怒りを……遂げられなかった想いを、僕は受け取ったよ」、「僕は忘れないよ、みんなのこと。たとえ人間が、世界が、歴史が、君たちのことを忘却しても、僕は忘れない」というルキアンの台詞。そういうことだったんですね。ここにきて、彼も主人公らしさを発揮しています。

その流れで「五柱星輪陣、最終全陣展開。《闇》の……《闇》」って、自画自賛ながら、ルキアン格好良すぎです!(笑)。エレオノーアが登場してから、ルキアンは本当に変わりました。今まで、よく耐えたよね。

という感じで、第57話の次の更新が待たれます。
最近の日常が少し忙しくて、思うようには進まないのですが、鋭意執筆して参ります。小説の方は、どうしても、まとまった時間にじっくりと腰を落ち着けてでないと良い作品が書けないものですが、少なくとも、たとえ細切れの時間でも『アルフェリオン』関連の画像をAIさんと一緒に導着して、こうして公開することはできます。ブログに文章を載せるよりも絵を載せる方が必要時間がはるかに少なくてすむというのも、かつての世界ではあり得なかったであろう、妙な話ですが。生成AI恐るべしです。

いつも「鏡海亭」にお越しいただき、応援をいただきまして感謝です!
今後ともよろしくお願いいたします。

ではまた! 良い週末をお過ごしください。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

鬱回想から超覚醒――この物語の「定番」が確立した第3話?

連載小説『アルフェリオン』、いよいよ「ハルスの邂逅」編の完結も近づき、次回の更新が待たれます。
ただし今回は、物語最初のコルダーユ編の最終話「覚醒、そのとき」(第3話)から、生成AI・DALL-E3の力を借りて、こんな印象的なシーンを画像化してみました。

第3話冒頭の切なくも美しい場面です。
それにしても、こんな繊細な一幕を感情豊かな描写で画像化できるとは……AI恐るべし、あぁ、人類!(苦笑)
主人公ルキアンの服装が設定的・考証的にはちょっと変ですが、雰囲気は十分に出ています。

女神セラス像のもとで絶望するルキアン。この回想が、初めての戦闘中に彼の脳裏に浮かびます。多数の敵を単機で相手にして、危機に陥るメイ。それなのにルキアンには何もできません。
そんな彼に、謎の声が語り掛けてきます。
物語の序盤ではまだ正体不明だったのですが、そう、声の主はもちろんリューヌです(あ、ネタバレが……)。

以下、二人の会話から。

 ――《あそこ》には、僕の探している《未来》はなかった。
 ――《ここ》ならきっと見付かるはずよ。あなたの《未来》を指し示してくれるものが。
 ――でも、僕にはどうすることもできないよ。
 ――そんなことはない。あなたが望めばいいの。ただ望めば……。
 ――望む?
 ――そう。大切な人たちを助けたいと心から祈りなさい。未来を取り戻したいと強く願いなさい。そして、自分にはそれができるのだと、まずあなた自身が信じるのです。

《あそこ》というのは、カルバ先生の研究所のことですね。間接的には、それ以前にルキアンのいたシーマー家のことも含んでいるかと思います。

ちなみに、ずっと後の「ワールトーア編」になってから、そのシーマー家に彼を託したのはマスター・ネリウスだったことが判明します。そのまた後に、幼年時代のルキアンがネリウスのもとで幸せに過ごしていた記憶がひととき蘇って……他方、ルキアンがその頃の記憶を封印され、ネリウスのことや姉らしき少女のことも完全に忘却し、たったひとり、シーマー家に預けられたことも明らかに。この一連の展開。切ないですよね。そして、そんな展開を承ける流れで、《聖体降喚(ロード)》の恐るべき真実が暴露され、ルキアンの出生(生成?)の秘密が知らされることに……。もう、脳髄振り回されそうな(苦笑)。

おっと、話が広がり過ぎました。先ほどの会話の「《ここ》ならきっと見付かるはずよ。あなたの《未来》を指し示してくれるものが」の《ここ》とは、飛空艦クレドールのことです。長らく本当の居場所を感じられなかったルキアンが、初めての居場所、クレドールとその仲間たちと出会います。彼らとメイを守るために、ルキアンがアルフェリオンの《ステリア》の力を初めて覚醒させ、ステリアン・グローバーで敵を壊滅させたのでした。

ちなみに、やむを得なかったとはいえステリアン・グローバーのあまりの破壊力に衝撃を受け、またそれによって多数の敵の命を瞬時に奪ってしまったことを後悔したルキアンは、御存じの通り、それからずっと第47話まで(!)この必殺技を使わないのです。次に使ったのは、《盾なるソルミナ》の作り出した夢幻の世界の中でした。ソルミナの化身に対して「容赦はしない」と怒ったルキアンが、闇の御子が本気で戦うときの黒髪・黒目モード(?)で、闇の紋章の魔法陣を何層も重ねて放った一撃でした。

ただ、それは幻の中での出来事であるため、現実世界の中では、ルキアンは第3話以来、まだ一度もステリアン・グローバーを使っていないことになります。ロボット戦闘物としては、それはそれでどうなのでしょうか(苦笑)。それに今は、ルキアンは御子の決め技である《天轟(イーラ)》を撃てるため、ステリアン・グローバーは必殺技としてはもはやあまり意味をもたないかも(?)……という、なんとも皮肉なお話。

実は設定的にいえば、ステリアン・グローバーというのは、《ステリア(霊的対消滅)》機関の力を使ってイーラを人工的に再現したシステムなのです(イーラの劣化コピー?)。何しろアルフェリオンの生みの親であるエインザール博士は、先代の闇の御子ですから。ルキアンが生身ではなくアルフェリオンに乗ってイーラを撃ったら、その威力はステリアン・グローバーをはるかに上回ります。もっとも、ルキアンが《人の子》との戦いで、つまり人間同士の戦いでそれを使うことは、まずないでしょうが。

色々と語って参りましたが、現在の「ハルスの邂逅」編でのルキアンは、先ほどの、初めて見つけた大切な「居場所」である飛空艦クレドールすら捨てて、もはや立ち去らざるを得なかった(「失踪」した)状態です。ここが物語の「底」かと思っても、さらに落ちて「底」があるという、悲惨な筋書きを辿ってハルス編に流れ着いたルキアンでした。

そのどん底の状態で、ただ一人頼れそうなシェフィーアさんのところに、もう、光に吸い寄せられる虫のようにふらふらと飛んでいこうとしていたルキアンでしたが……。そんなときに待ち構えていたのが、ヒロインなのに50数話も姿を見せず潜伏(?)していて、ここぞという時に現れたエレオノーアでした。そこからあの強引な展開でルキアンの心を奪い去っていったエレオノーア、別に狙ってやったわけではないでしょうが、考え方によっては、かなりあざといですね(笑)。シェフィーアさんが舞台裏で悔しがるのもわかります。

最近、ヒロインのエレオノーア関連の特集記事が多かったような印象があります。が、今回は主人公ルキアンの特集でした。こうして今までの物語の流れをみてみると、なんだかんだ言ってもルキアンからは目が離せませんね。

いつも『アルフェリオン』をご愛読いただき、感謝です。
ではまた!

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

連載小説『アルフェリオン』をDALL-Eとさらに画像化してみた

ChatGPTと一体化した画像生成AI、DALL-E3(以下、ダリさん)。その凄さ、真価が、ここ数日、集中的に使い込んでいくうちに分かってきました。一応、日々の本業の方もありますので、私がダリさんと戯れる時間を捻出するためには、睡眠時間を削るしかありません(苦笑)。しかし面白いもので、脳内麻薬の分泌ゆえか何かは分かりませんが、本気で楽しんでいるときには、全然眠くならないのですよね。

これは、『アルフェリオン』の物語の転換点となる「ワールトーア編」の宣伝画像をダリさんに生成してもらったうえで、それに鏡海が色彩の調整加工をして、テキスト部分と統合させたものです。小説本編のうち、左側のテキスト部分に対応する内容を、右側の絵にしてもらったのです。見事に再現されています。

アリーオとエメレーアのロッタ姉弟が、あの過酷な事件が起こる前のワールトーア村で幸せに暮らしていた頃の話です。この場面は、とことん美しいのです。しかし、その後、彼らに降りかかる出来事を思えば、我ながら容赦なく残虐な展開にしたものです。そういった、一方で詩的で感傷的な部分と、他方で思わず胸が苦しくなりそうな救いようの無い部分とが……両者の交錯が、対比が、何と申しましょうか、心を揺さぶります。

アリーオ(弟)とエメレーア(姉)。この場面を、ダリさんはよくぞ描き出したものです。この後、《ロード(聖体降喚)》の結果、アリーオに該当するのがルキアンで、エメレーアに該当するのがあのキャラとなったとは……。どうしてあの人が?何の関連性も必然性もないのでは?という登場キャラが、ルキアンにとっての本来の「対になるアーカイブ」ですよね。その人物を特定するためのヒントは、すでに小説本編中に出ています。もっとも、その人を押しのけて、エレオノーアが先にアーカイブになったのですが。

ロッタ姉弟を待ち受けていた結果が、これです。
そして今、ルキアンが、失われた廃村ワールトーアをブレンネルと共に探検し、この二つの墓石を見つけ出しました。

ダリさん、こういうタッチの絵も生成できるのですね。ChatGTPを介して対話式に伝えると、絵柄や色彩の指定といった繊細な部分についても、こちらの意図をきめ細かく反映させることが可能です。

そして下記は「ワールトーア編」の縦型プロモ画像です。

ダリさんとHolaraさん、そして鏡海の合作ですね。

 ◇

さらに、ダリさんに飛空艦クレドールを改めて画像化してもらいました。

素敵すぎます。しかし、ここに至るまでには何度か再生成を繰り返しました。

これに対して、ダリさんが一番最初に生成したクレドールの画像は、下記の通りです(笑)。

ただ、帆船に羽根を付けただけだという話もありますが。


そこで次に生成してもらったのが、これです。

それはそれでよいのですが、いま一歩ですね。
そこで、話をもう少しSF風にしてもらうよう、こんな絵の再生成を願いました。

素晴らしい! だが、飛空艦というより、飛行機の側にかなり寄っている作りではないかと。
この先に再生成されたのが、先ほどの画像、繰り返しになりますが、これですね。

本ブログでは、以前から連載小説『アルフェリオン』の関連画像の公開を、生成AIのHolaraさんの力を借りて進めてきました。そこにいま、同じくAIのダリさんが新たに加わったことにより、これまでとは局面がひとつ変わりそうな勢いです。

本日も鏡海亭にお越しいただきありがとうございました。
明日もまたお待ちしています。

ではまた!

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

『アルフェリオン』の名場面をAIのDALL-Eさんで画像化してみた

こんにちは。
この間、画像生成AIのDALL-E3(以下、愛称・ダリさん)をChatGPT経由で利用し始め、そのポテンシャルに驚きを隠せない鏡海です。
ダリさんに慣れるため、もっと一緒に遊ぼうということで、本ブログの連載小説『アルフェリオン』から名場面の画像化をダリさんにお願いしてみました。

まずは第47・48話「深淵」より、シェフィーアさんがレイシアと海辺を散歩している場面ですね。作者の私自身、大好きなシーンです。

おぉ、シェフィーアさん、髪をなびかせてカッコいいじゃないですか。こんな演出まで自然に取り入れてくれるダリさん、なかなか分かってますね。欲を言えば、レイシアがもう少し近くにいてくれた方が、もっとよかったかもしれません。

広大ながらもどこかうら寂しい北の海の砂州、その雰囲気がうまく表現されていると思います。

 

ちなみにボツ画像として:

先ほどの画像よりも、こちらの方が良くできているという見方もあります。ただ、シェフィーアさんがフルプレートの完全武装でいかつすぎますね(笑)。体型も筋骨たくましい男性の騎士のようです。兜で顔が隠れているのも惜しい。
もう一方のレイシアは素敵ですね。

 

ボツ画像その2:

何だか絵柄がアニメの1シーンのようですが……。
そう、アニメ風のタッチの方が欲しい場合もあるのですが、今回は求めている絵柄とは異なります。
シェフィーアさんはともかく、レイシアの方は、私の中のイメージに相当に近いです。見事だというしかありません。

複数の対象にそれぞれ詳細なプロンプトを設定しても、ダリさんはひとつひとつ丁寧に拾ってくれます。さすがChatGPTと組んでいるだけのことはあります。

ダリさんは、画像への言語の反映能力は非常に高いです。ただ、プロンプトを受け止める能力が高いだけに、良くも悪くもこちらの指示に忠実で、逆にこちらの狙いや予想を超えるような(トンデモも含めて)斜め上の提案はあまりありません。

同じくAIのHolaraさんは、そのへんの精度がむしろ微妙なことがある半面、だからこそ、時々、プロンプターが意図してなかった、あるいは意識化・言語化できなかった希望までも、偶然的に画像化してくれて、100点満点を超えて120点になることがあるのですよね(笑)。「ガチャ」的な効果ですね。「あ、そういえば、それそれ!」とこちらが気づかされるような。

 ◇

もうひとつ、今度は物語序盤の「パラミシオン編」から、第6・7話の「光と影の塔」というタイトルにもなっている、ファンタジー世界風の異空間パラミシオンに突然そびえ立っていた旧世界の「塔」、あの怪しげなビルの画像化をダリさんにお願いしました。

素晴らしい! 手つかずの自然であふれる大地に、なぜか近未来のビルがぽつんと存在しているという、あの違和感が巧みに再現されています。

ちなみに、まだ情報量の少なかった物語序盤に、なんだか唐突に出てきて沢山の謎を残して去っていった「パラミシオン編」ですが……いま思えば、ものすごい伏線がいくつも隠れているのですよね。あるいは、現時点(第57話)までの情報をふまえれば、あれはそういうことだったのか!と思い当たる部分もいろいろあるでしょう。

ただ、なぜパラミシオンに旧世界の遺構が存在するのか、というそもそも論的な謎は、残されたままです。これは、今後起こる、とある大事件を境に、謎が解けてくると思います。旧世界が崩壊したとき、どんな状況であったか、そのとき天上界のコロニー群を統べる「天帝」が何をしたか、という点に深くかかわっています。おっと……ネタバレになるといけないので、このへんでストップ。

 

ボツ画像1:

ビルの不気味さ・異様さがなかなか出ていて、これもよいのですが、草木が多すぎる(笑)のと、パラミシオンの世界像があまり反映されていない感じがしますね。

 

ボツ画像2:

ビルが複雑すぎ、大きすぎますね。ビルというより、かつての九龍城ではないですが、これらのビルの集合体でひとつの街になっているとか、あるいは某奪還屋さんの無限城みたいな感じもしたり、私は直感的に、どことなく北斗の拳とかマッドマックスのような荒廃した世界を想像してしまいます。「ヒャッハー!」(笑)的なモヒカン刈りやスキンヘッドの悪党たちがビルの陰から改造バイクに乗って飛び出してきそうな……。ちょっと、アルフェリオンの世界とはまた違いますね。

いずれにしましても、ダリさんの表現力、こちらの意図に対する理解力には驚くべきものがありますので(まさにAIと対話しながら一緒に作業を進めていく感じ)、連載小説『アルフェリオン』の名シーンや重要スポット(?)などを画像化していきたいと思います。

いつも『アルフェリオン』を応援いただき、ご愛読いただき、感謝申し上げます!
無数の作品がウェブをはじめ各メディアであふれかえる中、「ここにしかない物語」を目指して連載を続けていきます。

ではまた。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )

画像生成AIのDALL-E3に、エレオノーアを描いてもらったら……

画像生成AIのDALL-E3(ダリ・スリー。以下、ダリさん)と遊んでみる企画、まだ続きます。
今回は、本ブログの連載小説『アルフェリオン』のヒロイン、エレオノーアの画像化をダリさんにお願いしてみました。

最初の生成:

え、えぇっ!? 「闇の御子」として生きる娘というのであれば、本来は、こういう感じなのかもしれません。髪型や服装は指定した通りなのですが、それにもかかわらず雰囲気が全然違いますね。サイボーグっぽいクールな美少女。小説本編に出てくるエレオノーアは真逆で、熱くて率直で生々しい(笑)感じのキャラですから。

もっとも、当初の設定では、エレオノーアはたしかにこの画像のような印象だったのですよね。それが、実際に書き始めたらキャラがどんどん独り歩きして、いまのような彼女になったのです。ただ、現在のエレオノーアは、主人公のルキアンと息が合っているように思いますが、この絵のようなエレオノーアだったら、残念ながらルキアンとは合わなさそうです(苦笑)。

そこで、二回目の生成:

あらら。今度は子供っぽ過ぎました。それに、もうちょっと元気が欲しいですね。
しかし画像のクオリティ自体は高いです。

そこで三度目・四度目にダリさんにお願いして導着された画像のキャラに、鏡海が背景と字幕を付けてみたのが以下です。第53話「光翠の谷を越えて」の名場面より。まだ少年エレオンとして振舞っていた少女エレオノーアが、食材の調達のためルキアンと魚を釣りに行く道中の話。

実際に小説本編に登場した頃のエレオノーアは、まさにこんな感じのキャラでした。
ダリさん、さすがです。
ボーイッシュな素朴なキャラだったはずが・・・そこから、彼女の「女性」としての部分が前に出てきて、いまの絶妙な具合のエレオノーアがいます。

次なる生成。第54話「御子の力」において山賊たちを切りふせたエレオノーアは、こんな感じでしょうか。
「私、実は結構強いんです」という台詞通り、戦いになると目つきが変わるエレオノーア。

 

同じくエレオノーアが剣を構えたところをダリさんに生成してもらった下の画像は、精緻ではあれ、いかにもCGという絵柄ですね(苦笑)。なぜか日本刀を手にしています。

ファンタジーというよりも、近未来を舞台にしたゾンビ・サバイバル系の作品(?)あたりに登場しそうです。

 

この画像は、今のエレオノーアに比較的近いですね。

ちょっと年齢設定の匙加減が違うと、こんな感じの画像になります。
これは、大人になったエレオノーアでしょうか。貫禄ありますね(笑)。

こんな感じで、ダリさんにも慣れつつあります。
同じく生成AIのHolaraさんともども、心強い仲間になってくれそうです。

本日もブログ「鏡海亭」にお越しいただきありがとうございました。
次回もお待ちしています!

ではまた。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 前ページ