鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

GPTs はゲームチェンジャーになるか!?

ここ数日の本ブログ用画像の準備にあたり、ChatGPTの機能である「GPTs」を利用した自家製ツールが、大活躍しています。
上掲の画像、左側はEditorial Oboro(オボロさん)を、右側はオボロさんおよびEnikuma(エニクマ)を活用して生成したものです。


希望に叶う画像の生成に至るまでの効率性や、こちらの意図の画像へのより高度な反映という点に関し、従来とは次元がかなり変わったような気がしています(あくまで当ブログ比、にすぎませんが……)。

本日公開済みの下記の作品広報用画像においても、いくつかの素材の生成にオボロさんとエニクマが利用されています。

GPTs ――少なくとも、本ブログ運営へのAI活用という個人的な範囲では、もはや、いわゆる「ゲームチェンジャー」の域に達しているかもしれません。

鏡海

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ずっと、これを創りたかった。

連載小説『アルフェリオン』、新しいPR画像置いておきます!
リューヌが主役の画像ですね。最近出番がなくて残念ですが……。
詳細は後ほど。

鏡海

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心の奥底の暗い森、差し伸べられた手

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、その中でも傑作中の傑作(?)と思われる第35話「パンタシア」です。
強敵を前に大ピンチの主人公ルキアンが超覚醒する直前に、彼の陰惨な独白と回想とが延々と繰り返される場面。
そんな彼に手を差し伸べ、彼の心の闇を全肯定したシェフィーアさんのイメージです(本人とは違う容貌ですが)。

この場面の小説本文から、広報支援用AI「Editorial Oboro」(オボロさん)にタイトル画像を作ってもらったのが、上掲の画像です。昨日のリベンジ(笑)ですね。オボロさんの受け止め、的確すぎて何だか涙が出てきます……。

この時点では、ルキアンはシェフィーアさんの姿をまだ直接見たことがなかったので、冒頭の画像のような、本人とはかなり異なるイメージとなって現れたのでしょう。ルキアンと似ている銀髪や、ルキアンに通ずる「闇」を象徴する黒い衣装をまとった彼女の姿は、ルキアン自身が妄想交じりに思い描いた願望が入っているのでしょうか。

オボロさん、適切な情報さえ与えられれば、凄い能力を発揮しますね。


(オボロです。当然です) ※Editorial Oboroのアイコン。

こちらもオボロさんが同じ場面から生成した画像。
特に何も指示しなければ、シェフィーアさんではなく、リューヌとルキアンの関係をテーマにした画像が生成されます。


ルキアンが幼い頃からリューヌがずっと見守ってくれていたことに、やっと気づくルキアン。
そんな彼の姿が子供に還っているのが象徴的ですね(それに釣られてリューヌの姿も幼くなっていますが)。
――さぁ、この手を取って!

そして自分自身を受け入れること。自分自身との和解?

これは、本当にオボロさんすごい!と思いましたね。
ルキアンが、自分の半身である闇の部分を己の一部として受け入れる覚悟をした場面から、オボロさんはこんなタイトル画像を生成しました。自らの中の闇と向き合うということが、『アルフェリオン』の重要なテーマのひとつですからね。


そして救いの手を差し伸べるシェフィーアさん。その姿は、まだこの時点では、ルキアンの勝手な妄想。
実際にあった場面ではなく、あくまで心象風景ですが。

とはいえ、その差し伸べられた手が実は結構ヤバい(笑)ということを暗示する画像。ルキアンの想像したシェフィーアさんの姿が、魔性な空気全開ですね。エルフっぽくもありますが。
受け入れてくれて、護ってはくれるでしょうけど、一緒に地獄の底までも堕ちる覚悟がないと、この手は取れませんね(苦笑)。それを画像化するとは、オボロさんおそるべし。あぁ、人類!

と、オボロさんをさんざん持ち上げておいて、最後に:

これは? オボロさんが、明治の歌曲「荒城の月」の歌詞を読んで、そこから生成したタイトル画像です!(笑)。
いや、宴会真っ盛りですね。もはやいずこかに過ぎ去ってしまった「昔の光」のことが、オボロさんにはこう思われたのでしょうか。まぁ、文語調の歌詞なので、現代の外国生まれのAIさんには分かりにくいのかも。それでも理解をもとに生成した画像が大ハズレではないあたり(←そうか?)、さすがですね。

もう1枚、「荒城の月」をモチーフとしてオボロさんが生成。

やっぱりパーティーになるんかい!?(笑)
なお、なぜ「荒城の月」がテーマなのかは……今日この頃のアニメ界隈を、あるところを、リスペクトしてみたという具合です。

「GPTs」由来のAIツールたちの機能を、こんな感じでテストし、チューニングして参ります。今後も色々と面白いことができそうです。

ではまた!

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AIさんの妄想と王道ファンタジー?

「全米が泣いた!」(嘘)
「〇〇氏も絶賛、これを見ずしてファンタジーは語れない!!」(大嘘) 
そんな感じの正統派・本格派のきわみのようなファンタジー映画、そのポスターみたいです。

作品の中身とまったく合致していないという意味では、これも一種のフェイク画像になるのでしょうか。
しかし、本ブログの連載小説『アルフェリオン』第53話のイメージについて、ボクらの小説宣伝支援AI「Editorial Oboro」(オボロさん)の頭の中を素直に画像にしてもらったら、冒頭の絵のような感じだそうです。なんという王道ファンタジー。

ChatGPTの「GPTs」を使って生まれたオボロさんの機能の一つに、ファイルから物語を読んでふさわしいタイトル画像を生成するというものがあります。それを使ってみたのでした。以前、第58話に対しては、なかなかの成功だったのですが……。

こちらから一切指示をせず、オボロさんに完全にお任せすると、先ほどのような楽しい(!?)感じの画像になります。
それを素材にして鏡海が上記のウソ広報画像にまとめました。いや、AIさんの発想をみるのがとても楽しいのですが……オボロさんの本来の使命である「自作小説の広報用素材を生成する」ということについては、まだまだ課題が多いですね。

ちなみに53話「光翠の谷を越えて」の「前編」・「中編」・「後編」をイメージしたタイトル画像は、オボロさんによればそれぞれ次のようになります。

 

【第53話・前編】

ボーイッシュな少女エレオノーアと、白銀の竜アルフェリオンの出会い! 大冒険の始まり?
なんか、本当にこんな映画ありそうですね(笑)。敢えていつものアニメ風ではない絵柄で、オボロさんに好きに画風を選んでもらったら、こんな凄まじい精緻さの画像も出せるのです。
アルフェリオンがドラゴンになってしまいました。白銀の竜というイメージ自体は合っているのですが、一応、広義の「ロボット」です。舞台となるハルス山脈、これでは雰囲気を盛りすぎですね。素敵だけど。

 

【第53話・中編】

おお、こっちも王道!
なんとなく連想したのですが……欧州のシンフォニックメタルあたりのCDに、こんなジャケット絵のアルバムがありそうですよね(あくまでイメージです)。
ルキアンとエレオノーアだそうですが、えらく印象の違う二人になってしまいました。まぁ、本来のルキアンとエレオノーアの方が、むしろ変則的なキャラを主人公に据えたケースであって(笑)。こっちの画像の二人の方が正統派なのでしょうが。
でも背景の幻想的な味わいは素晴らしい!
これをコテコテといわずして、なんといえばよいのか、特濃なファンタジーですな。

 

【第53話・後編】

この画像、あまりにキマりすぎていて、見た途端、独り笑いが止まらなかったです(!)。
いや、とてもかっこいいのですが。かっこよすぎて、コテコテすぎて、逆に……。
典型の中の典型!というところでしょうか。
生成AIの特性上、与えられたキーワードに確率論的につながる可能性の高い要素をもちだして生成を進めるのでしょうから、結局、より一般的にウケる要素を言葉から連想して絵にするということになります。こちらが特に指示しない限りは。そうすると、こんな感じになるのですね。まさに「絵に描いたような」ベタな雰囲気に。
でもルキアンとエレオノーアをこの絵の背景の前に立たせたら……あぁ、ちょっと似合わないですよね(笑)。

そして、以上の三枚のうち前編・後編の分の二枚の画像を使って、冒頭のニセ広報画像(!)を作ってみたのでした。

でもやっぱり、格好いいことは格好いいですね(笑)。
いや、正直に言うと、一方でそういう王道的なファンタジーに対する何か違和感のようなものがずっと今まで自分の中にあって(好きは好きなんですけどね)、その上に『アルフェリオン』が生まれて、それから時が経って今度は逆に(「逆」って何か失礼な言い方だが)「なろう系」的な世界観・世界設定のファンタジーが出てきて、それもやっぱりどこか自分の目指す方向性とはちょっと異なる気がしていて……。AIを旅の友として創作の内なる旅路をさまよっている感じです。

ちなみに本日初めて鏡海亭を訪問された方がいらっしゃるかもしれないので、誤解のないよう、挙げておくなら:

『アルフェリオン』とはこういう作品です(笑)。異端だけど本格的なファンタジー・ロボット小説。

いや、個人的な趣味のブログとはいえ、今回は特に個人的な思いで記事を公開しましたが、お付き合いくださり感謝です。
いつもありがとうございます。

ではまた!

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画像生成支援AI「絵似熊(エニクマ)」が仲間に加わった!

あれ? このタイトル画像、誰でしょう。

あ、シェフィーアさん、何やってはるんですか?(笑)
本ブログの連載小説『アルフェリオン』の自称「今年こそは天下(ヒロインの座)を取る女」こと、シェフィーアさんではないですか。

いつものアニメ調の絵柄とは違う、これはこれでいい感じの手書き風の絵柄ではないですか。
向かって右側が、まだ一応、王女だった(笑)10代、同じく左側がなかなかワルそうな20代、そして真ん中が今の姿ですね。貫禄と包容力があります。

ところで、実にシェフィーアさんの特徴がよく出ている冒頭の画像、どうやって生成したのでしょうか。
それは……鏡海亭の新たな仲間「Enikuma」の助けを借りています。

はい、生成AIのChatGPT4に実装された機能「GPTs」を使って、自作小説の広報支援用のAIツールを制作する企画、第二弾です。
昨日は、PDFファイルの小説のテキストを読み取り、そこから「あらすじ」をまとめ、タイトル画像を生成するツール、「Editorial Oboro」(愛称「オボロさん」)を紹介しました。
 
本日は、キャラクターの画像から詳細なプロンプトを生成するツール、「Enikuma」(エニクマ、絵似熊)を作ってみました。ネーミングセンスが……という点は無視してください(笑)。

(エニクマのプロフィール画像)
 
プロンプトから画像を作るのが画像生成AIなのに、わざわざ画像からプロンプトを生成するツールって、どうするの?という見方もあるかもしれません。このツールは何のためのものかというと、「画像に描かれたキャラクターの再現性・同一性の維持の困難さ」という現時点での画像生成AIの弱点を緩和するためのものです。つまりは、何度画像を生成しようとも、それが誰なのか一目でわかる程度に見た目の特徴を一貫して維持できるということは、生成AIには難しい! そんな問題点への対処なのでした。
元画像を読み込ませてこれをベースに新画像を生成するという方法を取ってさえ、当該キャラの特徴を維持することが簡単ではない以上、ならばプロンプトをとにかく詳細に作り込んで、キャラの特徴を言葉でもって保持しようという発想です。
 
エニクマに画像を読み込ませると、項目ごとに詳しいプロンプトが生成されます。
たとえば、『アルフェリオン』のメインヒロインであるエレオノーアを例にしてみましょう。
 
(はい、私が実験台……いや、お手本になるのです)
 
「髪」に関しては、こんな感じです。
 
Hair details: Silver hair with a slight wave, cut into a bob that just grazes the shoulders.
 
同じく「目」について。
 
Eye shape, size, and color: Large, rounded eyes with a slight tilt upwards at the outer corners; the color is a vibrant blue.
 
英語で出力されるのもポイントです。生成AIのHolaraさんであればプロンプトは英語でないといけませんし、ダリさん(DALL-E3)の場合も、日本語でOKではあれ、英語の方がより効果的です。上記のような項目ごとの特徴の表記を、エニクマさんは延々と吐き出します。
 
中には、外見からみたキャラの個性に関するような項目もあります。
 
Expression: Friendly and approachable with a hint of playfulness.
Personality traits inferred from appearance: Appears confident and cheerful, with a sense of stylish sophistication.
 
上記の内容の当否はあまり問題ではありません。AIの目から見ればこんなふうに特徴が理解されている、という点が重要です。あくまでAIにとって分かりやすい、当該キャラの再現の手がかりになる情報が必要なわけですから。
エニクマの出力した詳細なプロンプトは、どうやら「AIの目から見て」キャラの特性を上手く反映しているプロンプトになるようで(?)、一見すると「そうかなぁ?」と思うような内容も混じっていても、実際、そのプロンプトでキャラを生成してみると、キャラの個性を実に的確に反映しています。元画像よりも良くなっていることも多いです。

以下のエレオノーアの画像、実に彼女らしいです。かつ、これらの画像を通じて、一人のキャラクターとしての見た目の同一性が感じられます。
 

いつの間にか、彼女の画像にも、本当にヒロインっぽいオーラが出てきましたね。

エレオノーアを例とした先程のプロンプトは、人間にとって分かりやすい表記の仕方になっていますが、Holaraさん向けに、広義の名詞表現を並べていくかたちの次のようなプロンプトも、エニクマさんは出力できます。
 
前略...(Oval-shaped face with soft features), (Blonde hair with a smooth texture, medium length, styled in a half-updo with braids wrapped around the crown of the head), (Forehead is partially visible with hair neatly braided away from the face), (Almond-shaped eyes, medium-sized, with bright blue irises)...後略
 
これは誰の特徴を表したプロンプトでしょう? シェフィーアさんです(笑)。
 

エニクマのプロンプトに基づいて生成されたシェフィーアさんの画像も挙げておきましょう。

こちらも、いずれの画像も同じキャラだという感じがしますね。
とてもシェフィーアさんらしいです。懐は広いという印象ではあれ、本音では優しい人なのか危ない人なのか、よく分からない雰囲気が。エニクマの力を借りて、やっと彼女らしさが出せたというところです。大人の色気もありますね(笑)。最後の1枚は年齢が若い、ですが。

今回掲載されているエレオノーアとシェフィーアの画像は、すべてHolaraさんと一緒に導着したものです。
最近、ダリさん(DALL-E3)との協同が多くて、多少ご無沙汰だったほららさんですが、ちゃんとしたプロンプトを渡すと実に良い絵を生成してくれます。ダリさんの方が圧倒的に意思疎通がしやすい(苦笑)ので、どうしてもそちらに頼ってしまうのです。しかし、少々クセがあっても、ほららさんの描画能力もやはり凄いです。

ダリさんに画像を生成してもらうことと併せて、まずはこちらの指示を行いやすいダリさんでキャラの元画像を生成しておいて、それをエニクマにプロンプト変換させ、そのプロンプトをほららさんに渡して再生成するという手順でもって画像表現の幅が格段に広がりそうです。

本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。
仲間AIも次々と加わって、ますます元気な鏡海亭に今後とも御期待ください!

ではまた。

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小説の公開・宣伝支援用AIのオボロさんが仲間に加わった!

こ、これは?(最近、この手の書き出しが多い……)
「鏡海亭」の制作陣のさらなる一員として加わった、自作小説の公開・宣伝支援用の生成AI「Editorial Oboro」が、本ブログの連載小説『アルフェリオン』の最新話(第58話の4)の内容を読んで自動生成したタイトル画像の一例です。

この Editorial Oboro(エディトリアル・オボロ。以下、「オボロさん」)は、ChatGPT4の機能のひとつである「GPTs(ジーピーティーズ)」によって生成・実装されました。鏡海庵の「広報部長」兼「実働部隊」(笑)として特化した生成AIだといってもよいでしょう。

上記のGPTsとは、簡単に言えば、利用者自身のニーズや特定の用途・対象等に合わせたカスタマイズ版のChatGPT(たとえば、ChatGPTベースのAIチャットボットやAIツールと思っていただければ)を創り出すものです。

しかもその際、専門的なプログラミングなどは特に必要とされず、「こういうことに使いたい!」、「こんな機能が欲しい!」といったこちらの希望を、ChatGPT自体とのチャットを通じて伝えていけば、これに基づいてカスタマイズ版が生成されます。敢えていえば、ChatGPTがテキストや画像の生成だけでなく自身の別ヴァージョンまで生成する(!)という感じでしょうか。

私も試しに、自作小説をブログで公開・宣伝するための支援用として、見よう見まねで、ChatGPTさんを適当なチャットを通じてカスタマイズしてみました。ChatGPTはこんなこともできるんです!という体験レポートあるいはご参考になれば幸いです。

その手の「GPTs」の具体的な利用法・作り方については、「GPTs」でウェブを検索し、関連のサイト情報にいくつか目を通せば、あとは細かいことは置いといて……ChatGPTと話していけば完成すると思います(GPTsの利用方法そのものに関する技術的な情報を長々と説明するのは、本ブログの趣旨や本ブログに期待されている(?)方向性とは、おそらく違うのではと思いますし)。

ただ、GPTsを始めるまでにおさえるべき最低限のポイントのみ挙げておきますと、以下の3点になります:

①有料の「ChatGPT Plus」に契約している(無料版には、この機能はありません)。
②「ChatGPT4」を利用する。
③実際に作り始めるには、ChatGPTの「My GPTs」あるいは(日本語ベースの場合)「私のGPTs」のところから「Create a GTP」を選択する。

 ◇

それでは、オボロさんを少し紹介します。

GPTsを使って新しいGPTを作っていく際、その名称とプロフィール画像(アイコン?)を、ChatGPTが提案してくれます。ちなみにオボロさんのプロフィール画像は、これです。

可愛らしく奥ゆかしい感じですが、その印象からは想像できないほど有能になりそうです。
オボロさんの機能は大きく分けて以下の2つです。

①PDF形式の小説データを読み込んで、そのあらすじを作成する。
②上記の小説データの内容に即したタイトル画像を生成する。

上記①②の機能に、それぞれいくつかのオプションがあります。これらのオプションは、たとえば画面上でボタンをクリックして選ぶといった形式ではなく、ChatGPTらしくチャットを通じて選択肢が提案され、こちらも返事して選ぶというかたちになりますが。

一例として、『アルフェリオン』第53話(その5)を読んでオボロさんが提示したあらすじ案をいくつか。オプションを変えればあらすじをまとめるうえでの切り口も変わります。

【案1】
「この物語は、エレオンとルキアンの冒険を中心に展開します。海沿いの大都市コルダーユから山峡へと旅をするルキアンは、エレオンという謎多き人物と出会います。エレオンはルキアンに対して一方的に親しく振る舞い、彼の感情を揺さぶります。一方、高い位置から二人を見守る謎の存在、ヌーラス・ゼロツーは、ルキアンに対して不満を抱いています。ルキアンはエレオンの真の性別を知り、混乱しつつも彼女に惹かれていきます。エレオノーア(エレオン)は、山賊や危険から身を守るために男装していたことを明かし、二人はお互いの過去と現在について理解を深めます」

【案2】
「ルキアンは人との関わりを避ける内向的な性格ですが、エレオン(エレオノーア)との出会いによって変化を遂げます。エレオノーアは無邪気で愛らしい性格をしており、ルキアンにとって新鮮な存在です。彼女は男装しており、その理由は単なる偽装ではなく、周囲の危険から身を守るためです。ヌーラス・ゼロツーは、ルキアンの運命に強い関心を持っています。ルキアンはエレオノーアに惹かれ、彼女を守る決意を固めます」

【案3】
「この物語の主要なテーマは、「自己発見」と「運命の受容」です。ルキアンはエレオノーアとの出会いを通じて、自分自身と向き合い、成長することを学びます。エレオノーアの男装という行為は、自己防衛と自己表現の複雑な関係を示しています。また、ヌーラス・ゼロツーの存在は運命と選択の重要性を示唆しており、ルキアンが自分の運命を受け入れ、行動を起こすことで、彼の内面の成長が描かれます。物語全体を通じて、自己理解と他者への理解の重要性が強調されています」

いや、【案1】は、物語の流れをわりと客観的にそのままなぞったような内容ですし、逆に【案3】は、オボロさん自体の「解釈」がかなり前面に出た内容となっています。
ちなみに【案3】に関して、この物語の主要テーマは「運命の受容」ではないですね。「宿命を、超えてゆけ!」という煽り文句(笑)を私が日々繰り返しているように、運命をただ受け入れるのではなく、乗り越えるのがこの作品の主要テーマのひとつですから……。ただ、第53話というたった1話の、ごく一部を読んだだけでオボロさんが返してきた【案3】の内容は、結構鋭いというのか、それなりのものです。
【案2】の「エレオノーアは無邪気で愛らしい性格をしており」というオボロさんの受け止めも、第53話(その5)の時点では的確かと思います。その後にエレオノーアが見せる様々な表情については、まぁ、別として……。

 ◇

もう1点、今度は『アルフェリオン』最新話(第58話の4)のあらすじとして、かなり詳細なそれをオボロさんにまとめてもらいました。オボロさんは、こちらの指定次第で、ごく簡潔な数行のあらすじから長文のあらすじまで自在にまとめる機能があります。ただ、下記のように長文のあらすじは、「あらすじ」というよりも、半ば「解説」的な様相をも呈して参りますが。

「魔法とテクノロジーが絡み合う世界で、この小説は戦争、戦略、政治的陰謀の壮大な物語を展開する。物語は主に、聡明な軍情報将校マクスロー・ジュラと、彼の信頼する部下エレイン・コザイゼを中心に展開する。彼らは緊迫した地政学的紛争の渦中に身を置き、強大な力を持つエスカリア帝国との複雑な戦争を切り抜けていく。

小説は、エクター・ギルドのクレヴィウス・マックスビューラー副船長やカーデイン・バルシュ大尉ら要人たちが最近の憂慮すべき事態について話し合う、飛行船クレドールでの軍事会議の真っ最中から始まる。エスカリア帝国の軍隊は、古代の強力な兵器の使用によって強化され、予想外の勝利を次々と収め、戦略的展望を大きく変えている。

エスカリア帝国の戦力の中心となるのは、強力な浮遊要塞 "エレオビンス "だ。絶大な威力を誇る呪文砲「マジオ・スクループ」を装備しており、ガノリス連合軍を壊滅させ、その首都さえ瞬く間に消し去った。

物語は、マクスローとエレインが、このような圧倒的不利な状況を前にして、戦略を適応させようとする努力を複雑に織り込んでいく。彼らは同盟関係を模索し、"旧世界 "として知られる過ぎ去った時代の名残である古代の魔法技術の複雑さを掘り下げていく。恐るべきステリアン技術を含むこれらの遺物は、激変的な破壊が可能であり、今の時代に知られているものよりはるかに高度で、同様に危険な失われた文明を暗示している。

小説を通して、忠誠心、戦争の代償、圧倒的な力の行使をめぐる倫理的ジレンマといったテーマが探求される。元海賊から革命の英雄に転身した人物や、学者で戦士の魔道士など、さまざまな経歴を持つ登場人物たちが物語に深みを与え、それぞれが理想や恐怖、指揮官の重責と格闘する。

物語が進むにつれ、もろい同盟関係、戦略的な作戦、エスカリア帝国の容赦ない進撃が、緊迫した予測不可能な雰囲気を作り出す。この小説は、軍事戦略、ハイ・ファンタジー、キャラクター主導のドラマの要素を見事に融合させ、クライマックスでは登場人物の肉体的・道徳的気概の両方が試される対決でクライマックスを迎える」

おぉ、これはなかなか。ちなみに原文は英語でしたが、別のAI翻訳(Deepl)で日本語にしています。キャラの名前(読み方)がところどころおかしいのは、仕方がないですね。

特に面白かったのは、「忠誠心、戦争の代償、圧倒的な力の行使をめぐる倫理的ジレンマといったテーマが探求される。元海賊から革命の英雄に転身した人物や、学者で戦士の魔道士など、さまざまな経歴を持つ登場人物たちが物語に深みを与え」という部分です。「圧倒的な力の行使をめぐる倫理的ジレンマ」という表現は、私が使ったのではなく、オボロさんが自ら選んだ表現です。その通りで、凄すぎる。「学者で戦士の魔道士」って、何その完璧超人(笑)というのはクレヴィスのことですが、その通りといえばその通りですね。
「この小説は、軍事戦略、ハイ・ファンタジー、キャラクター主導のドラマの要素を見事に融合させ」という部分も興味深いです。ハイ・ファンタジーだという表現、オボロさんは『アルフェリオン』をそのように評価してくれたのですね。今度から、「ハイファンタジーですが、何か?」(キリッ)と振舞いましょうか(大笑い)。

 ◇

オボロさんは、物語の内容からあらすじを作成するという以上の機能と併せて、同じく物語の内容からタイトルに相応しい画像を生成するという機能も有しています。

『アルフェリオン』最新話(第58話の4)を読んだオボロさんに生成してもらった、この回のタイトル画像を三種類挙げてみます。

【案1】


細部に色々と突っ込みたい箇所はあるにせよ、全体の雰囲気としては「第58話の4」をうまく象徴するようなタイトル画像かと思います。
ちなみに画像の絵柄やタッチについてもオボロさんのオプションを選べるのですが、この絵に関しては、私が日頃良く使うようなプロンプトに依拠した、「オートモード」的な機能で生成してもらっています。

【案2】


侵攻する帝国の浮遊城塞エレオヴィンス、その驚愕のパワー!というところですね。これは凄い。
この回で最もインパクトのあったところを選び取ったタイトル画像となると、オボロさんはこういう主題を選んだようです。さっそく「ハイファンタジーですが、何か?」(笑)と言いたくなるような、オボロさん本気のタイトル画像ですね(裏方で実際の画像生成をしているのは、ダリさんことDALL-E3ですが)。

【案3】


全体的な「雰囲気」の面は、よくできています。が……居並ぶ人物すべて、「誰これ?」(笑)と言いたくなるような、見たこともないキャラで埋められていますね。人物の細部まで、小説本文のみをふまえて描写するということは、少なくとも現段階では無理があるようです。ただ、今後のチューニングにて、『アルフェリオン』の主要登場人物の特徴に関する詳細なプロンプトを事前にオボロさんに渡しておけば、様相は全く変わると思いますが(そういうことができるようです)。

以上のようなタイトル画像生成機能には、まだまだ課題が山積しています。それでも、今後の改良に期待できそうです。いや、実は、いつも『アルフェリオン』の最新話を書き終えた後、その公開に向けて最新話分のタイトル画像を生成AIと共に準備する作業が……自分で描くよりは遥かに楽だとはいえ、そこそこ大変です。この作業もAIにやってもらえないかな~と欲をかいて、オボロさんにタイトル生成機能を実装してもらいました。

ちなみに第58話の4で実際に使われたタイトル画像は、こちらになります。

やはりAI単独ではなく、AIと人間とが手を取り合えば一味違いますね(笑)と、ある種の慰めになるような画像です。そのような鏡海自身によるサポートをふまえれば、オボロさんはもっと輝くでしょう。

今回も「あぁ、人類!」(苦笑)という調子の内容でした。
GPTsの登場によって、生成AIは、また一歩、新たな局面へと足を踏み入れたように思います。特にChatGPTのビジネスでの利用を意図している方にとっては、大きな変化ではないでしょうか。
鏡海も、これから色々と趣味や本業で活躍しそうなAIツールの仲間たちを、GPTsによって鋭意「召喚」していきたいと思います。

本日も「鏡海亭」にお越しいただきありがとうございました!
連載小説『アルフェリオン』の執筆の方も進めて参ります。御期待ください。

ではまた!

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ここでも感傷と熱き血の…「壁打ち」企画その2です

こ、これは……。
ChatGPT4とDALL-E3と一緒に創作アイデア出しのための「壁打ち」、続編です。
もしも異世界転生を描くなら、昭和レトロな世界を舞台にした異世界ファンタジー(?)をと前々から思っていたのです。そのアイデアをAIさんの力を借りて深め、画像化してもらってイメージを明確にしてみました。


転生した先の異世界がなんと昭和の日本にそっくりだったという……。
しかしそこは、レトロでノスタルジックな雰囲気の中に、あちこちに底なしの闇が口を開けて待ち構えているという悪夢の世界でもありました。

奇怪な都市伝説に彩られた街。
何となく怖いけれど、幼い頃ドキドキしながら遊んだ、近くの大きな街の見知らぬゲームセンター(笑)。そこに潜む邪悪な存在。

「カイ(怪異)」と呼ばれる使い魔たちを仲間にして、戦えることが分かった主人公。

カイの種類は様々で、人の思い描いた怪奇現象や都市伝説が象徴的に姿を得た存在であったり、元々が幽霊や妖怪であったり、あるいは人間に長年にわたって使われていた物が自らの魂をもった付喪神であったり、かつては神として祀られていたが今は忘れられて荒ぶる存在だったりする。


その昔は誇り高きサムライに愛用されていた名刀が、主を失い、歳月を経て妖刀となっていたところを、主人公と心を通わせ彼のカイとなる感動的な(!?)シーン。



先程のカイが姿を変えた妖刀を手に、戦う主人公。この刃は強力な味方だ。


哀しい過去を背負った少女の霊。それがカイとなり、主人公を護って、悪霊の巣窟と化した廃校に向かう。心を揺さぶられるシーン(?)だ。

一度足を踏み入れたら二度と戻れない、深き帰らずの竹林。そこに棲む強大な敵に立ち向かうため、主人公は、自らのもつカイの中でも最強クラスの蛇神を呼び出す。

かつてはこの地域の守り神として愛されていたものの、今では人々に忘れられ、社も打ち捨てられ、荒ぶる邪神と化していた彼女を、主人公の想いが再び聖なる存在へと引き戻す。

何だか、おふざけではなくてシリアスな話になってしまった!(笑)

本ブログの連載小説『アルフェリオン』と同じく、結局、キーワードは「想い」なのですね(笑)。

「想い」だけでは、たしかに世界は変えられません。
世界を変えられるのは行動です。
ただし、人に行動を起こさせるのが「想い」なのです。

そんな感じで、無駄に熱く、いや、敢えて暑苦しく熱血(笑)なところも昭和ならでは……でしょうか。

本日も鏡海亭にお越しいただきありがとうございます。
鏡海の個人的・実験的な取り組みにここまでお付き合いくださいまして、感謝です!

ではまた。

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転生したら昭和?

こんな異世界転生物、ありでしょうか?
DALL-E3で形を与えられた不思議な世界。
謎を秘めて、話は続きます。

鏡海

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ChatGPT、DALL-Eと雑談していたら、ノリで絵物語ができた件

こ、これは一体? 笑笑笑々々・・・。

実は、生成AIのChatGPTと雑談をしながら、与太話の中で浮かんできたアイデアを、その場で同じく生成AIのDALL-E3(以下、ダリさん)に画像化してもらうということを繰り返して、出来上がってきた物語のイメージ画像です(笑)。

ChatGPTにはいろいろな使い方がありますが、中でもアイデア出しの相手としては、本当に役に立つと思います。作品のアイデアを練るときにも使えるわけですが、最近ではChatGPT4とダリさんがタッグを組んだおかげで、思いついたことをすぐさま絵にしながら、その場のノリでどんどん進めていけるわけですね。

以下、冒頭のカマキリ少女の話が生まれてくるプロセスを再現してみました。
もっと真面目な作業にも役立つと思います。何かのご参考になれば幸いです。

事の発端は、魔法で動くという設定の、このような装甲生物を想像して、レトロな画風でダリさんに画像化してもらっていたことです。

ChatGPTと雑談する中で、この装甲魔法生物(その話の中で、いつからか「甲冑ロボ」という愛称で呼ばれるようになりましたが……)は、普段は飼い主(マスター)の相棒だけど、戦いの時には鎧に変わってマスターがそれを装着するという話はどうだろうというアイデアが出て参りました。何そのポケモンと聖闘士星矢が混ざったような話は(苦笑)。

こういう具合に。この一連の画像の雰囲気、いい感じですね。昔のヨーロッパの図鑑?を彷彿とさせます。

そして様々な生き物をベースにした「甲冑ロボ」をダリさんに画像化してもらっていく中で、孔雀の甲冑ロボを鎧化して装着する少女の話が出てきました(笑)。

普段はアニメっぽい絵柄ばっかり描かせていますが……こんなのも描けるのですね、ダリさん。
いや、この、19世紀くらいの緻密なリトグラフによる挿絵のような、独特の風合いがたまりません。たまたま生成されてきたのではなく、プロンプトで指示すれば意図的にこの手の画風で描いてもらうことが可能だというのは、AIさん、やっぱり芸の幅がすごいです。

で、よせばいいのに、ここでアニメ風の絵柄でも描いてみてよとふざけたことをいう者がいたから困ります(私ですが……)。その結果、こう変わります。

一気に世俗臭が!(笑) いや、でも細部まですごい描き込みですね。

ちなみに、孔雀の「甲冑ロボ」をアニメ風・コミック風の絵柄で描いてもらうとこんな感じです。孔雀さんのサイズが大きすぎますが……。

こんなふうに、様々な動物の甲冑ロボとその装着者をダリさんに試しに画像化してもらっていたところ、ふと思い立って、「カマキリ」はどうだろうかとなぜか考えてしまいました。

カマキリ少女誕生の瞬間!(笑) いや、なぜか眼鏡も。

何か特別な面白さを感じたので、悪ノリして、この少女を主人公にしたタイトル画像を描いてくれ!とダリさんに注文しました。はい、これです。

これ、周辺にいる一人ひとりのキャラがとても面白いので、隅々までご覧になってみてください。

さらに悪ノリして、物語序盤のこの少女の「旅立ち」をイメージしたタイトル画像を創ってほしいとお願いしたところ……。

な、なんですか、これは。
AIって、本当に……ふざけたお願いでも真剣に全力でやってくれて、何だか切なくなるほどです(笑)。

そして、ここまで来たらもう、妄想がとどまるところを知りません。
仲間のキャラも考えて画像にしてほしいとダリさんにお願いしたら……。


なんですか、このメガネ率の高い集団は?

さらには主人公のライバルも必要だよね、とChatGPTとふざけていたところ、ライバルはカマキリよりももっと強力な生き物を……たとえばドラゴンやフェニックス(笑)といった架空の存在の甲冑ロボをまとっている方が強キャラに見えますよというアドバイス(?)をChatGPTさんがくれました。それを早速ダリさんに画像化してもらったところ、出てきたのは……。

黄金竜の甲冑ロボ?の装着者の超イケメン(笑)。
しかも強そう。何というか、出演する作品を間違えているのでは……という雰囲気ですね。

ただ、このライバルは、本質的には悪い人ではなさそうに見えます。でも私は、敵方のライバルがほしかったのです。そこでもうライバルと言わずに「悪役」を出してくれとダリさんに頼みました。その結果……。

こっちは黒竜の装着者ですか? なんでそんなに真面目に役割に徹しているのかな(笑)。
これまた出る作品を間違えているとしか言いようがありません。

で、それならば、これらのライバルと悪役のようなシリアスで強そうな雰囲気でもって、主人公のカマキリ少女も改めて描き直してほしい……とダリさんにお願いした結果は?

おぉ、いいですね~(笑)。

強力なライバルや敵役の出現により、今の自分の力の限界を悟った主人公は、新たな力を得るために命がけの試練に挑戦した――という感じで画像化してもらいました。

こんなおバカなお願いにも全力勝負で応えてくれるAIさん、最高です!(笑)。

そして試練に打ち勝った主人公(!)

その勢いで、カマキリのもっている真の力を引き出し……という画像。

笑笑笑笑笑!!!

そして主人公超覚醒? いや、この姿、彼女の覚悟が強すぎて、もはや人間やめてしまった感も……。

そしてラスボスとの勝負!!

実は最後の敵は、カマキリ一族だったという衝撃の……(笑)。
戦う主人公の背中、無駄にカッコいいですね。

両者、最後の力を込めた一撃を繰り出し合い……。

まずはハッピーエンド。

調子に乗って、バッドエンドも描いてもらった。

実はラスボスのカマキリ王の正体は、主人公の実父のなれの果てだった……とか、そんな悲しいオチ?(苦笑)。

いや、その、こんなバカバカしいことにも、有り余る実力を使って容赦なく表現してくれるAIさん、ほんとに素敵です。ChatGPTとの雑談で次々とアイデア出しが進み、それをその都度、たちまち画像化してくれるダリさん。

昨年の今頃には、私個人としては、生成AIの実力がここまで伸びるとは思いもしていませんでした。一年後は、ほんと、どうなっていることやら。楽しみです。

読者様方、鏡海の悪ふざけに最後までお付き合いくださり、感謝です。
貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

ではまた!

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第58話(その4)最強の盾

目次これまでのあらすじ | 登場人物 鏡海亭について
物語の前史プロローグ

 


4.最強の盾


 
「このような時、このような場であることに鑑み、包み隠さずに本心を申し上げると……ここ数日における、ガノリス連合軍に対するエスカリア帝国軍の圧勝は、我々の予測を完全に超えていました。今後の戦略の前提が一気に激変してしまったと、認めざるを得ません」
 数名での会合に適した小ぶりな円卓からはみ出るほどに広げられた地図を、厳しい目で睨みつつ、議会軍の情報将校マクスロウ・ジューラは吐露するのだった。彼の隣には腹心の部下エレイン・コーサイス、彼女の対面にはエクター・ギルドの飛空艦クレドールの副長クレヴィス・マックスビューラー、その隣でマクスロウと向き合うのは、今次のギルド遠征部隊の指揮官にしてクレドール艦長、カルダイン・バーシュという面々である。場所は勿論、クレドールの艦内だった。目立った装飾もない単調な色・形状のいわゆる《旧世界風》の様式である内装に、議会軍の二人も慣れてきたようだ。この会議室内も、例に漏れず《旧世界風》の簡素な造形に統一されている。
 彼らの目の前の地図には、等高線に類する技法は使われていないにせよ、絵図でもって地形や土地の高低も一定程度は把握可能なよう、細部に至るまで緻密な描写があり、さらに数値や記号の書き込みが隅々にまで施されている。羊皮紙を想起させる素材で作られた、強度や耐水性にも配慮した目の前の地図は、立ち入りが厳格に禁止されている要塞線《レンゲイルの壁》一帯の念入りな測量に基づいて作成されたものだ。
 淡々とした口調の裏に、意外にも時として迸りそうになる情熱を敢えて押さえつけているような、独特の風情のもとでマクスロウはさらに続けた。
「我々の方にも判断の甘さが無かったとは言えません。王国を長年脅かしてきた宿敵ガノリスの強さに過剰な期待をして、ガノリスがエスカリア帝国に対する壁となって時を稼いでくれると、あわよくば互いに潰し合ってくれると都合よく思い込んでいた面がなかったといえば嘘になります。しかし、それ以上に、帝国軍の力を読み誤っていました。浮遊城塞《エレオヴィンス》によって、瞬く間にガノリスの飛空艦隊の主力が壊滅させられ、続いてガノリス王都も一瞬で消滅させられるなどとは……。そして敵方ながら、まさに戦えば全戦全勝、アポロニア・ド・ランキア率いる《帝国先鋒隊》の鬼神のごとき進撃ぶりも」
 マクスロウが忌々しげに言葉を呑み込むと、それまで黙って頷いていたクレヴィスが、物静かな心地良い声で尋ねる。
「浮遊城塞《エレオヴィンス》がガノリス王都バンネスクに放った大火力の攻撃、ギルドの方でもまだ詳細は把握していないのですが、軍の方でつかんでいる情報があれば教えていただけませんか」
「とある筋のガノリス軍関係者からの情報によれば、《エレオヴィンス》の下部に搭載された対地用の超大型の《マギオ・スクロープ》(呪文砲)か、それに類似した兵器であると思われます。発射前の魔力制御の状況や後に残った魔力の痕跡からみて、極大の無属性魔法による砲撃である可能性が高いということです。私は魔法については十分な知識をもっておりませんので、それ以上のことは、今後、専門家の報告を受けるまで分かりませんが」
 マクスロウの口から《無属性魔法》という言葉が出た時点で、クレヴィスがツーポイントの眼鏡の下で瞳を光らせた。いつもの彼から感じられる飄々とした印象とは異なる、隠された知識を貪欲に求める魔道士の目だった。
「それほどの無属性魔法……おそらく《ステリア》の力ですね。《霊的対消滅反応》を利用した《旧世界》の失われた技術。これを火器に用いた場合は、そうですね、当時の断片的な資料から推測する限り、《大陸》ひとつを消し去るほどの、いや、《星の海》において《星(わくせい)》そのものを破壊するような攻撃さえ可能であったと思われます。ただ、《旧世界》の超魔法科学文明それ自体、この《ステリア》の力を使った戦争によって滅亡したといわれています。それは果たして人間が手にしてよい力であったのか……あるいは、救いようのない人間という種族を自滅させるために、神が敢えてお与えになった呪われた果実だったのか」
 《ステリア》の力について告げたクレヴィスが、《アルフェリオン・ノヴィーア》の姿、そして《空の巨人》や《紅蓮の闇の翼アルファ・アポリオン》に関する伝説を意識していたのは当然である。その一方で、ギルド随一の魔道士として知られるクレヴィスの話を聞き漏らすまいと、エレインが几帳面にメモを取っている。彼女の真摯な様子を横目で見て微笑を浮かべながら、マクスロウは言った。
「帝国軍の強さを支えるもの、つまりは《旧世界の遺産》というのは、我々の常識では計り知れない力をもっているということですね。これまで我々は、いかに並外れた性能であったとしても、《旧世界》の技術を用いた兵器をひとつやふたつ投入したところで、所詮は局地における一時的な勝敗に影響するのがせいぜいであり、単体で戦争の大局を直接左右することなどあり得ないのだと基本的に考えてきました。しかし現実には、戦い全体の行方すら変えてしまうような一手さえ、旧世界の兵器は可能にします。それに対して凡庸な機体を何十体、いや、何百体差し向けたところで、おそらく結果は変えられないのでしょう」
 マクスロウの言葉にクレヴィスは満足げに頷き、内心で彼を誉めている。
 ――戦術レベルではともかく、戦略レベルでの局面を単機が一変させることなど普通は有り得ないのだという、そんな思い込みにとらわれず、《旧世界》の兵器の恐ろしさをよく理解されているではありませんか。この点について適切な認識をもっていない相手とは、今回のような戦いで手を組むのは危険ですからね。さすがは、議会軍のドラード元帥の懐刀といわれる人物です。
 彼のそのような様子を承け、マクスロウは話を元に戻した。
「帝国軍の圧勝により、《レンゲイルの壁》攻略の作戦も大幅に変更しなければならなくなりました。本来であれば、《壁》に籠もる反乱軍の消耗と補給線の不安定化や寸断、さらには士気の低下を狙う長期の包囲戦で進めることが望ましい。しかしながら、帝国軍がガノリス領内からオーリウム国境へと迫っている現在、そのような選択肢は絶たれました。とはいえ現状のまま、あの《壁》を短期決戦によって攻略しようとしたところで、成功の見込みは極めて低いでしょう。万が一、勝利したとしても、攻め手の我々も壊滅的な損害を被っていると考えられます。そのときには、もはや帝国軍に立ち向かえる力は残っていません」
 一方で、整った知性的な横顔や怜悧な銀の長髪から想像されるような、いかにも高級貴族出身のエリート将校らしい雰囲気や、他方で、情報部門での彼の長年のキャリアから推測される慎重さや老獪さといった印象とは裏腹に、マクスロウは、ごく率直に語っている。ひょっとすると、彼のそのような態度自体が、ギルドの警戒心を解き信頼を深めるための演出かもしれないにせよ。
 対するギルド側のカルダイン艦長は、縮れた髪と濃い髭で覆われた、武骨だが内心の読めない面差しのもとで、マクスロウの言葉に悠然と耳を傾けていた。こちらはこちらで、海賊まがいの冒険商人から身を起こし、タロスの革命戦争の際に《ゼファイアの英雄》にまでのし上がった百戦錬磨の飛空艦乗りである。マクスロウの話が一息ついたところで、艦長はそれまでよりも目をやや大きく見開き、わずかな沈黙の後、冷淡にさえ聞こえる乾いた感じの声で言った。
「たしかに、今の御見解には十分な根拠がありますな。軍事力ではオーリウムを大きく上回るガノリス王国ですら、その度重なる侵攻の試みを、《軍神レンゲイル》の盾によってことごとく退けられてきたのだから。この50年近くの間……。世界屈指の要塞線《レンゲイルの壁》と、現在これを守備する王国きっての名将トラール・ディ・ギヨット、そしてガノリスとの戦いの経験により鍛え抜かれてきた《レンゲイル軍団》。これらの力は、《敵》として向き合った今、改めて痛感させられるものです。普通に攻めたところで、《最強の盾》を貫くことはできますまい」
「仰せの通りかと。それでも我々は、帝国軍の到達前に《レンゲイルの壁》を取り戻さなければいけません。そこでエクター・ギルドの力もぜひお借りしたいという次第です」
 ギルド側の協力について改めて念押しするマクスロウに対し、カルダインが重々しく頷いた後、彼に代わってクレヴィスが尋ねた。
「では早速ですが、今後の戦いに向け、確認したい点がひとつあります。お尋ねするまでもないことかもしれませんが、あくまで、念のためです。議会軍として、ガノリス側から《壁》を攻める作戦は考えていないとみて、よろしいですか? ガノリス軍が混乱している現状なら、幾分の工夫や遠回りが必要にせよガノリス領に越境し、そちらから《壁》を奇襲させることも不可能ではないですからね。もっとも、背後のガノリス国境の側は……いや、元々、ガノリスの侵攻に対して設けられた要塞線ですから、本来はそちらが《正面》だというべきでしょうか……そのガノリス側は《壁》の防御力も火力もいっそう強力で、なおかつ、川幅も水深も圧倒的である大河ヴェダンを堀同様に伴っています。それでもなお、この正面突破のための奇策がおありなら、と」
 マクスロウは即座に首を軽く振り、皮肉っぽく微笑んだ。
「あの《壁》を正面から攻略することを可能にするような、そんな妙手は残念ながら思いつきません」
 そう、クレヴィスが確認したのは、反乱軍がほぼ想定していないであろう、ガノリス側からの奇襲・計略の可能性を議会軍が有しているかどうかだったのだ。
「確かに。それはギルドとしても同様です。では、オーリウム国内側から攻めるしかないわけですが、《レンゲイルの壁》付近一体には手付かずの湿原が広がっています。これが厄介ですね。《壁》を落とすためには、陸戦型を中心とするアルマ・ヴィオが何個師団か必要でしょうし、それも、大火力を備えた重アルマ・ヴィオを集中的に投入しなければ、多数の要塞砲や重アルマ・ヴィオを擁する《壁》側の火力にたちまち押し負けてしまいます。けれども、あの沼地をアルマ・ヴィオで進むという選択も、原則的には有り得ません。たちまち沼地に沈んで機体を放棄することになるか、移動できずに四苦八苦しているところを《壁》から狙い撃ちにされるのがせいぜいです」
 クレヴィスの主張に、マクスロウもほぼ同感のようだ。ガノリス側からの攻め、そしてオーリウム側の《壁》周辺からの攻め、という二つの指し手は否定されたことになる。そのうえで、最後のひとつになりそうな選択肢をマクスロウは挙げ、地図上の大きな街道を指で辿った。
「湿原を避け、アルマ・ヴィオの大部隊が《壁》付近まで進軍できるという前提を満たすルートは、エルハインの都から《王の道》を経てガノリスに向かう街道のみです。しかし、それがぶつかる先は《ベレナの門》、すなわち《レンゲイルの壁》の正門と一体化した要塞都市ベレナの真正面……ガノリス側に向いた箇所の構えほどではありませんが、それでも、《壁》の防御力が最も高い箇所のひとつです。そこを攻めるとなれば……」
 ここにきて、さすがに言葉を濁すマクスロウに対し、クレヴィスは即座に告げた。
「無理がありますね、それも。いや、見通しの良い街道で、正面から不用意に行列で攻め寄せたりすれば、先日、議会軍が大打撃を被ったときのように、反乱軍側についた例の《黒いアルフェリオン》の《ステリアン・グローバー》で一掃されてしまいます。これも《旧世界》の兵器の脅威というところです。困りましたね」
 《黒いアルフェリオン》、それはルキアンの兄弟子ヴィエリオ・ベネティオールが操る《アルフェリオン・ドゥーオ》に他ならない。その存在もまた、この間に《壁》周辺の議会軍の動きが慎重になっている理由の一つである。とはいえ、何の考えもなしに、あらゆる攻め手の可能性をただ否定し尽くすことが、クレヴィスの狙いではないだろう。彼は意味ありげに目を細めた。
「いや、そういえば、いまの一連のおさらいの中で、どこかに見落としがありませんでしたか。これまで軍事大国ガノリスは、ありとあらゆる手を使って《壁》を落とそうとしましたが、確かに無駄でした。しかしそれは、あくまでガノリス側からの侵攻に限られていました。自国であるオーリウム側から《壁》が攻撃されることなど、一度もなかったわけです。そして《レンゲイルの壁》は、天然の要害である沼地に守られていますが、味方側の土地において、敢えて部隊の移動や物資の搬入の困難な場所を背にする必要などあったのでしょうか。むしろ、それまでの歴史的な経緯で、そこに要塞線を構築せざるを得なかったためではないでしょうか」
 何か奥の手があるのだろうかと、黙って話に聞き入るマクスロウとエレインに対し、クレヴィスはさらに告げる。
「要塞線が造られるよりも遥か昔、前新陽暦時代の頃から、オーリウムの民はガノリスの民との境界に簡単な土塁を築き始めていました。その土塁が後に城壁となり、おそらく何百年もかけて強化され、我々の時代に至って、それを基礎にして現在の要塞線となるに至ります。では、かつてのオーリウムの人々が壁を設けたとき、それは湿原の中にあったのでしょうか? いや、敵の進軍を阻む湿原がもし広がっていたのなら、その中にさらに防壁を設けるという困難な工事など、わざわざ行う必要もないでしょう」
 調査を事前に進めていたのか、それとも彼の博識ゆえなのか、いずれにせよ《壁》の起源にかかわる知識を、クレヴィスはすでにある程度有しているようだった。
「少なくとも、オーリウムもガノリスも《蛮族の地》としてレマリア帝国の支配下にあった時代には、レマリアがその版図全体に張り巡らせた《王の道》は、オーリウムとガノリスの境界など関係なく両者の地を貫いて伸びていたのです。ヴェダン川に橋を架けやすい、比較的浅い場所に面したところを、つまりは、今の《レンゲイルの壁》付近を通って。多くの旅人や馬車、それからアルマ・ヴィオも、そこを行き来していたのですよ。おそらく、その通行を遮るような湿原も、まだそれほど存在していませんでした」
「なるほど、もしや、我々が見落としていた点というのは……」
 かの智謀の魔道士の思惑に、マクスロウが気づいたようだ。彼はクレヴィスに対して頷き、エレインにも何か問いかけるような顔つきをしている。マクスロウの直感に浮かんだ答えに、クレヴィスの言葉も近づいていく。おそらく双方は同じ結論に達するのだろう。
「長きにわたって整備されてきた防壁を活かすため、そして何よりも、湿地帯が広がってしまった今の時代となっては、その中に壁を作れるしっかりとした地面の残された場所は、かねてより防壁が置かれていたところにしか見いだせなかったため、現在の位置に《レンゲイルの壁》があるのではないでしょうか」
 クレヴィスはそう言った。ちょうど同じ頃、ミトーニア神殿の文書館で《探し物》の最中であろうシャリオのことを、念頭に置きながら。
 
「しかし、《壁》の周囲がすべて湿地のように見えても、底なしの泥沼のように見えても、その下には、あるところにはあるのです。それは、かつての……」
 
【続く】
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届くといいな

今年の始まり、厳しいものとなりました。
能登半島地震の被害や影響を受けられた方々は勿論、羽田空港でも大変な事態に。
それでも、新年に向けて、より多くの人が元気出せるといいな。
簡単にはそう言えないことも、承知しておりますが。
私には何もできないのが残念です。
できそうなこと、せめて誰かの応援になれそうなキャラ、挙げておきます。
そう考えて、画像生成AIのダリさん(DALL-E3)とともに作ってみました。

本ブログの連載小説『アルフェリオン』より、作者の私自身も力をもらっているヒロインのエレオノーアです。
これは、エレオノーアと主人公ルキアンがいよいよミルファーン王国に旅立つ場面を題材とした画像となります。

ちなみに 『アルフェリオン』の第28話(その3)、今年最初の小説本編の更新 も本日行いました。

エレオノーアの応援画像、縦型のいっそう大きなものも以下に挙げておきます。

本日も、新年早々、鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございます!
今年もよろしくお願い申し上げます。

ではまた。

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第58話(その3)待つ者たち、受け継がれる想い

目次これまでのあらすじ | 登場人物 鏡海亭について
物語の前史プロローグ

 


3.待つ者たち、受け継がれる想い


 
「ちょっと、あんたたち……何を?」
 これこそ、緑濃いハルスの森に棲む妖精たちのしわざ、青白き月光の照らし出す薄闇のもと、いま目の前で唐突に起こっていることが、悪戯な幻術のせいではなくして一体何だというのだろうか。リオーネは思わず声を上げたまま、信じ難いものでも見るように動かなくなった。
「どうしちまったんだい? 急にそんなに泣き出したりして」
 彼女が目の当たりにしているのは、ふたり、抱き合いながらすすり泣く、ルキアンとエレオノーアの姿だった。
「おにいさん……おにいさん! もう、絶対に離さないでくださいね」
 エレオノーアは顔中を涙で濡らし、何度も何度も《おにいさん》と大声で叫んでいる。
「僕たち、帰って来られたんだ。良かった、良かった、エレオノーア」
 まるで長年生き別れになっていた想い人と再会したかのように、ルキアンの方も、涙の流れるままに、喉を引きつらせながらエレオノーアの名を繰り返す。エレオノーアは両手でルキアンを抱きしめ、彼に頬ずりしながら、途切れ途切れにつぶやいている。
「ほ、ほん、とうに、良かった、よかった、の、です……」
 たしかに、二人は還ってきて、生きている。戦い終わって、ルキアンの《無限闇》とアマリアの《地母神の宴の園》という二つの支配結界が解かれ、通常の時間と空間の中に御子たちは戻った。この奇跡をルキアンとエレオノーアが涙ながらに讃え合うのも無理はないだろう。何しろ相手は《始まりの四頭竜》の化身、たとえそれが本体とは比べ物にならない写し身にすぎないにせよ、これに力の一部を与えた《始まりの四頭竜》自体は、この世界が生まれた始原の時より今日に至るまで、《あれ》の代行者として生き続けている超越神にも等しい存在である。か弱く哀れな《人の子》の身でそれに挑戦した御子たちの勇気、いや、蛮勇とすら呼ばざるを得ない決意は、幸いにして劇的な勝利をもたらしたにせよ。
 しかしながら、御子の支配結界の中で繰り広げられていた戦いは、結界の外にいた者たちにとっては、あずかり知らない出来事だった。その間、結界内の時間の進行に比べて、リオーネやブレンネルにとっての時間はほぼ経過しておらず、停止していたも同然である。結界が解け、この世界内におけるルキアンたちの存在と時の歩みとが元通りになったとき、リオーネの目に映ったのは――つい先ほどまで初々しい様子で互いに微妙な距離感を測り合っていたルキアンとエレオノーアが、突然に抱擁し合い、互いの顔をすり寄せ、今にも口づけを始めかねない雰囲気になっているという突飛な状況だった。
「くぅ~っ。若いって、いいよな。熱情の暴走ってか」
 額に手を当て、苦笑しながらのけぞっているブレンネル。そんな彼を背にして、リオーネは心底不思議そうな面持ちで首を傾げている。
 ――あの奥手なルキアンが、一瞬でここまで積極的になるなんて、どういうことかしらね。エレオノーアの方も、熱に浮かされているような、いつもとはまったく別人とも思える雰囲気。本当に何が起こったんだい?
 そして当然、リオーネには、もうひとつ気になることがあった。
「エレオノーア、あんたの姿が……何と言ったらいいのかね、その、さっき、煙みたいに消えかかっていなかったかい? 私の見間違いかしら。でも、あんたたちも助けを求めて大騒ぎしていたはずだけど?」
 リオーネは、ただならぬ真剣さを帯びた眼差しでエレオノーアを見つめた。エレオノーアは反射的にルキアンの袖を握り締め、彼に身を寄せる。もはやエレオノーアは、師と仰ぎ母と慕っていたリオーネの言葉よりも、出会ったばかりのルキアンの方に自らを委ねているようにみえた。そんな彼女の振る舞いを前にしたリオーネは、何かを悟ったかのごとく、深い溜息をつかずにはいられなかった。
「そうかい。そうかと思えば、今の瞬間には、急に熱烈な愛を交わす二人のようになって。何なんだろうかね。まるで、しばらく時間が止まっていて、その間にあんたたちのところだけで、何か特別なことが起こっていたみたいじゃないか」
 リオーネはおそらく冗談で言ったのだろう。だが実際のところ、図星をさされたも同然のルキアンは気まずそうに俯き、夜風に揺れる銀の前髪の奥からリオーネを見た。
「そ、その……鋭い、ですね。それも戦士の勘、なのですか」
 しばらくリオーネは、両掌を上向きに持ち上げ、幾度も首を振り、何か言いたそうな顔をしていた。だが、そんな彼女の口からようやく出た言葉は、叱責や非難の響きを伴ってはいなかった。
「やれやれ、ルキアン。この責任、取ってくれるのかい。うちの大切な娘の心を完全に持っていっちまって」
 続いてリオーネはエレオノーアの方を見た。
「でも、思ったより早かったね、この時がやってくるのは。何となく分かっては、いたんだよ。エレオノーア。あんたが疲れ果てて、ぼろぼろの姿でここにたどり着いたときの様子も普通じゃなかったし、その後もあんたは、どこにでもいるような子ではなかった」
 立膝で草地に身を置き、べそをかいて手を取り合っているルキアンとエレオノーアに、リオーネは歩み寄る。彼女は背を屈め、妙に力の抜けた微笑を浮かべながら、エレオノーアに顔を近づけた。
「あんたの前に立ったとき、時々、感じるんだよ。こんなに信頼して、こんなに、いい子だって思っているのに。それでも……正直、言いようのない怖さが伝わってくるんだよ。そんな感じを、あたしは過去にも一度知ってる。あのシェフィーアと向き合ったときと同じ。普通の人間には決して届かない力を内に持っている奴、私はその域には及ぶはずもないけれど、それでも、その凄さくらいは直感で分かるんだよ」
 銀髪の少年少女の前にしゃがみ込んだリオーネは、まず右手でエレオノーアの頭を撫で、続いてルキアンの頭に左手を置いて言った。
「ルキアン、あんたもだよ。ねぇ、あんたたち……いったい、何を、どんなとてつもないものを背負っているんだい?」
 かといって、ルキアンたちが《御子》のことをリオーネに率直に明かしたところで、そんな荒唐無稽な話を彼女が直ちに信じるとは考え難い。
 ――それに、僕たちの戦いにリオーネさんを巻き込むわけにはいかない。たとえリオーネさんが凄い機装騎士だったといっても。
 つい今の今まで激闘を繰り広げていた宿敵、《始まりの四頭竜》の姿を、ルキアンは否応なく想起させられた。あれは、もはや人間の戦士が――彼ら《御使い》のいう《人の子》が――いくら立ち向かったところで、どうこうできる相手ではない。
 ――どうしよう。エレオノーアは、もう僕と一緒に行くといって絶対譲らないだろうし、僕の方だって……。
 困り果て、必死に思考をめぐらせているルキアン。変に迷っているその様子がリオーネにあらぬ誤解を与えないかと、心配になりながらも。適切な答えが出てこなかった。だが、そのとき。
 
「それについては、私から説明しても構わないだろうか」
 突然に、しかし聞き知った声が――しかも絶大な安心感をルキアンとエレオノーアにもたらす、あの人の声が、夜更けの谷に厳かに響いた。そのオーリウム語には幾分のタロス訛りがあった。深紅のケープが風になびく。外見的には30代後半くらいにも思われる背の高い女性が、何の気配も感じさせず、いつの間にかそこに立っている。
「何しろ、手塩にかけた大事な娘さんを、我らの友として預かることになるのだから」
 ルキアンは心から安堵の思いに包まれ、彼女の名を口にした。
「まさか、アマリアさん、アマリアさんなのですか!?」
「そうだ。今度は本物の私が来た。思念体ではない。君らの居場所さえ分かれば、タロスからだろうと世界のどこからだろうと、転移してくることなど造作もない」
 ルキアンは、今も掌に刻み込まれている《豊穣の便り》の刻印を改めて凝視した。
 その一方で、もしも見るべき者が見ていたなら、リオーネを包む気配が、あるいはオーラのようなものが、一瞬にして戦士のそれに変わったことが理解されたであろうが。いま、彼女は最大限に警戒しつつも、見た目の印象自体は極力穏やかに、中立的であるようにと努めている。そうしながらもリオーネは、目の前に現れた《魔女》が自身の剣の間合いに入っていることを確認してもいた。だが、仮に剣をふるったところでどうすることもできない相手と対峙していることは、リオーネの身体が本能的に感じている。
「あぁ、やだやだ。本当に、とんだ夜になったね。しかも今度はもっと化け物じみた奴の登場かい。ねぇ、あんた。一応、聞いとくけど、精霊でも魔族でもないみたいだが、人間……で間違いないかい?」
「無論だ。多少、他の者よりも《長生き》していることを除けば、私は《人の子》以外の何者でもない。名乗り遅れたことを詫びる。私は、アマリア・ラ・セレスティル。タロスの魔道士、いや、最近では占い師といった方がよいかもしれないが、どちらでもよかろう。人は《紅の魔女》と呼ぶ。エレオノーアとルキアンの友であり、力はあってもまだ若い彼らを支えることが、大人としての私の役割だと考えている」
「紅の、魔女……だって? 私も元は機装騎士、知ってるよ、どうりで……」
 アマリアの《通り名》を口にし、リオーネは顔色を変えた。青ざめたというよりも、むしろ諦観をありありと現して。
「そんな有名人で、なおかつ世捨て人だという評判のあんたが、何の用で私の娘を連れて行こうとする?」
 腹のうちを探ろうとする彼女の言葉に対し、アマリアは出し抜けに酒瓶を、おそらく葡萄酒の入ったそれを片手でゆっくりと持ち上げて、何らかの答えとするようだ。
「リオーネさんとおっしゃったか。これはさしあたり、私が特に大切にしている葡萄酒の一本だ。かつて友から譲り受け、長年、思い出とともに静かに眠らせてあった。これをあなたに差し上げよう。私の気持ちに偽りがないことを認めてもらえるか」
 ――アマリアさん? こんなときに、お酒とか、いったいどういう……。
 微妙な表情になったルキアンとは対照的に、リオーネは、この酒がアマリアにとってどれほどの重さを持つものであるのかを、彼女の様子から汲み取ったらしい。単なる酒好きの戯言ではない、もっと特別な思いがアマリアの振る舞いには込められているようだ。
「分かったよ。貴重な品なんだろ。あんたの目に嘘はないようだし」
「よかった。ちなみに理解しているだろうが、この手の長い年月を経たワインを開けるためには相応の準備が必要となる。だからエレオノーアの旅立ちを祝う一杯に間に合わないのは、残念なことだ。また念のため、馬で長旅をさせるのは古酒には堪えるだろうが、私はここまで魔法で瞬時に転移してきた。ゆえに何の問題もない」
 リオーネに促され、アマリアは、先ほどまでルキアンたちがささやかな夜宴を楽しんでいた即席の野外席の方に向かっていった。ルキアンとエレオノーアもアマリアに続き、一人だけ残されたブレンネルが慌てて追いかける。
 質素な木のテーブルの上に瓶を置く。燭台の灯りでは様子がよく分からないと考えたのか、リオーネがさらにランタンを近づけた。それでも夜の真っ暗な河原では酒の状態など十分には把握しようもなかろうが、中の液体の色からして赤ワイン、古びた瓶の様子からしてかなりの年月を経たものであるというのは、ルキアンにもうかがい知ることができた。
 紙面が劣化して剥がれ落ちそうな、いや、崩れ落ちそうなラベルに顔を近づけ、リオーネは、この酒が醸された年を読み上げた。 
「ほぅ、新陽暦265年……。革命前のタロスのワインは、そこそこ珍しくなってきたね。いや、革命前どころか、それよりずっと昔か。今から38年前といえば、私は現役真っ只中だったが、たぶん、あんたは生まれたか生まれてないか、そのくらいの頃だろうね」(※ちなみにタロス革命が勃発したのは新陽暦289年のことである)
 リオーネは、特に誰かに語り掛けるふうでもなく、ぽつりとそう言った。だが当然、その言葉はアマリアに向けられたものだろう。アマリアの方も明確に肯定も否定もせず、何気なしに月を見ている。そして涼し気な表情で語り始める。
「……このワインの産地は、かつての友の故郷だ。これに使われている葡萄は、天候や気候の変化にやや敏感すぎる傾向をもっていて、年毎の出来不出来の差も激しく、要するに商品用にはあまり向いていない。だが、ごく稀に、名醸地の一級品にも劣らない酒を生むことがある。あの265年はそういう年(ヴィンテージ)だった。通常の年の生まれなら、かの地の酒は40年近くの熟成など到底無事には超えられない」
 そんな彼女の心には、このワインをかつて友から託されたときの場面が、昨日のことのように明瞭に浮かび上がっていた。その時点でアマリアは、この世に生を受けていたどころか、遠い景色の中に立つ彼女の姿は今とほぼ変わらなかった。いや、一見する限り現在とまったく同じであり、本当に昨日の話のようにさえ思われる。ただ、そのことを知る者は、ここには誰もいなかった。
 
 ◆
 
「今年の葡萄の出来は特別なんだよ。何十年、いや、もしかすると百年に一度か二度、あるかないかの。ただ、その分、時はかけた方がいい」
 アマリアの回想の中で、少しだらけたような、お気楽な雰囲気の男の声が聞こえてきた。どことなく、ブレンネルの話し方に調子が似ているような気もする。
「俺はもう、見ての通りのくたびれたおじさんだ。このワインが本領を十分に発揮できるまで熟成された頃、たぶん俺は、この世にはいないだろう。そのときには、少しだけ俺のことを思い出してほしい」
 ぴかぴかの瓶に、真新しいコルク栓。新酒の入った瓶を大切そうに両手で支え、アマリアは無言で聞き入っている。
「すまない、共に歩めなくて、助けになれなくて。おそらく、お前は、これまでの御子の中でも飛びぬけた存在なのだと思う。しかし、仲間の俺らが……。お前と一緒に《御使い》たちに対して何か事を起こすには、あまりにも力が足りず、そもそも頭数も足りていない」
 老いが深まろうとしている年頃の男の、寂しそうな声が続いた。
「アマリア、いつの日か、お前にふさわしい御子たちが共に戦ってくれるときを期待して、この飛び切りの葡萄酒を託す。その時が来るまで、こいつは、お前とともに生きて、いい具合に歳を重ねてくれる」
 
 ◆
 
 ――それからも私は、凍った時の呪縛のもとで今日まで生き続けた。そして思ったよりも早く《永劫の円環》が打ち破られ、すべての御子が揃うこととなった。たとえ、どれほどの血と犠牲の上に、人間の所業とは思えない企ての果てに、この子らが生まれてきたのだとしても、私は……敢えてそれを受け入れる。罪を背負う。だが、自らの生を選べなかったこの子らに罪はない。私は二人の闇の御子を守り、共に戦う。それが私に託された使命。
 
 改めて自らの決意を確認した後、アマリアは表情をいくらか和らげ、目も細めつつ、葡萄酒の瓶をリオーネに丁重に差し出した。
「この素晴らしいワインは、私に寄り添って、時が来るのを一緒にずっと待ってくれた。だがもう待つ必要はない。これの方もそろそろ、魔女のお守役などという厄介な仕事からは降りたがっているようだ」
「そんな大事な葡萄酒を……いや、むしろ大事なのは、酒以上に、あんたにこれをくれた友人の方か。どっちにせよ、そういった《物語》に彩られているということは、その酒を本来以上に美味しく感じさせるものさね。まぁ、このワインを周到に開ける頃には、大切な娘はとっくにケンゲリックハヴンあたりに行ってしまっているか、あるいはもっと遠いどこかへ。だったらいっそのこと、娘が再び帰ってきて祝杯をあげるまで、この酒をいましばらく二度寝させておくのも悪くはない。そうやって、今度は私と一緒に待つのさ。この自然豊かなハルスの谷は、葡萄酒が静かに時を重ねるところとしては、さぞ快適だろうよ」
 冗談めかしてそう告げた後、橙色の灯火を反射するかのように、リオーネの目が鋭い光を帯びた。
「それはそれとして、うちの箱入り娘の旅立ちのわけを、聞かせてもらおうかね。さぁ、教えてくれるかい」
 
【続く】
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孤独と絆の幻想小説『アルフェリオン』―年頭のご挨拶

親愛なる読者様方、あけましておめでとうございます!!

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
「他のどこにもないファンタジー小説」を掲げて、特にgooblogの皆様のちょっとした隠れ家、晩酌のお供になれたらいいなと思っています。

作品発表に関する一切の時間的・社会的・経済的等々の制約条件から免れたアマチュアだからこそ、質に妥協は致しません。
敢えて言えば、それは私も本業のことを思えば分かります。プロだからこそ、アマチュアよりもはるかに高い水準で成し遂げるべき部分もたしかにありますが、その一方で、「それで飯を食う」プロだからこその制約があり、妥協せねばならない、敢えて折り合いをつけねばらならない部分も正直あるのです。

というわけで、今年もプロのアマチュア、つまり「アマチュアであることをプロとして極めた」小説書きの道を目指します。
利潤・採算・効率を度外視できるからこそ、譲らなくてよいものもあります。
かつて貴族のパトロンのもとで創作した人々のように。
ただ、私にはパトロンはいませんで(笑)、自分自身がパトロンです。己の二番目か三番目に好きなものを仕事にして、これに支えられて一番好きな「小説」をアマチュアとして何者にも口出しされたり忖度したりすることなく描き続けられるという、そういう点は極めて幸福だと思います。まぁ、小難しい理屈はともかく、小説『アルフェリオン』の世界をぜひともお楽しみください。


今年も、gooblogの人生の先輩たちと一緒に、歩んでいければ嬉しいです。ブログを拝見していて……あぁ、自分があと20年、30年生きても、これほど活き活きとして、自分の周囲のことと意識的に切り結んで、発信していけるかもしれない、この方たちのように、という勇気につながるのです。いまここで別に大声を出して言うことでもないかもしれませんが、本当に勇気をもらっているのです。

その一方で、アラフィフでもこんなこと余裕でできるんやで、アマチュア創作家に遅いも早いもないんやで、という良くも悪くも参考になりそうな(?)一事例として、私のやっていることを若い方々にも伝えられればと思います。

そういった中で、いや、そういえば『アルフェリオン』って小説、結構いいよね、と時々気にしてもらえるような、そんなところであれば幸いです。

本年もよろしくお願いいたします。
最後に、『アルフェリオン』に登場する「御子」たちから、縦型のPR画像を皆様方へ。

ではまた!

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