☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『東南角部屋二階の女』(2008)

2013年09月28日 | 西島秀俊さん☆映画
『東南角部屋二階の女』(2008)

池田千尋監督、西島秀俊さん(野上孝)、
加瀬亮さん(三崎哲) 、竹花梓さん(豊島涼子)、大谷英子さん(三崎の恋人・アヤ)、塩見三省さん(石山清六)、高橋昌也さん(野上友次郎)、香川京子さん(夏見藤子)出演。



【STORY】
西島秀俊、加瀬亮主演の心温まるドラマ。開かずの部屋がある古いアパートを訪れた若者3人が、人生の大先輩たちと出会い、新たな旅立ちを迎えるまでを描く。

【感想レビュー】
数年ぶりに観たくなって、もうDVDを購入して、また観てみました

じんわ~り、心が温かくなる作品です

静謐に流れるシーンが多いようで、全体的に内向的なエネルギーを感じさせます。
口にはしないけれど、心に秘めているそれぞれの想い…。

ちょっとシュールで面白いシーンもけっこうあったりして好きです

あの着物の帯を西島さんが後ろから持って歩くシーンとか


古い木造アパートと一軒家が隣接して並ぶあの場所は、実際に存在する建物だったそうで。
だからあんなにリアルなのだと思います。

建て直す前の祖母の家の雰囲気にとっても似ていて、個人的にもノスタルジーに浸ってしまいます



以前は、DVDレンタルが開始された直後に観たのですが、この時も西島さんの、何か異質な物が投影されている演技に、すっかり病みつきになって、それが何なのか知りたくて、のめり込んで観たのを覚えています。

また、香川京子さんや高橋昌也さんとの共演など、本当に西島さん嬉しかったんだろうな…と思うと、ファンとしてはそのシーンを拝見するだけで幸せです

CUTの溝口健二監督の墓石での撮影の折に、香川京子さんに直接に電話で励まして頂いたと、西島さんがお話しをされていましたから…

今年、溝口健二監督特集で、近松物語を観たので、香川さんの佇まいやその内から出る美しさを目の当たりしたので、当時観た時よりも、さらに香川さんに特別な想いを抱きながら拝見しました


ウェブマガジンのインタビュー記事
↓↓↓
http://openers.jp/culture/lounge_interview/Nishijima_Hidetoshi_1.html

『凶悪』(2013)

2013年09月28日 | 邦画(1990年以降)
『凶悪』(2013)

白石和彌監督、山田孝之さん、ピエール瀧さん、リリー・フランキーさん、
池脇千鶴さん出演。


【STORY】
原作は、実際に起きた凶悪殺人事件を基に、獄中の死刑囚が告発した殺人事件の真相を新潮45編集部が暴き、首謀者逮捕に至るまでを描いた犯罪ドキュメント。

スクープ雑誌「明潮24」に東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から手紙が届く。記者の藤井は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く。(Wikipediaより)

【感想レビュー】@theater
観終わった後に、狂気のエネルギーと虚脱感を同時に感じる映画でした!!!!

登場人物一人一人のキャラクターが深く掘り下げられ、肉厚でリアルな生身の人間として描かれていました。

シラける事が一切、無かったのです。

本当にリアルなのです。
俳優陣の肉体、体型、衣装、部屋の内装等を始めとする美術も。

原作が実在の話でも、映画は作り物の筈なのに…!!


山田孝之さんが演じる記者:藤井の執念が凄かった…。

死刑囚の須藤(ピエール瀧さん)が、話す事で様々な思いを解き放って行くのと対照的に、藤井に狂気が宿っていくように見えました。

リリー・フランキーさんが…また凄くて…。
ゾッとします…

人を殺めている実感も無ければ、自分が生きている実感も無いような、救いようの無い人物を演じています。

皮肉な事に、そういう人物だからこそ、藤井に殺意という狂気が宿っている事を素早く嗅ぎ分けるのですが…。


そして、映画を観始めてから、ずっと感じていた居心地の悪さが、池脇さん演じる藤井の妻の台詞によって、突き付けられるのです‼

薄々それを感じながらも、そこには蓋をしながら映画を観ていたのに…。


生きながら、心が死んでいる死人のような木村や須藤。

そして無念のうちに亡くなっていった被害者達。

まるで死人に取り憑かれたように…自分の生を実感する藤井…。



俳優陣の素晴らしさといい、観て本当に良かった1本となりました!!