亀の川登

難聴に苦しむ男の日記帳。

 阿漕 

2020-12-29 | 写謡
九州日向の国の僧が伊勢神宮の参拝に出ます。そこで一人の老漁師と出会い、阿漕が蒲に纏わる話を聞きます。阿漕が蒲とは今の三重県の津市阿漕町の辺りの海岸を指す。阿漕ヶ浦は昔、伊勢神宮に奉納する魚を取るために禁漁区となっていた。そこで人目を盗んで夜な夜な漁をする阿漕という漁師がいた。
謡本にロンキと書いてあるところがある。ロンキとはシテと地謡が問答形式で交代に謡う拍子に乗る部分と電子辞書に載っている。リズミカルで軽くてとても気持ちがよく謡いやすい部分だ。
後半は後シテ(阿漕)が地獄で責めを負う怖い話になっている。
阿漕を写していて思い出した。鵜飼とよく似ている。もしかして同じ話ではないか。
鵜飼の本を引っ張りだして確認した。鵜飼は甲斐の国鵜使いの話で川に沈められるのに対して阿漕は漁師で伊勢の国で海に沈められる。しかも相当厳しい話になっている。怖い地獄の話なので線を引いてみた。
阿漕とは、「際限なくむさぼること。また厚かましいさま。ひどく扱うさま。」と電子辞書に載っている。そういえば「阿漕な奴」とかいう言葉を聞いたことがある。そういう意味だったのか。

12月になってやっと謡曲教室が開かれるようになったと思ったら、1月はコロナ第3波のため中止だそうだ。いつになったら正常に戻るのやら。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする