東京府中市の税理士 金成祐行の日々の気付き

税理士法人の経営、強度行動障害の自閉症の息子との生活、悪戦苦闘の毎日で、日々気づいたことを書いていきたいと思います。

ある「経営実践哲学」

2007-01-28 09:28:49 | 経営
私が税理士になって一番最初に顧問先になってくださった会社が、
代替わりをした。

半年前、お父さんが代表を退き、息子さんが代表となったのだ。

息子さんは私と同い年。必ず帰りに車で送ってもらい、
車の中で経営談義に花を咲かせる。


昨日は、彼が社長になってから、入社したパート従業員の方が、
お互いに技術を覚えることを競ったり、積極的に社業に関わったりと、
とてもうまくいっているという話を聞いた。

私は「なにか工夫しているの??」と聞いた。


彼曰く、彼が社会に出た頃、修行をしていた会社の社長さんが、
実践し、彼に教えていたことがあったということだった。

それは、従業員を育てるのには「3」を使う。

(1)まず、入社当日に会社の決まりごと、社長の想いを伝える。

(2)入社3日目に、同じことを伝える。3日間に気づいたこと、直して欲しい
ことがあれば、率直に伝える。指摘をする。叱っても良い。

(3)入社3週間後。に同様。

(4)入社3ヶ月後。に同様。

これをサイクルで行っていく。

大切なのは・・・・指摘をし、叱る日と日の間には、
「極力、指摘、叱りを入れない」ということ。
真剣に一回率直に伝えた後は、その後はとにかく我慢我慢。
ひたすら信じ、待つ。

彼は、素直にこれを実践しているらしく、とてもうまく回っていると自画自賛していた。
私は、彼は、俺が俺がの職人ではなく、高い「経営者」のセンスがあると感じ、そのことをフィードバックした。

彼が修行をしていた会社は、その社長さんが一代で数十億円規模の会社となった。
今は、その会社を売却し、悠々自適の生活をしているというが、
実践で揉まれに揉まれた社長さんの「実践哲学」で、本当に素晴らしいと思った。
ちなみに「3」というのも、何となく収まりが良いから・・・という経験に基づくものだった。




私を含めて、未熟な経営者がはまりやすいのは

「追い打ちをかけてしまう」

ということ。

ある失敗をした従業員(一人で仕事をしている方は業者さんでもいい)に、
小言をいう。クレームをいう。指摘をしてフィードバックをする。

ここまでは良いとして、その後、この従業員さん(業者さん)が誤りを認め、
善処を約束する。・・・すると、そこでもう一度やってしまうのである。
水に流すではなく、不機嫌そうに・・・・もう一度。

「全く、本当に気をつけてくださいよ!」と。

このようにされた側の従業員さん(業者さん)は、どのような反応をするか・・・・

まず、「怒り」。カチンとくる。ということは、その経営者を信頼しなくなる。
と、同時に、「萎縮」する。自分から自由に、自律的に考えて行動しなくなる。

だから、数日後、やはり同じ間違いを犯す。
すると未熟な経営者は、「またか!」と言ってしまう。

見事なまでの「負のスパイラル」を描き、その経営者は、
従業員さん、業者さんを含めて、言われたことしかできない人たちに囲まれていく。

そしてその未熟な経営者は「うちは人材に恵まれていない」とのたまう。
その台詞は、本人は気づかぬだけで、無能な経営者の決め台詞なのである。


そうならぬよう、自戒自戒。

コメント
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