金沢発 あれやこれや

-ヒントをくれる存在に感謝しつつ物語をすすめます-

ビトロス8世の日記22-我が星仲間-

2021-11-18 22:29:30 | 天空の戦い
≪ビトロス8世の日記22-我が星仲間-≫
ビトロスは気がつくと薄暗がりの中浮かんでいた。

暗くて気づくのが遅れたが、
離れた所に人がぽつんぽつんといることがわかった。
その顔は初めて見る人ではなさそうだった。
なぜか懐かしい気持ちがしたからだ。
皆自分のことを悲しげに見つめていた。
ひどく泣いている人もいた。

ふと気づくと自分のそばに幼い子供がいた。
その子も泣いていた。
抱きかかえようと手を伸ばした時
突然、自分の身体が中心からくずれ始めた。
身体が音をたてて崩壊していく。
自分の身体のかけらが子供にぶつかってしまい
その子も同じくくずれていった。
私は懸命に手をのばしてささえようとした。
しかしどうすることもできなかった。

さきほど見つめていた人たちの声が聞こえた。
-***しっかりして-
-***大丈夫かい-
-***-、-***-、-***-

ああ、思い出した。この人たち。この配置。
長きにわたりシステムをささえてきた星仲間。
かけがえのない家族だ。

思い出した。
我が名はベルーガ。
この星系の星のひとつだ。
今やっと思い出した。
(初稿 2007-03-14 20:12:53)

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