新型コロナウィルスの話題で日本中が恐怖と不安にさいなまれており、個人のお金にまで心配が及んでいるようです。
新型コロナウィルスに感染した場合の収入面、治療費面をまとめました。
新型コロナウィルスの入院医療費は自己負担ゼロ
検査の結果、新型コロナウィルス感染が判明した場合、「指定感染症」としての措置が取られます。
症状の強い方はもちろんですが、検査で陽性となった無症状の方に対しても入院措置が取られることも発表されました。
その際の医療費ですが、自己負担がありません。これは、「指定感染症」と定められたことにより公費負担となったためです。
指定感染症でなければ、感染した方が拒否すれば病院側も入院させるわけにはいきませんが、新型コロナウィルスの場合は、法律として入院勧告をできるわけです。
また、公費によりる入院医療を受けられるので、「お金がないので」という理由で入院医療を躊躇する人が発生することはありません。
指定感染症についての文言に、「まん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの」(感染症法)とあることで事の重大さを感じます。
新型コロナウィルスで会社からもらえるお金はゼロ
感染すると法的に入院措置が取られるわけですから、出勤は不可能です。
その際、就業規則に有給病欠など特段の定めがない限り、労働関連法の大原則「ノーワークノーペイの原則」により会社に給料を払う義務は一切ありません。
また、会社の指示や命令として出勤停止をさせた場合、通常、会社は平均賃金の6割以上を「休業手当」(労働基準法)を支払う義務があるのですが、指定感染症に関しては、会社に休業手当を払う義務が発生しません。
なぜなら、国の法律として入院措置の対象となっているのであり、会社として出勤停止の指示を出す以前の必然だからです。
そこで、「給料」「休業手当」という会社からの収入がない場合、頼みの綱は健康保険の給付「傷病手当金」です。これは、働くことができない状況の4日目からではありますが、おおよその日給(標準報酬日額)の3分の2が該当日数の分支払われます。
もしも、「年次有給休暇」が余っていて、急な申請で取得可能であれば活用する方法もあります。
会社員が活用できるのは「傷病手当金」か「有給休暇」ということになります。国民健康保険に加入している個人事業主・フリーランスは「傷病手当金」も「有給休暇」もないので、まさに身体が資本です。
また、法律上の入院措置に対して、民間生命保険会社の入院給付金は対象ですので、契約内容に応じて請求が可能です。
感染拡大で労災認定は極めて困難に
先月、観光バスの運転手の方とバスガイドの方の新型コロナウィルス感染報道がありました。このバスは中国武漢市の乗客を運んでいたということ、国内での感染者数が少なかったこと、バスガイドの方も感染したこと、これらの理由で、業務上感染したとして労災認定される可能性が高いのではないかと個人的にも考えています。
しかし、ここにきて、今後、新型コロナウィルス感染での労災認定は非常に難しくなったと思います。感染が拡大し、もはや、感染ルートが不明という方が増えているようです。感染したのが業務上なのか否か、特定は極めて困難な感染者ばかりではないでしょうか。
こうなると、労災認定の線は消えてしまいます。
労災認定とならなくても、入院医療費については公費負担ですから問題ありません。ただし、働くことができない4日目から平均賃金の約8割を受け取れる労災保険からの給付(休業補償給付+休業特別支給金)はナシとなります。
お金の面で、新型コロナウィルスは他の病気よりマシ?!
新型コロナウィルスに感染した場合、「医療費」については心配ありません。「収入」については、会社員等は健康保険の「傷病手当金」、民間生命保険会社の契約者は「入院給付金」などの医療保険の受け取りが可能です。
新型コロナウィルスに限らず、誰しもが病気やケガで2週間、1か月働くことができない場合はあり得ます。そう考えると、こと「お金」という面では、他の病気やケガより医療費の公費負担の分、新型コロナウィルスの方が救いが大きいのです。
新型コロナウィルスの得体のしれない不気味さや怖さは計り知れないのですが、お金の面は今回お伝えした情報は抑えつつ冷静に考えましょう。
今は、感染拡大防止や感染者の治療に日本中の全エネルギーが注がれることを願うばかりです。