角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#052 ギュンター・グラス、右?左?

2015-04-24 06:36:32 | そうなの?
ドイツの作家、ギュンター・グラス氏が亡くなったそうです。

(↓)それなりの報道もありました。

(産経新聞よりWeb版はこちら

グラスさんと言えば、
まず、何と言っても『ブリキの太鼓』です。
私も持ってます。

もう何年も前に読み始めたのですが、なかなか骨の折れる小説で、
未だ最後まで至ってません。

映画にもなりました。
コチラは見ました。

まあ、それなりに、な映画ではありますが、
ヨーロッパ、ポーランド、ダンツィヒの歴史に思い入れがないと、
ムズカシイかも、です。

チョークを逆立てたような、
オスカル少年の「キ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」という奇声は、
確かに耳について離れませんが。

ところで、グラスさん、ノーベル文学賞作家です。

ノーベル賞。
(一般論として)日本人は、国連、オリンピックとならんで大好きです。

それなのに・・・

報道でも触れられていましたが、グラスさん、
今、日本でいうところのサヨクであるはずが、
ナチス親衛隊に属していたことがある、という告白は、実際物議をかもしました。

熊谷徹さんという方の、当時の論文があります。

一部引用します。

〈グラスが武装親衛隊に召集された一九四四年までには、ユダヤ人だけでなく、市会議員や、大学教授など知識階級に属するポーランド人の多くが、強制収容所に送られていた。当時一七歳だったグラスは、その事実を全く知らなかったのだろうか?彼はこの点について、自伝の中で沈黙している。
NGO「償いの証」のシュタッファ代表は、懐疑的である。「グラスの態度は、この時代を生きたドイツ人に典型的なものだ。彼らはユダヤ人らに対する弾圧を仮に知っていても、知らなかったと言い張る。ユダヤ人の移送が、当時の新聞で報じられたケースもある。それでも、多くのドイツ市民は、ナチスに心酔していため(原文ママ)、犯罪的な側面を知りたくないという、心理的な防衛機制が働き、そうした記憶を排除してしまうのだ。」〉

・・・ ・・・ ・・・

「告白すれば、罪の半分は赦される」と言ったりしますが、
さて、どうなんでしょうね。

「神」との対峙で言えば確かにそうかもしれませんが、
周囲の「人間」をず〜っと騙していた、という事実は消せませんし。

世の中的に重要な事柄について、
「今まで黙ってましたが、実は・・・」
ということが一度あれば、

「他にも黙ってたことがあるんでないの?」
と考えてしまうのも人の心理ですから。


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