角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

PROM.04 武器と凶器と、特攻と自爆テロと

2015-11-18 06:23:43 | そうなの?



かつて、9.11の折、
自爆テロを、特攻と同じだと言う人が、
かなりいました。

さすがに今、
日本人でそう考える人は、あまりいませんが、
外国では、未だ根強く残っているようです。

フランスでは、
自爆テロ=KAMIKAZEという誤解が、
日常会話でさえ交わされているとのことです。

で、ふと気になって調べてみたのですが・・・

フランス語には、
そのものズバリ「凶器」という単語が無いみたいなんです。

手持ちの辞典で調べた範囲で、ですが、
「武器」に「危険な〜」「犯罪の〜」などといった、
形容詞をつけて「凶器」を表しています。

日本語で、武器と凶器を分かつのは、
それを何のために用いるのか、ということです。
モノとしての機能ではなく、意図を問題にしているわけです。

特攻は、自らの命を「戦場における武器」として用いるものです。
「平時において凶器」としているのではありません。

米国でも、仏国でも、
テロの被害が大きくなった時、
「これは戦争だ」
という言い方がなされたりしますが、

実は私、これにもちょっとひっかかっています。

彼の国では、
それくらいの覚悟が必要だ、
というニュアンスで言ってるんだとは思います。

けれど、日本語で「戦争」という時、
何か、敵味方が対等な感じ、
どちらにも言い分があり、大義があり、正義がある、
そんな感覚があるのです。少なくとも私はそうです。

あえて言いましょう。
被害者の数がどれほど膨大であっても、
テロはテロであって戦争ではありません。

テロで用いられる銃火器、爆弾は、
武器ではなく凶器なんです。
意図に重きを置く日本人には自明です。

フランス式の、
自爆テロ=KAMIKAZEという図式は、

意図や結果とは無関係に、
死ぬと分かっていてそれをする、
ただ、そこだけを見て名前を与えているから起きる、
悪意のない、わりと単純な誤解かもしれません。

だとしたら、
私たちは、腹をたてるんじゃなしに、
視点が違うよ、一緒にしないでね、
と言ってやればいいだけの話です。

どなたか、
フランス語ネイティブに聞いてみてもらえません?

・・・ ・・・ ・・・ ・・・

【凶器】結果的に人を殺傷する用に供されたと考えられるもの。
【武器】相手を攻撃し、自分を守るために開発された刀剣や銃砲類。
新明解国語辞典(第5版)三省堂

武器:arme
(→https://ja.glosbe.com/ja/fr/%E6%AD%A6%E5%99%A8
凶器:arme dangereuse
(→https://ja.glosbe.com/ja/fr/%E5%87%B6%E5%99%A8
Glosbe日本語-フランス語辞書

arme:武器、兵器;(犯罪の)凶器(=〜du crime)
クラウン仏和辞典(第5版)三省堂

冒頭写真は産経新聞11/18大阪6版より


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