かつて、9.11の折、
自爆テロを、特攻と同じだと言う人が、
かなりいました。
さすがに今、
日本人でそう考える人は、あまりいませんが、
外国では、未だ根強く残っているようです。
フランスでは、
自爆テロ=KAMIKAZEという誤解が、
日常会話でさえ交わされているとのことです。
で、ふと気になって調べてみたのですが・・・
フランス語には、
そのものズバリ「凶器」という単語が無いみたいなんです。
手持ちの辞典で調べた範囲で、ですが、
「武器」に「危険な〜」「犯罪の〜」などといった、
形容詞をつけて「凶器」を表しています。
日本語で、武器と凶器を分かつのは、
それを何のために用いるのか、ということです。
モノとしての機能ではなく、意図を問題にしているわけです。
特攻は、自らの命を「戦場における武器」として用いるものです。
「平時において凶器」としているのではありません。
米国でも、仏国でも、
テロの被害が大きくなった時、
「これは戦争だ」
という言い方がなされたりしますが、
実は私、これにもちょっとひっかかっています。
彼の国では、
それくらいの覚悟が必要だ、
というニュアンスで言ってるんだとは思います。
けれど、日本語で「戦争」という時、
何か、敵味方が対等な感じ、
どちらにも言い分があり、大義があり、正義がある、
そんな感覚があるのです。少なくとも私はそうです。
あえて言いましょう。
被害者の数がどれほど膨大であっても、
テロはテロであって戦争ではありません。
テロで用いられる銃火器、爆弾は、
武器ではなく凶器なんです。
意図に重きを置く日本人には自明です。
フランス式の、
自爆テロ=KAMIKAZEという図式は、
意図や結果とは無関係に、
死ぬと分かっていてそれをする、
ただ、そこだけを見て名前を与えているから起きる、
悪意のない、わりと単純な誤解かもしれません。
だとしたら、
私たちは、腹をたてるんじゃなしに、
視点が違うよ、一緒にしないでね、
と言ってやればいいだけの話です。
どなたか、
フランス語ネイティブに聞いてみてもらえません?
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
【凶器】結果的に人を殺傷する用に供されたと考えられるもの。
【武器】相手を攻撃し、自分を守るために開発された刀剣や銃砲類。
新明解国語辞典(第5版)三省堂
武器:arme
(→https://ja.glosbe.com/ja/fr/%E6%AD%A6%E5%99%A8)
凶器:arme dangereuse
(→https://ja.glosbe.com/ja/fr/%E5%87%B6%E5%99%A8)
Glosbe日本語-フランス語辞書
arme:武器、兵器;(犯罪の)凶器(=〜du crime)
クラウン仏和辞典(第5版)三省堂
冒頭写真は産経新聞11/18大阪6版より
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